出生率・死亡率変移をグラフ化してみる(1899年以降版)(2014年)

2014/09/19 11:00

先に【乳児・新生児の死亡率変移をグラフ化してみる(1899年以降版)】において、人口動態調査の記録を元に、1世紀強に渡る乳児・新生児の死亡率変移をグラフ化し、医療技術や生活環境の進歩を一側面から精査した。その際取得したデータには他にもいくつか、長期間に渡る変移を確認できる内容が収録されている。今回はその中から出生率と死亡率の変移にスポットライトを当て、状況を確認していくことにする。

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スペイン風邪の猛威と昨今の高齢化が分かる「死亡数・死亡率」


データの取得元やそれに関する時代背景などは、先の「乳児・新生児の死亡率変移をグラフ化してみる-」と同じ。人口動態調査の各データを用いることになる。そして言葉の定義だが、「出生数」「死亡数」はそれぞれその年に生まれた・亡くなった人の数を表す。死因・年齢は特定しない(。先の記事での新生児・乳児なども含まれる)。また比率は「%」表記がなければ、基本的に人口1000人比となる。

さて、ひと組目のグラフは死亡数・死亡率の推移。これを1899年以降継続して2013年分まで、そして戦後に限って再構築したもの、計2つを生成した。

↑ 死亡数・死亡率の推移(-2013年)
↑ 死亡数・死亡率の推移(-2013年)

↑ 死亡数・死亡率の推移(戦後限定)(-2013年)
↑ 死亡数・死亡率の推移(戦後限定)(-2013年)

1918年からしばらく間流行したスペイン風邪は、体力に劣る新生児・乳児の命を多数奪った事は「乳児・新生児の死亡率変移をグラフ化してみる」で言及した通り。さらにそれだけでなく、乳児より歳上の幼児・子供、そして大人にも大きな刃(やいば)を振るっている。グラフ上でもこの時期に大きく値が跳ねたことが確認できる。

また新生児・乳児ほど劇的ではないものの、全体としても死亡率・死亡数は20世紀初頭まで高止まり。そしてその後は確実にリスク軽減を果たし、1960年-1970年の高度成長期を経て、一定水準の低さにまで到達。乳児・新生児と異なるのはここからで、1970年代以降はむしろ率・数共にゆるやかな上昇傾向にある。

これは技術が退化した、あるいは環境が悪化したのでは無く、【全国勢調査「95年分」の子供・成人・老人比率推移をグラフ化してみる(2010年国勢調査反映版)】などで解説している通り、全人口に占める高齢者比率が増加しているのが原因。高齢者の方が亡くなるリスクは大きいため、高齢層の比率が高まれば、当然全体の死亡率も上昇していく。

低減する出生率


一方、出生数・出生率は一程度の変動を経ながら、全般的には減少傾向にある。

↑ 出生数・出生率の推移(-2013年)
↑ 出生数・出生率の推移(-2013年)

↑ 出生数・出生率の推移(戦後限定)(-2013年)
↑ 出生数・出生率の推移(戦後限定)(-2013年)

戦前は概して高い出生率を見せていたが、新生児・乳児の死亡率も高く、また上記にあるように大人の死亡率も高かった。戦後に入ると出生数・率は急激な減少カーブを示すが、いわゆる「ベビーブーム期」にはやや上昇、そしてその過程で「ひのえうま」(丙午に生まれた女性は男性以上に強い性質を持つという迷信から、子供が忌み嫌われるのを恐れ、親が出産をためらう動きがあった)によるイレギュラー的な減少も確認できる。

出生率の低下については諸般事情、説があるが、一般的にはいわゆる「先進国病」が大きな要因とされている。倫理観の成熟と社会制度の整備により、子供一人あたりの養育コストが積み増しされることで、世帯が養え得る子供の数が減り、それに伴い出産数も抑えられるというものである。さらに結婚や世帯構成に対する価値観の変化も、小さからぬ原因とされている。



死亡率の緩慢な増加は、世代別構成比の変化を考慮すれば、社会現象として是認せざるを得ない。一方、平均寿命が延びていることからも分かる通り、死亡リスクそのものは確実に減少を続けている。

今件データは先の新生児・乳児の死亡率や、世代別構成比の変移、さらには婚姻率などと見合わせると、新たな発見を見出せ、日本の人口推移の大まかな把握に役立つに違いない。日本の近世の動向を知る上でも、確認しておくことをお勧めする。


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