2015年5月度外食産業売上プラス0.8%…洋風ファストフードは売上高10.9%減

2015/06/25 15:00

日本フードサービス協会は2015年6月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2015年5月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス0.8%を計上した。日取り上の底上げ要素や好天に恵まれたことを受け、軟調の洋風ファストフードのマイナス分を補ってあまりある結果となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が194、店舗数は3万2998店舗。今月は前月と比較すると事業社数は減り、店舗数は増加している。

全業態すべてを合わせた2015年5月度売り上げ状況は、前年同月比で100.8%となり、0.8%の増加を記録した。これは先月から転じる形で3か月ぶりの増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日・土曜日共に1日多く、ファミリー層の来客機会の観点での影響はプラスに働いた。一方天候では東京で4日雨天日が少なく、大阪では3日雨天日が多かったが、気温は概して高めとなり、天候要因でも外出機運を後押しし、売上に貢献した。

他方2014年4月に行われた消費税率改定だが、外食産業そのものには特に影響は無く、「ついて来客」の観点での影響が多少想定される程度。具体的にはショッピングセンターなどで税率改定後における、駆け込み需要の反動などに伴う買い物機運の減退が2014年4月以降しばらくの間生じており、買い物のついでに内包・隣接する外食店で食事をする事例が減り得るもの。ただし2014年5月の外食産業全体としての売上は、その時の前年同月比でプラス2.8%を計上しており、影響は無視して構わない程度のものと考えられる。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から継続して5か月連続のマイナス(マイナス3.0%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風は、そのメイン企業となるマクドナルドが、昨年夏からの相次ぐトラブル、さらにはそれをきっかとした中長期に渡る問題点の露呈化や市場動向の変化に対応しきれない状況が継続しており、客数は大きく下落。洋風の他企業はそれなりの業績を見せたものの(例えばモスバーガーの5月における既存店売上高前年同月比はプラス4.4%)、マクドナルドのマイナスの影響は極めて大きく(マイナス22.3%)、これがファストフード部門、そして外食産業全体の足を大きく引っ張る形となった。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス7.6%、客単価は大きく上げてプラス13.1%と成し、売上もプラス4.6%とプラスを計上。大手の吉野家が牛丼など価格を昨年12月に引き上げたことや、鍋メニューをはじめ、他社も合わせて高単価商品を続々と展開したのが大きな要因。持ち帰り米飯・回転寿司は前年同月に一部で値引きキャンペーンを行っていた反動によりマイナス。その他部門では気温の上昇に加え値引きキャンペーンが大いに貢献し、アイスクリームが好調な値を示したことからプラスに。

ファミリーレストラン部門は中華の客足がやや不調なものの(人員不足で店舗数が減ったために営業時間短縮を余儀なくされた店が生じている)、それ以外は客単価・客足共にそこそこ。全体もプラスを示している(プラス6.6%)。特に和風が堅調で、客数・客単価共にプラス、全体もプラス9.3%を計上。

パブ/居酒屋部門ではパブが気温の高い日が多かったことから順調に推移したものの、居酒屋は店舗数減少もわざわいして売り上げはマイナス1割以上。客足の遠のきが痛手となっている。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年5月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年5月分)

日取りの良さと
好天候が客足を底上げ。
ファミレスは概ね堅調。
洋風ファストフードの
受難継続中。
昨年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが、昨夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は昨夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いている。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、昨年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はある。

もちろんこの動向を手をこまねいて見ているだけのはずがなく、同一業態内の洋食ファストフードの他チェーン店では自社の得意部門にさらなるリソース投入を行い、新商品・サービスを展開し、個性の強調・区別化を図る施策を実施している。またマクドナルド自身も「最悪期は脱した」とのコメントを発し、次々に施策を打ち出しているが、それが効果的なものとなるのか否かを見極めるにはしばらくの時間が必要に違いなく、今なお業績の上では大きなマイナス値を計上している事実は否定できない。

一方同じファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトする動きが見受けられる。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続しており、中期的戦略転換が数字となって表れているように見える。

居酒屋の不調続きも要注意ポイント。こちらは食材の影響は無く、純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じてしまっている。現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、お酒を飲むこと以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。

もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が試験運用している「吉呑み」が堅調さを示し、ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告が相次ぎなされ、その実態が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2015年5月は既存店で客数プラス0.6%・客単価プラス1.0%、売上高プラス1.6%を計上している)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。

他部門が比較的良い動きを示し続ける中で、とりわけここ数か月不調が続くファストフードの洋風、そして居酒屋。この2部門の回復状況が、外食産業全体の動向を精査するうえで、今後も注視すべき重要ポイントといえる。また今年の夏は7月から8月にかけては雨が多くなるとの長期予想が出されている。それが外食産業にどのような影響をもたらすことになるのか、気になるところではある。


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