ガソリンスタンド数の推移をグラフ化してみる(2014年)

2014/09/04 08:00

先に【レギュラーガソリン価格と灯油価格をグラフ化してみる】でガソリンや灯油の価格の推移を確認した。その灯油はお米屋や巡回の灯油販売車でも購入できるが、ガソリンはガソリンスタンドでなければ購入できない。そのガソリンスタンドだが、先の震災では大いに注目を集めたものの、昨今では経営不振でその数を減らしているとの話も良く見聞きする。今回はガソリン・灯油価格の精査に連動する形で、ガソリンスタンド数の動向を確認していくことにする。

スポンサードリンク


1990年代後半から漸減するスタンド数


年ベースのガソリンスタンド数の推移などは毎年経済産業省・資源エネルギー庁から発表されており、最新のものは【揮発油販売業者数及び給油所数の推移(登録ベース)(平成25年度末)】が該当する。またこのデータを取得したものが【全国石油協会のページ(都道府県別給油所数の推移)】にも掲載されている。

これらのデータを基に、販売業者数と給油所(ガソリンスタンド)数の推移をグラフ化したのが次の図。2枚目の図は前年比を算出して生成している。最新のデータは2013年度(25年度、2013年4月-2014年3月)のものとなる。

↑ 揮発油販売業者数及び給油所数推移
↑ 揮発油販売業者数及び給油所数推移

↑ 揮発油販売業者数及び給油所数前年比推移
↑ 揮発油販売業者数及び給油所数前年比推移

ガソリンスタンド数は1994年度(6万0421件)をピークに一環して減少を続けているが、1996年度には大きな下げが確認できる。これは、特石法(特定石油製品輸入暫定措置法)が1996年4月に廃止され、ガソリンの輸入が解禁されたことに伴うもの。また直近では2008年4月に一時的に解除された暫定税率関連の混乱に影響を受け、減少率が増加したのが確認できる。さらに前年比の値が右肩下がり、つまり減少率が増加していることから、ガソリンスタンド数全体は加速度的に減少しているのが分かる。

また2012年度以降は再び下げ幅を拡大している。これは【特別企画 : ガソリンスタンド経営業者の倒産、休廃業・解散動向調査(帝国データバンク)】の分析にもある通り「2011年6月に改正された『危険物の規制に関する規則』の影響で、猶予期間が切れる2013年1月末までに必要とされる地下タンクの改修が果たせず、消防法に基づいた許可の取り消し処分を受けた、あるいは営業の継続を断念した」「経営者の高齢化が進んでおり、休廃業・解散が進んでいる」「仕入れ価格の上昇や地球温暖化対策税導入で収益が悪化し、廃業を選択した」などが原因として挙げられる。特に2013年度は資料の特記事項として「職権消除件数」が併記されており、事業者は252件、給油所数は281件に達している。

セルフスタンドとフルサービスと


ガソリンスタンドにはフルサービスを行う通常のスタイルのものに加え、いわゆる「セルフサービス」のガソリンスタンドも存在する。これは1998年4月に消防法が改正され「顧客に自ら給油などをさせる給油取扱所」の運用が可能となり、それ以降に登場したタイプのスタンドである。資源エネルギー庁発表のデータは登録ベースであり、セルフスタンドも登録は必要なので、全ガソリンスタンド数にカウントされる(資源エネルギー庁・全国石油協会双方に確認済み)。

セルフスタンドのみの数については日本エネルギー経済研究所石油情報センターの【石油情報センター調査報告書】内の「セルフSS出店状況」で直近値を知ることができる。ここから各年度の最終四半期の値を抽出し、概算の「セルフスタンド年度・数」を導き、ガソリンスタンド全体数と比較して「セルフスタンド」「フルサービスのスタンド」双方の数を算出。積み上げ型の棒グラフにしたのが次のグラフ。

↑ 給油所数推移(フルサービス・セルフサービス別)
↑ 給油所数推移(フルサービス・セルフサービス別)

セルフスタンド数は漸増しているため、ガソリンスタンド全体に占める比率が増加している。しかしセルフスタンド数の増加以上に、フルサービスのスタンドが減少しているため、全体としてガソリンスタンド総数が減っているのが把握できる。概算ではあるが直近データでは、ガソリンスタンドの約1/4がセルフスタンドという計算になる。



ガソリンスタンド数の減少について資源エネルギー庁では2007年9月に【石油流通分野の現状と課題について(PDF)】の中で、「自動車保有台数の減少」「走行車両の燃費向上」「走行距離そのものの減少傾向」などからガソリンの需要が減少し、必然的に供給する場のガソリンスタンドの需要が低減していること、そして石油販売業者の収益性が低いままであること(特石法廃止以降は特に)などを分析結果として挙げている。また、この数年の急激な減少の理由は上記で記した通り、地下タンクの安全性確保のための法令改正や収益の悪化、経営者の高齢化など複数要因によるものである。

一方、自動車が移動運搬手段として必要不可欠なこと、電気自動車などガソリン自動車の代替手段の浸透にはまだ時間がかかること(さらに現状をかんがみるに、ガソリン式の自動車が電気自動車にすべて置き換わることは難しい)を考えると、ガソリンスタンドはインフラを支える場として欠かせない、公共性の高い存在なことがあらためて理解できる。

ガソリンスタンドは耐震性・耐火性などの基準が極めて厳しく、先の震災でも致命的な被害は出ずに、震災後の復旧時におけるインフラをサポートする拠点として、大いに頼りになった。そしてそれと共に、スタンド数そのものが不足気味であることは、多くの人が記憶に留めているはず。

収益性が低いガソリンスタンドの現状を合わせて考えれば、「ガソリン価格が高いのはガソリンスタンドが暴利をむさぼっているから」と不確かな認識のもとに闇雲に責め立て、ガソリン行政を混乱させ、揚げ句にスタンドの事業破綻を加速させた「暫定税率一時撤廃騒動」は何だったのだろうか。インフラの重要性と共に、改めて考えさせられるものがある。


■関連記事:
【東北地方はガソリン・灯油不足が85%…地震発生からの困りごと、水や食料・電池などの不足が上位】
【入手困難な品々、4割強は「手に入れるために東奔西走」】
【燃料途絶でも10日間の配送可能・埼玉県杉戸町にセブン&アイの燃料備蓄基地完成】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー