主要死因別に見た死亡率をグラフ化してみる(1899年以降版)(2014年)

2014/09/21 12:00

厚生労働省は2014年9月11日付で、人口動態調査における人口動態統計(確定数)の2013年版となる値の概況を発表した(【発表ページ:平成25年(2013)人口動態統計(確定数)の概況)】)。今回はこの発表値などをベースに、主要死因別に見た死亡率の変化をグラフ化し、状況の変化などの精査を行う。

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直近のデータは上記にある通り、人口動態統計の最新版から。残りは逐次過去のデータを抽出し、集計していく…とはいえ、時系列データについては【平成25年人口動態統計月報年計(概数)の概況】が先行発表されており、その中の「印刷用のExcelファイルのダウンロードはこちらから」の「図」のファイル内を探すことで、戦後分は容易に取得できる。

他方戦前については総務省統計局のデータベースe-Statをはじめ色々と探したが、お目当てのものは見つからず。ようやくデータの存在を確認できたのが、以前【戦後の雑誌と書籍の発行点数をグラフ化してみる(「出版年鑑」編)】でも利用した、「日本の長期統計系列」。この【「第2章 人口・世帯」】の「2-31- b 主要死因、男女別死亡率(明治32年-平成16年)」に、男女別のままではあるが、該当する値が存在する。今回はこちらを利用する。

本来なら毎年男女の人口構成比も導き出して微調整が必要なのだが、男女差が異様に開いた事例は無く、今記事は大まかな動向を取得するのが目的なので、戦前の分について、単純に男性・女性の値をそのまま足して2で割り、平均値として計上。これを先の戦後分の前につなげていく。

グラフ中の比率は「%」表記の無い限り、基本的に人口10万人比(人口10万人あたり何人がその年に、その死因で亡くなったか)。1899年以降継続して2013年分まで、そして戦後に限って再構築したもの、計2つをグラフ化した。

↑ 主要死因別にみた死亡率の年次推移(人口10万対)(-2013年)
↑ 主要死因別にみた死亡率の年次推移(人口10万対)(-2013年)

↑ 主要死因別にみた死亡率の年次推移(人口10万対)(戦後限定)(-2013年)
↑ 主要死因別にみた死亡率の年次推移(人口10万対)(戦後限定)(-2013年)

全般的な状況を確認すると、戦前は「肺炎」「結核」を死因とする死者が異様に多いことが分かる。乳児・新生児の記事でも解説したように、公衆衛生の整備が(今と比べて)立ち遅れていたこと、医療技術の未熟さ、健康管理に関する世間一般の非医学的な慣習などが原因として挙げられる。また、「スペイン風邪」「関東大震災」など大きな世の中の動きに、今件グラフも値の変移を見せることも把握できる(先の「東日本大震災」による「不慮の事故」での増加もわずかながら確認できる)。

他方戦後の1995年におけるイレギュラー的な動きは、やはりグラフ中吹き出しで触れている通り、死因判定などの仕組みの変化(人口動態統計の説明を読むと「死亡診断書の注意書きの記載」「ICD-10による原死因選択ルールの明確化」)が原因として挙げられる。突然医学・健康分野における変移が生じたわけではない。

戦後の動向に限って見返すと、終戦直後は「結核」が戦前同様に1位にあったものの、医療技術の発展、予防策の浸透などで大幅に減少する。代わりに「悪性新生物(いわゆる「がん」)」「心疾患」「脳血管疾患」「肺炎」など、高齢化と連動して発生しやすい疾患が増加している。

「悪性新生物」の上昇傾向に関しては、「がんが強力化している」「がん対応策が立ち遅れている」などの誤解を招くことがある。しかし実際には「他の死因リスクが減った」「がんで亡くなりやすい高齢者の総人口比が増加している」のが原因。

今件グラフでは特に、戦前と戦後の動向を見比べ、公衆衛生や医療技術の進歩でいくつもの疾患による死亡事例を減らせることができた事実、そして特に戦後に入って増加を見せる死因(「がん」「肺炎」)が、高齢化によるものであることを見定めるのが肝要である。



やや蛇足ではあるが、「平均寿命との兼ね合わせを見てみたい」との意見があり、それに応える形で作成したグラフを呈示しておく。グラフに表記される要素が増えるので、やや見難くなるのが難点ではあるが……。

↑ 主要死因別にみた死亡率の年次推移(人口10万対)(平均寿命追加)(-2013年)
↑ 主要死因別にみた死亡率の年次推移(人口10万対)(平均寿命追加)(-2013年)

戦後に至り、各種死亡要因への対処が進むに連れて、寿命も少しずつ延びていく様子が分かる。それと同時に、他の死因が減ることで解消しにくい要因や、歳を重ねると共に避けられない要因が増加しているのも把握できる。「悪性新生物」「心疾患」「肺炎」による死亡率増加が、医療技術の退化や環境悪化によるものでは無く、高齢化と共に起きていることが、あらためて理解できよう。


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