政府への要望、社会保障に景気対策(2014年)

2014/08/28 08:00

内閣府は2013年8月25日、定点観測的に調査を行っている「国民生活に関する世論調査」の最新版となる2014年版の結果を発表した。それによると、日本国民が今後政府に力を入れてほしい政策の最上位には「医療・年金などの社会保障の整備」がついた。2/3強の人が同意を示している。前回2013年6月時点での調査から順位は変わらず、むしろ回答率が上昇しており、高齢化社会への対応の重視を要望する声が全体として高まっている状況が把握できる。それに続く高回答率項目は「景気対策」だったが、こちらは昨年よりはいくぶん回答率を落としている(【発表リリース:国民生活に関する世論調査】)。

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今調査は2014年6月19日から7月6日にかけて、全国20歳以上の日本国籍を有する者の中から層化2段階無作為抽出法で1万人を選んだ上で、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は6254人。男女比は2901対3353、世代構成比は20代436人・30代827人・40代1128人・50代1073人・60代1429人・70歳以上1361人。

調査時点において、今後日本国政府はどのようなことに力を入れるべきか、複数回答形式で尋ねたところ、最上位の回答率を示したのは「医療・年金などの社会保障の整備」だった。全体では68.6%の人が望んでいる。

↑ 政府に対する要望(上位のみ)
↑ 政府に対する要望(上位のみ)

最上位の「医療・年金などの社会保障の整備」は前回調査と比べると2.7%ポイントと大きく増加。前回第2位だった「景気対策」が値を59.6%から58.7%と0.9%ポイントと減少したこともあり、さらに差を広げる形での順位となった。前回調査の調査対象母集団と比較すると、60歳代以上の回答者数構成比率は2%ほど減っており、「高齢者の回答比率が増えたので、社会保障整備の回答率が底上げされた」という解釈は通りにくい。社会全体において医療や年金をはじめとした社会保障に対する注目が高まると共に、景気対策への注力がやや減ったとの認識で間違いなかろう。

他の動きとしては、震災関連の要望がやや減少を見せ(もちろん値そのものは大きめ)、経済周りで「物価対策」、周辺国関連で「防衛・安全保障」が上昇の動きを示している。絶対値の上では上位陣と比べて優先順位は低いものの、社会全体の動向を反映しているようであり、興味深い。また、「高齢社会対策」や「少子化対策」など、最上位の「社会保障整備」と深い関係がある項目が大きく値を伸ばしており、社会全体のサポート面での一層の安定、充実を求める機運が高まっているように見える。

これを男女別に見たのが次のグラフ。

↑ 政府に対する要望(上位のみ)(男女別、2014年6月)
↑ 政府に対する要望(上位のみ)(男女別、2014年6月)

概して女性の方が要望率が高い。「外交・国際協力」「東日本大震災からの復興」は男性の方が高い値だが、確かに男性の方が興味関心を引きそうな内容ではある。一方で「防衛・安全保障」は女性が、「少子化対策」は男性の方が上の値が出ており、やや意外感を覚えさせる。

女性が男性比で大きく伸びているのは「医療・年金等の社会保障の整備」「高齢社会対策」「雇用・労働問題への対応」「物価対策」であり、男女ともに値が高い「景気対策」を除き、上位陣のすべてで強い要望(見方を変えれば現状への不満)を抱いているのが分かる。

これを世代別に見ると、各項目の世代別関心事項が透けて見える。

↑ 政府に対する要望(上位のみ)(世代別、2014年6月)
↑ 政府に対する要望(上位のみ)(世代別、2014年6月)

「景気対策」「雇用・労働問題への対応」は50代までに高い関心が寄せられているが、60代を超えると急速に低下する。一方で「医療・年金等の社会保障の整備」「高齢社会対策」は60代まで一方的な上昇をみせている。以前【失業対策が第一、少子化対策が次点…現在不十分で今後力を入れるべき社会福祉とは】でも触れたが、自分自身にとって何が一番望まれるのかを第一に考えてしまい、それがそのまま値に反映されているのが分かる(「我が身恋しや」である)。要望への関心が低い高齢層でも、「高齢社会対策」以外に「物価対策」においても他世代とさほど変わらない高い値を見せているのが好例といえる。

また、「少子化対策」「防衛・安全保障」など、一見若年層が無関心な姿勢を見せているように伝えられている問題も、概して若い世代ほど要望への回答率が高い。実情は印象とは異なることを把握できる次第である。

なお今件はそれぞれ独立した項目で「要望のある・無し」を尋ねているが、本来政策は多数項目が連動して行われる(べき)もの。どれか一つの政策のみに焦点を絞って注力しても、他の項目が足を引っ張られることになり(リソースは有限)、結局マイナスの影響を受けた項目が注力した部分にも悪影響を及ぼし、全体的な環境も悪化してしまう。それぞれの項目の連鎖性・波及効果を考慮した上で、政策方針が決定され、具体的施策が打たれるべきだろう。


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