アメリカのいわゆる「未婚の母」による出生率をグラフ化してみる(2015年)

2015/02/09 15:00

先に【アメリカの人種別出生率の詳細をグラフ化してみる】においてアメリカ合衆国の主要人種別出生率の詳細を調べ、主に非白人系の人たちがアメリカ全体の出生率を引き上げている現状について精査を行った。結果としては属性別に大きな差があるものの、いずれも現状値は日本よりはるかに高い値を示していた。この高値の一因として挙げられるのが、アメリカの出生率絡みでの社会的側面ともいえる「未婚の母」(婚外子出生者)の問題。今回はそれらの実状に関して実情などを確認していくことにする。

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アメリカの出産数の4割は未婚の母によるもの


元となるデータはアメリカの疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention)内にある【人口動態統計レポート(National Vital Statistics Reports)】から、人種別の合計特殊出生率(Total fertility rate)の最新データが含まれている「Births: Preliminary Data for 2012. NVSR Volume 62, Number 3. 33 pp. (PHS) 2013-1120」など、「Births: Preliminary Data for」あるいはあるいは「Births: Final Data for XXXX」と銘打たれている、毎年1回発行されるレポート。このデータにおいて、「各属性の出産数のうち、結婚していない女性によるもの(Percent of births to unmarried women)」のデータを逐次抽出していく。データが確認できる1998年までのものを探し(「women」が「mothers」など表記が変わっている場合もあった)グラフ化したのが次の図。例えば最新データとなる2013年ならアメリカで出産した子供の40.6%は「未婚の母」によるもの(婚外子、非嫡出子)ということになる。

そして不足している過去のデータは【National Vital Statistics System】から抽出可能なものに関して値を取り出して加えていく。1999年以前は一部属性についてデータが未公開のため、グラフで欠けなどが生じている。なお今件では黒人・白人は非ヒスパニック系に限定した値を採用している。

↑ アメリカの主要人種別「婚外子出生率」
↑ アメリカの主要人種別「婚外子出生率」

日本では2%前後でしか無い(【いわゆる「未婚の母」による出生率をグラフ化してみる】)婚外子出生率だが、アメリカでは全体で4割、出生率の一番高いヒスパニックで5割強、黒人では7割強に達する。これはアメリカをはじめとして諸外国では「結婚しないまま子供を出産する」(非嫡出子)ことが社会的・文化的に容認されつつあること、国や社会全体が支援する仕組みを構築しつつある(あるいは個人の「何とかなるだろう」という楽観的な考え方、「そうせざるを得ない」という悲観的状況の増加など)が要因にあると考えてよい。ちなみにアメリカ合衆国国内のアジア・太平洋圏系の「婚外子出生率」は10%強のまま推移しており、過去からの推移も含めて他の属性と比べて極めて低い。文化的な発想・結婚に対する考え方の違いが表れているのかもしれない。

アメリカでも進む「高齢」出産化……?


データ精査の際にもう一つ目に留まったのが、若年層の出産率。こちらも人口動態統計レポートの各種データから年齢階層別の出産者人口比を取得したものだが、ここにもヒスパニック系の盛んな出産動向が見て取れる。

↑ 各人種・各年齢階層別、出産比率(アメリカ、2013年、未既婚問わず)
↑ 各人種・各年齢階層別、出産比率(アメリカ、2013年、未既婚問わず)

白人は25-34歳が出産のピーク。それに対し黒人は20-29歳、ヒスパニックも20-29歳がピーク。ヒスパニックは特に30歳以降でも白人に近い出生率を示している。要は出産頻度の高い年齢が幅広いことになる。またアジア・太平洋諸国ではピークが白人と同じく25-34歳だが、35-39歳でも6.7%と高めの値を示しており、やや高齢の出産も盛んであることが分かる(各属性では30-34歳、35-39歳、40-44歳の各層で最大の出生率を示している)。

さらに例えば18-19歳では白人が3.5%なのに対し黒人は6.7%、ヒスパニックは7.1%などの高値を示していることからも分かる通り、20歳未満の出産も概して黒人・ヒスパニックの人たちによるものが多い。アジア・太平洋諸国では逆に少なくなっているのはやや意外なところか。



日本は「未婚」と「未出産」がほぼイコール(非嫡出子は全体の1-2%前後でしかない)。そのため、未婚化・晩婚化が進めば、当然のことながら合計特殊出生率も低下していくことになる。一方で先進諸国の一部で合計特殊出生率が増加しているのは、主に今回のアメリカのように「婚外子出生率の増加」「ヒスパニックなど出生率が高い傾向にある一部移民の増加」の2要因によるところが大きい。

日本の場合は元々文化傾向として「婚姻」と「出産」が結びついており、その社会文化が維持されたまま「未婚化・晩婚化」が進んでしまったのが少子化の一因といえる。この「未婚化・晩婚化」の要因としては「経済的な不況」「若年層に対する労働市場環境の悪化」など複数の要因が挙げられているが、その他に「結婚のスタイル」の変化、つまり「見合い結婚の減少」が遠因であるとの指摘もなされている。

「未婚の母」に関する問題は本人らの意志はもちろん、文化的側面、社会的側面、人口の維持観点など、多方面から考慮すべき問題に違いない。その上で、アメリカの実情は、大いに参考になるものといえよう。


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