子育て世代=若年層の生活保護世帯動向をグラフ化してみる(2014年)

2014/06/18 15:00

内閣府が2014年6月17日に発表した、2014年版の「子ども・子育て白書(旧少子化社会白書)」は、結婚関係や子供周りの観点から各種統計資料を収録、さらに対応する政策などをまとめた白書である。これは昨今の子育て問題などを網羅しており、さらに検証できる指標が数多く盛り込まれ、注目に値する。そこで今回はその中の記述を基に、子育て世代=若年層における子育ての困難さの現況を表す一つのデータとして、生活保護を受けている若年層世帯の動向について、原本データをたどり、状況を確認していくことにする(【発表リリース:少子化社会対策白書 (旧少子化社会白書)について】)。

スポンサードリンク


先に別記事【子育て世代=若年層の所得伸び悩み具合をグラフ化してみる】でも記した通り、子育て世代=若年層の懐具合は以前と比べ厳しい状態にある。

↑ 収入階級別雇用者構成(20代)(就業構造基本調査より)(再録)
↑ 収入階級別雇用者構成(20代)(就業構造基本調査より)(再録)

さらに多種多様な要因で生活するに足りる収入を得ることが出来ない場合、国の制度における生活保護の庇護(ひご)を受ける人も出てくる。次のグラフは2000年以降の生活保護世帯数全体と世帯主が39歳以下の世帯(=子育て世代と設定)数推移、そして生活保護世帯全体に占める世帯主39歳以下世帯数比率を示したもの。世帯保護世帯全体の増加と共に、子育て世代の被生活保護世帯数も増加しているのが分かる。

なお今件データは厚生労働省の【被保護者調査】を基にしたものだが、月次データは漸次最新情報が公開されているものの、世代構成は「被保護者全国一斉調査」でないと確認できない。そして同調査は現時点で2011年分までしか公開データとして収録されていない。よって次のグラフも2011年までのものとなる。

↑ 生活保護世帯数推移(万人)
↑ 生活保護世帯数推移(万人)

↑ 生活保護世帯総数に占める世帯主39歳以下世帯数比率
↑ 生活保護世帯総数に占める世帯主39歳以下世帯数比率

景気減退の他に、少子化や核家族化に伴い世帯数そのものが漸増し、世帯を支える収入源(となる人数)が減ることで、平均世帯収入も減っていく。【収入と税金の変化をグラフ化してみる】などでも触れているが、収入そのものの水準が下がるのに伴い、生活保護世帯数が増加しているのは納得のいく話(状況そのものが好ましいわけではない)。それに伴い、生活保護を受ける子育て世代世帯も増えていく。特に金融危機ぼっ発・リーマンショックで世界的な景気後退の動きが生じた2009年以降は、増加率も加速度的な上昇の雰囲気を見せている。

保護世帯全体に占める子育て世代世帯は、直近の2011年では9.36%。統計データが取得できる2000年以降では2010年の9.59%に続く高い水準にある。また比率動向を見るに、景気の良し悪しとほぼ正比例的な関係にあることが推定できる。景気の悪化は若年層に大きな負担となる、と見ることもできよう。もっとも2011年に限ればその法則もやや的を外れている感があるため、2012年以降の動きに注目したいところ。

金銭が子育てに関する構成要素のすべてではない。しかし金銭が多種多様なサービス・物品の代替となり、それらが精神的な支えにもなることを考えれば、重要な要件であることに違いはない。子育て世代の生活保護世帯数・比率の増加は、子育てが出来る環境が劣悪化していることをも意味する。少子化対策という観点からも、同世代に対する経済的支援・方策の必要性を再認識できる数字ではある。

ちなみに2011年時点における世帯主年齢階級別・非保護世帯率は次の通り。

↑ 世帯主の年齢階級別被保護世帯率(2010-2011年)
↑ 世帯主の年齢階級別被保護世帯率(2010-2011年)

総数が増え、若年層対象世帯数も増えているのに、比率が減っているのは何故だろうと疑問に思う人もいたかもしれないが、このグラフから分かる通り、2011年では子育て世代より上の層、特に40代から50代前半、60代前半が大幅に増えたことにより、相対的に若年層の比率が下がる結果となっている。特に60代前半はこの1年だけで19.1万人から22.5万人と3万人強もの増加を占めているのが確認されている。

その大幅増加層も含め、ボリュームゾーンは60-70歳代。定年前後の高齢層。職を失う、離れて再就職が難しい、年金などでは生活が困難な世帯が対象となる事例が多い。今後高齢化社会が進むに連れ、この傾向のさらなる顕著化も予想される。リソースの分配という観点における、子育て世代へのサポートとのすり合わせが、今まで以上に困難なものになることは容易に想像できよう。


■関連記事:
【子育てに必須な住環境、トップは病院や商店など生活施設の充実】
【意外と知られていない妊娠・出産・子育て時での公的・私的援助】
【出産や育児で困る・不安事、トップは「育児費用が負担に」】
【少子化問題は経済問題!? 子育てで資金面に不安を持つ人が約7割】
【「これが子育て支援に効果あり」トップは保育所などの拡充】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー