2週連続で単週1万人突破・今年累計では4.7万人超え…熱中症による搬送者数は1週間で1万1219人(2015年8月3日-8月9日)

2015/08/11 11:00

総務省消防庁は2015年8月11日、同年8月3日から8月9日の一週間における熱中症搬送人数が1万1219人(速報値)であることを発表した。前回週の1万1995人(速報値からの改定値)と比べると776人の減少となった。また今年の熱中症による搬送人数は、消防庁が今年カウントを始めた4月27日以降における累計人数としては4万7018人(速報値、一部改定値や確定値による累積)に達している。初診時に熱中症を起因とする死亡者は今回週では32人が、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は331人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2015年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2015年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2015年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2015年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2015年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2015年)

今夏の電力事情に関して政府発表を元に精査した記事【「今年も数値目標なし」…2015年夏の節電要請内容正式発表】などで解説の通り、今年夏も昨年同様、法的拘束力のある電力使用制限令、または数字目標のある節電要請は発せられることなく、数字目標無しの節電要請に留まることとなった。しかし震災から4年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

さらに気象庁が春先に発表した中期予報では、気温は平年並み、あるいはやや低めで、7月から8月にかけては雨が平年よりは多くなるとの予想が出されていたが、6月は気温が高めに推移する可能性が高いとされ、熱中症への懸念も大きなものがあった。また昨年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認された。

そこで消防庁では【消防庁の熱中症搬送患者情報、今年は5月からだそうです】にある通り、昨年までは熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について5月中旬以降に開始していたものを、今年は4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する前倒しの案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する前倒しの案内

今回発表された各種値は今年の分としては第15週目のものとなる。過去に発表された速報値も少しずつ確定値に切り替えられており、改定の際にはいくぶんの増加が確認されている。

今回計測週では毎日のように各所で真夏日(一日の最高気温が30度以上)や猛暑日(同35度以上)が観測され、ニュースなどでもそれらの地域を赤く記した日本地図が映し出され、灼熱のような状況を改めて認識させることとなった。7月の中期予報でも8月に入ってからの一週間は平年より高温が予想されるとの話があったが、まさにその通りの状況が展開された。この時期には各地で花火大会などが開催され、お祭りの運用そのものにはプラスではあるが、来場客の健康リスクが懸念される状況となった。一方一部では不安定な気象状況を受けて豪雨が生じ、記録的短時間大雨情報が発令される地域もあった。



なお気象庁では8月10日付で【エルニーニョ監視速報(No.275)】を発表しており、今冬まで継続する可能性が高いことを伝えている。また直近の一か月予報でも各地で平年より高い気温が生じる可能性が多々あることを予報しており、今後もしばらくはこのような暑さが継続する可能性を示唆している。


↑ 東京都内でも猛暑日を連続して観測、熱中症による死者も出ている。【直接リンクはこちら:都心37.7℃ 熱中症で死者も】

地域別では東京都の971人をはじめ、大阪府の911人、愛知県の749人、兵庫県の710人など、人口密集地帯で多くの搬送者が確認できる。全国に渡り暑い時期が到来したことをうかがわせる。

↑ 東京都の最高気温と天候(2015年8月3日-8月9日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2015年8月3日-8月9日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2015年8月3日-8月9日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2015年8月3日-8月9日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2015年8月3日-8月9日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2015年8月3日-8月9日)(搬送人数上位都道府県、人)

東京と大阪の気温動向を確認すると、該当週では東京・大阪共に全日が30度以上の真夏日認定がなされ、さらに東京では5日、大阪では7日全日が猛暑日となっている。特に東京では8月7日に37.7度、大阪では8月8日に38.0度の高温が確認されている。

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも早くから今年向けの情報提供を開始しているところも確認できる(【今から熱中症対策をしましょう!(京都府京田辺市、2015年4月30日付け)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、5月13日から開始している。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】)。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト
↑ 環境省熱中症予防情報サイト

今回発表されたリリースでは日付を合わせる形で同年同時期の搬送者数を参考値として提示しているが、それによると昨年の同時期における搬送者数(確定値)は4945人。今年は速報値で比較するとそれより2倍以上の6274人多い計算になる。都道府県別の動向を見るに、いずれの地域でも前年同時期と比べて搬送者数は増えているが、特に愛知県や大阪府、兵庫県など、今回週の搬送者数上位の地域=人口密集地域、とりわけ西日本地域において、搬送者数の増加率が大きいように見受けられる。

また累計搬送者数について、前年と比較できる期間(5月19日以降)に限って比較すると、2014年は3万1181人だったのに対し、今年はすでに4万5524人となり、1万人以上の増加が確認されている。今後も高温状態が継続すれば、さらに昨年以上の値が生じてしまう可能性は否定できない。

電力需給の観点では昨年の状況から進歩がほとんど見られないのが残念な話ではある(一応、先ほど九州電力管轄の川内原発が再稼働を行い、2013年9月に関西電力の大飯原発停止以降、原発による発電が無い状況からは1年11か月ほどぶりに脱することとなったが)。ちまたで電力不足が騒がれ、また電気代の高騰が続くと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる(【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話もある)。せめてそれ以外の点で昨年よりも熱中症による救急搬送者が減るよう、各自最善を尽くしたいものだ。


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