日本の経済成長率をグラフ化してみる……(下)グラフ化とオマケ

2014/09/19 11:00

国家単位での経済上の成長推移を推し量る上でよく用いられる指標、GDP(国内総生産)と、その成長率を意味する経済成長率。「日本の経済成長率をグラフ化してみる……(上)用語解説」では各種用語や概念について説明したが、今記事(下編)では、実際に日本の経済成長率を抽出・計算し、各種グラフを作成して状況の精査を行うことにする。

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日本の経済成長率の年次推移をグラフ化


データの取得元は内閣府の「統計情報・調査結果」から【国民経済計算(GDP統計) > 統計データ > 統計表(四半期別GDP速報)】で最新年を選択し、そこから直近の「統計表」を選ぶ(【記事執筆時点では2014年9月8日公表値が最新】)。取得データは「実額」のうち、「名目暦年」「実質暦年」(暦年とは1月から12月で1年を区切る方法)。2014年は現在進行している年なので、現時点では2013年分が最新値となる(該当年だけでなく、時系列データが収録されている)。

なお現在はこのページには1994年以降の値しか収録されていないが、過去に記事を執筆した時点で1980年以降の値が掲載されており、過去の部分はそれを流用している(数字の継続性については確認済み)。

まずはGDP前年比、つまり経済成長率について。元データが1980年以降なので、前年比は1981年以降から存在することになる。

↑ 日本のGDP前年比(実質・名目、1981年-2013年)
↑ 日本のGDP前年比(実質・名目、1981年-2013年)

大きな挙動として3つのポイントを挙げることができる。

・1990年以降、成長率は低迷している。

・1990年以降、成長率の点では「名目>実質」から「名目<実質」となり、経済構造が変化している。

・直近の金融不況の影響は2008年から出始めていたが、リーマンショックによる2009年の下落は過去30余年の間でも最大の下げ幅。

1990年頃といえば、バブルからその崩壊にかけた時期であることは言うまでもない。ある意味、1990年代のバブル時代が日本経済のターニングポイントであることを再認識させる。

そして数年前のリーマンショックが、日本経済全体にどれほど大きな影響を与えたのかがよく分かるグラフでもある。ちなみに2011年にもやや大きな減少が確認できるが、これは言うまでも無く同年に発生した東日本大地震・震災によるものだ。

これを前年比ではなく、金額で示したのが次のグラフ。

↑ 日本のGDP(実質・名目、1980年-2013年、兆円)
↑ 日本のGDP(実質・名目、1980年-2013年、兆円)

興味深いことに上記の指摘同様、1990年までは「実質>名目」でデフレ、1990年から2000年くらいまではインフレ、そして2000年以降は再びデフレ状態となっている。念のため総務省統計局の【消費者物価指数(CPI)】やインフレ率などを調べたが、大体同じような結果が出ている。

いずれにせよ、1990年前後、言い換えればバブルとその崩壊が、日本経済の大きな転換点となったことは間違いあるまい。また直近の数年では直近の金融危機ぼっ発とリーマンショック、そして東日本大地震・震災と相次いでGDPを下げる事象が発生しているが、それが中期的に日本の経済、具体的にGDPの動向にどのような変質をもたらすのか、あるいは影響を与えないのかについては、今しばらく様子を見る必要があろう。少なくとも2012年から2013年にかけては、大きな変化は見られない。

米ドルベースで確認してみる


今回のデータの集計期間である約30年の間には、日本円の国際的価値も大きく変化している。そこで毎年の値を年末の為替レートで計算し直した場合、どのようなグラフが形成されるのかについて、記しておく。

基準値として用いたのは、国際基軸通貨として用いられているアメリカのドル(米ドル)。【日本銀行の主要時系列統計データ(月次)】から「為替相場(東京インターバンク相場) ドル・円 スポット 17時時点・月末」の毎年年末を抽出し、各GDPの額(円)を元に米ドル単位の値を算出。その上で米ドルベースの前年比なども計算した結果が次のグラフ。国内生産動向を精査するために用いることから、実質GDPをドルベース換算するのは性質的に意味が無い気もするが、この際まとめて掲載しておく。

↑ 日本のGDP前年比(実質・名目、1981年-2013年)(各年年末の対米ドル為替レートを適用して計算)
↑ 日本のGDP前年比(実質・名目、1981年-2013年)(各年年末の対米ドル為替レートを適用して計算)

↑ 日本のGDP(実質・名目、1980年-2013年)(各年年末の対米ドル為替レートを適用して計算、兆米ドル)
↑ 日本のGDP(実質・名目、1980年-2013年)(各年年末の対米ドル為替レートを適用して計算、兆米ドル)

↑ 日本円の対米ドル為替レート(各年年末)
↑ 日本円の対米ドル為替レート(各年年末)

実際に国内で生産されたものすべてがアメリカに売り払われるわけではない。また、円高が進めば進むほど日本国内で生産されたものは海外で売りにくくなる。【円高になるとどんな良いこと・悪いことがあるのか再確認してみる……(3)円高デメリットの具体値と日本の努力】などで説明しているが、海外で売る場合、円高だと割高となってしまう。商品は価値があっても売れなければ意味が無い。この状況については、昨年夏までの数年間において、多くの人が実体験したはずだ。

また2011年から2013年にかけて今項目グラフでは大きく値を下げているが、これは最後の為替レート動向グラフと、上記の円ベースでのGDPの動きから分かる通り、為替の大規模な変動によるものである。特に2012年から2013年では1年間で2割強もの円安が生じ、そのためドルベースでのGDPが落ち込むこととなった。

今件の「米ドルベースでのGDP動向」は、あくまでも何か物事を考える際の素材、あるいは「思考ゲーム」の材料程度に考えるのが無難だろう。


■一連の記事:
【日本の経済成長率をグラフ化してみる……(上)用語解説(最新)】
【日本の経済成長率をグラフ化してみる……(下)グラフ化とオマケ(最新)】
【主要国のGDPをグラフ化してみる(最新)】

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