2015年6月度外食産業売上マイナス2.3%…洋風ファストフードの軟調さは続く

2015/07/27 15:00

日本フードサービス協会は2015年7月27日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2015年6月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でマイナス2.3%を計上した。日取りで日曜日一日分が少なく、足を引っ張ったのに加え、軟調が継続中の洋風ファストフードのマイナス分が響き、全体値を抑える形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が207、店舗数は3万3060店舗。今月は前月と比較すると事業社数は増え、店舗数も増加している。

全業態すべてを合わせた2015年6月度売り上げ状況は、前年同月比で97.7%となり、2.3%の減少を記録した。これは先月から転じる形で2か月ぶりの減少となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では土曜日は同じだが休日が1日少なく、また気温は東京・大阪共に低めで、ファミリー層に需要の多い業態ではマイナス要因となった。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から継続して7か月連続のマイナス(マイナス5.9%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風は、そのメイン企業となるマクドナルドが、昨年夏からの相次ぐトラブル、さらにはそれをきっかとした中長期に渡る問題点の露呈化や市場動向の変化に対応しきれない状況が継続しており、客数は大きく下落。洋風の他企業はそれなりの業績を見せたものの(例えばモスバーガーの6月における既存店売上高前年同月比はプラス5.9%)、マクドナルドのマイナスの影響は極めて大きく(同マイナス23.4%)、これがファストフード部門、そして外食産業全体の足を大きく引っ張る形となった。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス10.3%、客単価は大きく上げてプラス12.0%と成し、売上もプラス0.5%とかろうじてプラスを計上。大手の吉野家が牛丼など価格を昨年12月に引き上げたことや、鍋メニューをはじめ、他社も合わせて高単価商品を続々と展開したのが大きな要因。持ち帰り米飯・回転寿司は前年同月に一部で値引きキャンペーンを行っていた反動によりマイナス。その他部門では値引きキャンペーンが大いに貢献し、アイスクリームが好調な値を示したことからプラスに。

ファミリーレストラン部門は休日が少ないことから客数が焼き肉以外でマイナスを示したものの、客単価は堅調、売上も全業態でプラスを示している。パブ/居酒屋部門ではパブがそこそこなものの、居酒屋は店舗数削減が継続しており、売り上げは大きなマイナスを計上している。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年6月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年6月分)

日取りの悪さと
天候の不順で
ファミレスを中心に
客が遠のく。
洋風ファストフードは
軟調さが継続。
昨年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが、昨夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は昨夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いている。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、昨年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はある。

もちろんこの動向を手をこまねいて見ているだけのはずがなく、同一業態内の洋食ファストフードの他チェーン店では自社の得意部門にさらなるリソース投入を行い、新商品・サービスを展開し、個性の強調・区別化を図る施策を実施している。またマクドナルド自身も「最悪期は脱した」とのコメントを発し、次々に施策を打ち出しているが、それが効果的なものとなるのか否かを見極めるにはしばらくの時間が必要に違いなく、今なお業績の上では大きなマイナス値を計上しているのが実態。

一方同じファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトする動きが見受けられる。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続しており、中期的戦略転換が数字となって表れているように見える。

居酒屋の不調続きも要注意ポイント。こちらは食材の影響は無く、純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、お酒を飲むこと以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。

もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が試験運用している「吉呑み」が堅調さを示し、ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告が相次ぎなされ、その実態が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2015年6月は既存店で客数プラス0.5%・客単価プラス3.2%、売上高プラス3.7%を計上している)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。

他部門が比較的良い動きを示し続ける中で、とりわけここ数か月不調が続くファストフードの洋風、そして居酒屋。この2部門の回復状況が、外食産業全体の動向を精査するうえで、今後も注視すべき重要ポイントといえる。また今年の夏は直近では7月・8月共に平年並みの雨量と気温が予想されているため、外食産業、特にファストフードやパブ・ビアホールではプラスの効果が期待できる。中でもファストフードに限れば2014年12月以来前年同月比でマイナスが継続していることから、夏の日差しの後押しを受けてのポジティブ化を期待したいところだ。


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