大学進学率をグラフ化してみる(2014年)

2014/09/13 10:00

義務教育(小中学校)以外の教育機関の教育費の無償化問題や、大学の経営問題など、高等教育のあり方についてさまざまな面で状況の変化が起き、再検討の機会が与えられている。「良い大学、そして良い就職先」との子供の進路に関する言い回しも、必ずしも正しいとは言い切れないとの指摘もなされるようになった。今回はそれらも含め、大学関連の話を語る際には欠かせない、そもそも論としての「大学進学率」をまとめておくことにする。

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今件データの取得元は文部科学省の【学校基本調査】。この発表ページで足りない部分については、総務省統計局の【e-Stat内「基幹統計から探す(統計分野表示)」】から「学校基本調査」を選び、「年次統計」「統括表」「32.就園率・進学率の推移」から必要な値を取り出して、各種計算を行う。

なおグラフ中にある「過年度高卒者」とはいわゆる「大学浪人生」を意味する。つまり今件進学率とは、該当学校(大学・短大)入学者数を、3年前の中学校卒業者・中等教育学校前期課程修了者数で割った値である。

まずは大学・短期大学を合わせた、総合的な大学進学率。

↑ 大学・短期大学への進学率(過年度高卒者などを含む、%)
↑ 大学・短期大学への進学率(過年度高卒者などを含む、%)

1970年代後半から1980年代半ばにかけて漸減傾向が見られる。しかしそれ以外は一貫して上昇傾向にあり、戦後における高等教育・大学志向の高まりが確認できる。一方、この数年間に限りると伸び率が停滞し、むしろ微少ながらも値が低下しているのが目に留まる。これは【若年層の労働・就職状況をグラフ化してみる】などでも解説しているが、企業にとって即戦力に結びつく高等専門学校への需要が増加しているのが一因のようだ。もっとも直近の2014年では再び増加の流れとなり、周辺環境に変化が起きている状況を予見させる。

これを大学と短期大学に分けてグラフを再構築すると、興味深い傾向が見えてくる。

↑ 短期大学への進学率(過年度高卒者などを含む、%)
↑ 短期大学への進学率(過年度高卒者などを含む、%)

↑ 大学への進学率(過年度高卒者などを含む、%)
↑ 大学への進学率(過年度高卒者などを含む、%)

一貫して短大は女性の方が進学率が高い。それに対して男性は低い値でほぼ横ばいを維持。そして短大で女性の進学率が急上昇し始めた時期と、大学の進学率が上がり始めた時期がほぼ一致している。その後「短大女子進学率は高めで推移」「大学は男性進学率が減少、女性は横ばい」となり、女性の進学欲の向上をうかがわせる動きが見られる。

さらにその後、短大においても女性の進学率は減少し(とはいえ男性よりもはるかに上なことに違いは無い)、男女共に大学への進学率は今日に至るまで上昇を続けている。女性の短大進学率減少と、大学の進学率上昇がほぼ同時期(1990年半ば)に起きていることから、女性においても短大から大学への進学シフトが起きたものと考えられる。

またこの数年に限ると、大学進学率は共に減少傾向にあった。上記で記した、さらに【大学卒業後の就職先、「正社員で無くても就職できれば」を肯定する親は1割足らず】などで解説の通り、良い就職先へのアプローチに有効な「大学卒業」の効力が薄らぐほどの、雇用情勢・就職市場の変化が要因にあると思われる。上記にある高等専門学校生以外に、専修学校生数もこの数年に限れば増加傾向にあるのも、一連の流れとして受け止められよう。

さらに直近の2014年に限ると、短大への進学率はほぼ横ばいで推移しているのに対し、大学進学率は上昇し、動きに変化が生じているのが分かる。上記で触れた通り、環境変化をうかがわせる動きと言える。



現時点で大学進学率は6割近い。今なお就職で有利になる点を考えれば(【大卒正社員率は82.7%…学歴や年齢別の若者労働者の正社員・非正社員割合をグラフ化してみる】【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる】)、大学進学率が大きな減少を示すことは考えにくい。

他方、本文でも触れている通り、この数年に限れば「大学進学・卒業」が就職へのオールマイティカードとして通用しなくなりつつある。その状況から、これまでのような上昇一本槍の動きは示さない可能性が高い。景気が回復した際の大卒の就職状況により、大学進学率もさらに低下するか、あるいは再び上昇していくかが明らかになるだろう。2014年分では後者の動きが見えてきただけに、来年以降の流れが気になるところだ。


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