ツイッターのアクセス動向をグラフ化してみる(2015年)

2015/05/17 15:00

チャット形式のミニブログサービス「Twitter(ツイッター)」を提供しているツイッター社は2013年11月7日付でニューヨーク証券取引所に上場(コードはTWTR)、大型のインフラサービス系IT企業の上場として大いに市場の話題を集めることとなった。上場以降は基本方針・事業内容こそ変わらないものの、それまで以上に株主の視線を気にする、収益確保の姿勢をより強く示す動きを示している。今回はそのツイッター社の公開資料を基に、ツイッターのアクセス動向を確認していくことにする。

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ツイッターのアクティブユーザーは3億0200万人


データの取得手順は【アマゾンドットコムの売上推移などをグラフ化してみる】で紹介したものとほぼ同じ。SECの【SEC Filings & Forms】から【Search for Company Filings】を経由し、【Boolean and advanced searching, including addresses】を選択。そして検索キーワードとして「twitter 10-k」を入力すれば年次会計報告書を取得できる。「twitter 10-q」ならば四半期単位の報告書。なおツイッター社では決算発表当日に同社公式サイトに概要的決算報告書を掲載し、それから一か月ほど遅れる形で詳細な報告書をSECに登録する。今回は2015年5月11日付でSEC上に公開・発表された、2015年第1四半期(Q1)=四半期会計報告書までを合わせて確認する。

会計報告書は財務面のデータがメインだが、それを裏付けるための本業の動向、ツイッター社なら主事業のツイッターに関する成長性についての数字も記されている。それらを元に諸動向を確認するが、まずはツイッターの月次アクティブユーザー数(MAU。monthly active users。月一以上の利用者数)。2010年3月時点では3000万人でしかなかったMAUだが、直近の2015年3月では3億0200万人。10倍強に成長し、まさに右肩上がり状態にある。

↑ ツイッターの月次アクティブユーザー(世界規模)(億人)
↑ ツイッターの月次アクティブユーザー(世界規模)(億人)

グラフの傾斜をよく見ると分かるのだが、2013年の夏あたりから成長率はやや鈍化しつつある。3か月単位での成長率は当初30%前後を維持してきたものの、2013年後半以降は6%前後、直近四半期では1%に留まっている。とはいえ、直近1年間でも18%もの成長を見せていることに違いは無い。

当然、閲覧されるタイムライン数も大きく成長している。テレビにおける視聴率のような意味合いを持つこの値は、ツイッターが広告宣伝媒体としても注目すべき対象であることを意味している。……はずなのだが。

ツイッター社では2015年Q1会計報告書分から、このタイムライン数、そしてこの後に続くアクティブユーザー数あたりの閲覧数、そして1000ビューあたりの広告売上の公開を停止してしまった。説明によればこれらの値はツイッターにおける正確な業務状況の推移やパフォーマンスの良し悪しを精査するには誤解を招きかねない、確からしさに欠ける指標であるため、公開を止めたとのこと。まるで某大手ソーシャルメディアにおける情報公開の推移を見ているようでもあり、その公開性に対する姿勢の変化には残念さを覚えるものではあるが、それが施策であるのならば仕方があるまい。

よってこれ以降は現時点で最後の情報公開となった2014年Q4分までの動向を記述するものとする。

↑ ツイッターの月次タイムライン閲覧数(世界規模)(億)
↑ ツイッターの月次タイムライン閲覧数(世界規模)(億)

上記のMAU動向と比べると、タイムライン閲覧数は上場前後に一度大きく減少し、その後再び増加率をそれ以前のものに戻している。一時的な減退について詳しい説明はないが、タイムライン閲覧数は指標の一つでしかなく、閲覧あたりの会話は増加しているなどの言及が、発表当時にツイッター社幹部からなされていることが確認されている。またこの前後にはAPIの制限に伴うサードパーティークライアントの、利用者におけるポジションシフト(APIバージョン1.0の提供が2013年6月11日付で終了し、上位バージョンの1.1に未対応のサードパーティークライアントがサービスを終了している。これに合わせて公式クライアントへのシフト誘引も推し量った感は強い)もあり、それも減退の一因と考えられる。実際、後述するように、このタイミングに合わせて各種広告システムにも動きがあったことも合わせ、表示回数あたりの広告売り上げは大きく成長している。

2014年Q3からQ4への3か月の上昇率は1%。これは同時期のMAUの増加率1%と比べるとほぼ同じ。前四半期の4%と比べると大きなスピードダウンに違いない。ツイッター社側ではこの時の決算発表と前後して、ユーザー数の増加を促し離脱率を抑え込む施策として、グループチャット機能の導入や重要なツイート表示機能の実装などを実施しており、さらにGoogleとの間でリアルタイム検索に関する契約を締結したことが伝えられている(【ツイッターとグーグルが契約してリアルタイム検索が復活するかもという話】)。同社側でも危機感を覚えていたことは確かなようだ。

より濃く、より「貢献する」ユーザーに


ツイッターがより幅広い、影響力の大きなメディアに成長し、商業価値を高めるか否かの判断に役立つ指標としては、利用者の動向も挙げられる。MAUの成長は鈍化しているが、利用者のツイッター社への貢献度合いはより高いものとなっている。次に示すのはアクティブユーザー数の月次閲覧数。

↑ ツイッターの月次アクティブユーザーあたりの閲覧数(世界規模)
↑ ツイッターの月次アクティブユーザーあたりの閲覧数(世界規模)

利用者の中には退会してしまう人も少なくないが、継続利用している人はフォロワー・フォローしている人も増え、利用時の取得情報も増えていく。より一層のめり込んで、タイムラインの取得を頻繁に行うようになる。そのような「濃い利用者」が増え、平均的な閲覧数も増えていく。

一方で上記でも触れている通り、上場前後に合わせて行われた各種施策の変更に伴い、2013年の第4四半期に一度、大きな減退が生じている。しかしその後再び増加を示した……が、その後横ばい、やや漸減の動きすら示しているのが現状。

漸減傾向は2014年Q2から継続するもので、Q3ではこの動きを受け、ツイッター社の株価は大きく急落した。ところがQ4では逆に大きな上昇を示している。

↑ ツイッター社の株価動向(MSNマネーから)
↑ ツイッター社の株価動向(MSNマネーから)。上昇したのはツイッター社から今四半期決算が発表された直後。SECに詳細データが掲載される一か月ほど前の話

この株価上昇の原因となったのが、一つは上記で挙げたGoogle社との契約。そしてもう一つが売り上げの大半を占める広告売上の収益率の改善。上場に合わせて行われた、公式クライアント利用のための各種施策が大いに功を奏しており、直近では1000ビューあたりの広告売り上げは2.37ドルに達している。前四半期比で34%の増加である。

↑ ツイッターの1000ビューあたりの広告売上(世界規模、ドル)
↑ ツイッターの1000ビューあたりの広告売上(世界規模、ドル)

広告の展開方法の多様化やクライアントの質の向上、公式クライアント利用への誘引も小さからぬ要因だが、主な収益率向上の理由として、モバイル化が進んでいることが挙げられる。2014年Q4の報告書でもこの件について特に言及しており、

「モバイルはツイッター社のビジネスにとって主軸的存在となった。2014年12月末に終了した四半期においては、広告収入の85%以上は携帯電話(※主にスマートフォン)によるものである」

とコメントしている(年ベースとなる2014年分では85%)。なお直近の2015年Q1ではさらにモバイル化が進んでおり、この値は89%にまで達している。

また同時にツイッターとの直接的関係性には触れていないが、インターネットへのアクセスはパソコンよりも携帯電話やネットブック、タブレット型端末、家庭用ゲーム機、そしてインターネットテレビ経由によるものがこの数年、爆発的に増えていると言及し、ツイッターもまたパソコン以外の利用が増えるのは当然の成り行きであると説明している。その上で、世間一般におけるモバイル端末の利用状況に合わせて、ツイッターの使用やアプリケーションの最適化を常に図るようにしないと、売上を支える広告収入が減退するリスクを持っていると説明し、今後も逐次環境改善やサービスの開発を続けていくと力説している。

これらの動きは、元々ツイッター自身が携帯電話のSMSをベースとしたものであることを考えると、ごく自然な流れであるともいえよう。



本文中で触れている通り、ツイッター社では2015年Q1分からアクセス動向の指標をほとんど非公開化してしまっている。公開したところで自社の業務成績やパフォーマンスとはさほど関係が無く、むしろ誤解を招きかねないからだとの説明だが、第三者からは「誤解を受けないような値を売上など金銭の方の値で出せばよいまでの話」でしかなく、精査材料の縮小は逆に誤解を招きかねない感は強い。

すでに4月29日付の報道にもある通り、今件値の速報値も含めたツイッター社からの決算短信に関しては、手違いによって従来の公開タイミングより前に情報が流れてしまい、内容を悲観した株主の売りにより、2割近い株価下落を示す形となった。

ツイッター内部で色々と試行錯誤が続いていることに違いはあるまい。


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