天候悪化で前週比大幅減だが今年累計は5万人超え…熱中症による搬送者数は1週間で3989人(2015年8月10日-8月16日)

2015/08/18 10:00

総務省消防庁は2015年8月18日、同年8月10日から8月16日の一週間における熱中症搬送人数が3989人(速報値)であることを発表した。前回週の1万1480人(速報値からの改定値)と比べると7491人の減少となった。また今年の熱中症による搬送人数は、消防庁が今年カウントを始めた4月27日以降における累計人数としては5万1276人(速報値、一部改定値や確定値による累積)に達している。初診時に熱中症を起因とする死亡者は今回週では8人が、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は78人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

スポンサードリンク


↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2015年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2015年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2015年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2015年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2015年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2015年)

今夏の電力事情に関して政府発表を元に精査した記事【「今年も数値目標なし」…2015年夏の節電要請内容正式発表】などで解説の通り、今年夏も昨年同様、法的拘束力のある電力使用制限令、または数字目標のある節電要請は発せられることなく、数字目標無しの節電要請に留まることとなった。しかし震災から4年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

さらに気象庁が春先に発表した中期予報では、気温は平年並み、あるいはやや低めで、7月から8月にかけては雨が平年よりは多くなるとの予想が出されていたが、6月は気温が高めに推移する可能性が高いとされ、熱中症への懸念も大きなものがあった。また昨年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認された。

そこで消防庁では【消防庁の熱中症搬送患者情報、今年は5月からだそうです】にある通り、昨年までは熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について5月中旬以降に開始していたものを、今年は4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する前倒しの案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する前倒しの案内

今回発表された各種値は今年の分としては第16週目のものとなる。過去に発表された速報値も少しずつ確定値に切り替えられており、改定の際にはいくぶんの増加が確認されている。

今回計測週では中期予報で猛暑が予想された8月第一週と比べれば、比較論ではあるが気温の上では穏やかな気候となった。これは台風や発達した前線の影響によるもので、一部地域では猛烈な雨、さらには雷などが襲うところもあった。また栃木県や熊本県では竜巻の目撃情報も寄せられるなど、激しい気象の変化も生じている。同時期にはコミックマーケット88も開催されている。一方、台風15号・16号が相次ぎ太平洋で発生、桜島が噴火警戒レベル4に達するなど、気象方面では何かと騒がしい一週間となっている。


↑ 暑さは続き、猛暑対策のイベントも相次ぐ。【直接リンクはこちら:西日本中心に広範囲で気温30度超える 熱中症に引き続き警戒(15/08/11) 】

なお気象庁では8月10日付で【エルニーニョ監視速報(No.275)】を発表しており、今冬まで継続する可能性が高いことを伝えている。また13日に発表された直近の一か月予報でも、「北・東・西日本では、期間の前半は気温がかなり高くなる所がある見込みです」とし、各地で8月中は平年より高い気温が生じる可能性が多々あることを予報しており、今後もしばらくはこのような暑さが継続する可能性が高いことを示唆している。特に東日本では平年より気温が高くなる可能性を60%と見積もっており、残暑に悩まされそうな感は否めない。

地域別では東京都の303人をはじめ、愛知県の277人、大阪府の276人、兵庫県の246人など、人口密集地帯で多くの搬送者が確認できる。全国に渡り相応の熱中症が発生しうる環境となったことがうかがえる。

↑ 東京都の最高気温と天候(2015年8月10日-8月16日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2015年8月10日-8月16日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2015年8月10日-8月16日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2015年8月10日-8月16日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2015年8月10日-8月16日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2015年8月10日-8月16日)(搬送人数上位都道府県、人)

東京と大阪の気温動向を確認すると、該当週では東京・大阪共に全日が30度以上の真夏日認定がなされたが、東京・大阪共に35度以上の猛暑日は1日で済んでいる。猛暑日が東京が5日、大阪では7日全日だった前週とは大きな違いである。

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも早くから今年向けの情報提供を開始しているところも確認できる(【今から熱中症対策をしましょう!(京都府京田辺市、2015年4月30日付け)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、5月13日から開始している。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】)。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト
↑ 環境省熱中症予防情報サイト

今回発表されたリリースでは日付を合わせる形で同年同時期の搬送者数を参考値として提示しているが、それによると昨年の同時期における搬送者数(確定値)は2077人。今年は速報値で比較するとそれより2倍近くの1912人多い計算になる。都道府県別の動向を見るに、いずれの地域でも前年同時期と比べて搬送者数は増えているが、特に神奈川県や愛知県、兵庫県など、今回週の搬送者数上位の地域=人口密集地域、とりわけ東海から近畿地方において、搬送者数の増加率が大きいように見受けられる。

また累計搬送者数について、前年と比較できる期間(5月19日以降)に限って比較すると、2014年は3万3258人だったのに対し、今年はすでに4万9782人となり、1万人以上の増加が確認されている。今後も高温状態が継続すれば、さらに昨年以上の値が生じてしまう可能性は否定できない。

電力需給の観点では昨年の状況から進歩がほとんど見られないのが残念な話ではある(一応、九州電力管轄の川内原発が再稼働を行い、2013年9月に関西電力の大飯原発停止以降、原発による発電が無い状況からは1年11か月ほどぶりに脱することとなったが)。ちまたで電力不足が騒がれ、また電気代の高騰が続くと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる(【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話もある)。せめてそれ以外の点で昨年よりも熱中症による救急搬送者が減るよう、各自最善を尽くしたいものだ。


■関連記事:
【熱中症についてまとめてみる】
【熱中症経験者は1割足らず、予防対策は「水分補給」に冷房、帽子や日傘使用】
【車内火傷0.95%、車内熱中症・脱水症状0.63%という実態】
【高齢者の熱中症と「暑さを感じにくい」と室内での発症・救急搬送者の経年調査データと】
【30年前と比べて平均気温は上がっていないように見えるので今の「暑い」は単に我慢が足りないだけ...って本当なのか?!】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー