携帯回線利用がずりゅっと伸びる…自宅パソコンのネット接続回線の種類をグラフ化してみる(2014年)

2014/07/03 14:00

総務省は2014年6月27日、平成25年(2013年)調査の結果による「通信利用動向調査」を発表した(【発表ページ:通信利用動向調査】)。この調査結果は独自調査を中心にした、日本のインターネットや携帯電話など、情報通信関連の各種調査結果をまとめた調査結果であり、毎年夏に発表される予定の【情報通信白書】の情報の基盤としても用いられる、同省の情報通信統計として非常に有益なものである。今回はそれらの公開データを用い、「自宅のパソコンなどを介したインターネット接続回線の種類(世帯単位)」について、その実情を確認し、過去のデータと合わせて検証することにより、状況の変化を推し量ることにする。ブロードバンド化の進行、インターネットの窓口としての端末の移り変わりなども見て取れよう。

スポンサードリンク


今調査(通信利用動向調査)は2014年1月-3月に、世帯向けは都道府県及び都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に、企業向けは常用雇用者規模100人以上の企業に対し、郵送による調査票の配布及び回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万5599世帯(4万3625人)、2216企業。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。

今「通信利用動向調査」によると、2013年12月末時点のインターネットの普及率(過去1年間にインターネットを利用したことがある人の率)は82.8%・利用者人口は1億人を突破し1億0044万人。この調査結果における「インターネット利用」とは、6歳以上、過去1年間にパソコン、携帯電話(従来型携帯電話だけでなく、スマートフォンやPHS含む)・ゲーム機・タブレット機などあらゆる端末で、インターネットにアクセスすることを意味している。アクセス対象の機器を自分が保有しているか否か、利用目的が私的か仕事上のものか、あるいは学校の学習用であるかなどは問われていない。学校の授業でのみ利用したとしても、携帯電話経由のみの人も「利用者」に該当する。

「自宅」の「パソコン」など(タブレット型端末、インターネットテレビなども含まれる。携帯電話やスマートフォンの「単独利用」は、今件では含まれない)でインターネットに接続する際、その接続回線の種類はブロードバンド(光、DSL、ケーブルテレビ、携帯電話回線など)・ナローバンド(ISDN、電話回線によるダイヤルアップ、PHS回線)のいずれなのか、そしてその普及率はどれほどなのかを記したのが次のグラフ。

複数回答なので双方を並列導入している場合もあるが、ナローバンド回線は2007年から2010年の間は、確実に普及率が確実に減っている。しかしそれを底として、それ以降は若干ながら増加の動きを示していた。ところが2013年では大きく減少しているのが確認されている。なお今件の調査対象は「自宅からパソコンなどでインターネットを利用している世帯」であり、直近の2013年では9997世帯である。

↑ 自宅パソコン等のインターネット接続回線の種類(世帯)(-2013年末)(過去一年間の接続者限定)
↑ 自宅パソコン等のインターネット接続回線の種類(世帯)(-2013年末)(過去一年間の接続者限定)

ブロードバンド回線の普及率(ネット接続世帯比)は最新値の2013年末で97.4%。パソコンなどでインターネットを使っている世帯では、ほぼすべての世帯が導入している計算になる。データが開示されている最初の年2006年から2013年までに30%ポイント近くまで増加しており、確実な普及の様子がうかがえる。

入れ替え的な立場に見える「ナローバンド普及率」と「ブロードバンド普及率」の伸縮を比較すると、後者の伸びがやや鈍いのは、インフラの整備が遅れていること、「ブロードバンド・ナローバンド双方を使用している人が後者の利用を取りやめたのみで、ブロードバンドは元々利用していた事例があり、その場合はブロードバンドの普及率向上には換算されない」と考えることができる。さらに加えると後述するが、PHS回線の増加に伴い、ナローバンド回線の利用世帯率が一時的に底上げしていたのも一因。ただし2013年ではこの微妙な位置関係は大きく変わり、ブロードバンドが大きく伸びて、ナローバンドがグンと落ちる結果となっている。

ブロードバンド・ナロードバンド双方で、具体的にどのような種類の回線を利用しているのかを示した利用率グラフが次の図(一部項目のみを抜粋)。

↑ 自宅パソコンのインターネット接続回線の種類(世帯/詳細)(-2013年)
↑ 自宅パソコンのインターネット接続回線の種類(世帯/詳細)(-2013年)

かつて日本においてブロードバンド環境を加速度的に浸透させ、一世を風靡した、ADSLに代表されるDSL回線はその普及率を下げ、一方で光回線が急速に伸びを見せている。

最新のデータ、2013年分においては、光回線やケーブルテレビ回線は伸び続け、固定無線回線もじわりと伸びている。一方でISDN回線やダイヤルアップ回線は急激に落ち込んでいる。そして何よりも携帯電話回線の過激なまでの伸び方が確認できるが、これは「データ通信専用」の定額プランなどで展開している、SIMカード利用者による結果といえる。

ただしこの伸び方は幾分イレギュラーな動きでもある。データを精査すると今件は定義上、パソコン、タブレット、インターネットテレビ、そして「その他の機器」からのアクセスに限られ、スマートフォンからの直接アクセスは該当しない(他項目の利用機器選択肢でも「スマートフォン」「携帯電話(従来型)」「その他の機器」と別途分けられている)。しかし回答者の一部が回答時に「スマートフォンはパソコンとは別の、その他の機器」と誤認してしまった可能性は否定できない。一方で携帯ゲーム機などにおいて、携帯電話などをモデムとして用いてインターネット接続を利用する事例も考えられよう(いわゆるテザリングという仕組み)。



昨年までの今件記事ならこのあと、ナローバンド回線の漸増に関してPHS回線が大きく関与している話が記述されていた。しかし今件2013年のデータを見る限り、ナローバンド回線の自宅からの利用は大きく減っており、PHS回線の利用者も0.7%に留まっている。またPHSの契約件数データも、肝心の電気通信事業者協会(TCA)の公開データ自身が「2013年10月以降、PHSおよびBWA事業者から月次契約数の情報提供が取りやめられたため、PHSおよびBWA契約数は掲載しておりません」とあり、2013年10月以降は非公開化されたため、動向がつかめなくなっている。

↑ PHS契約数推移(TCAデータから)(万件)(-2013年9月)
↑ PHS契約数推移(TCAデータから)(万件)(-2013年9月)

かつてナローバンド回線からインターネット接続環境の主役を奪い、日本にブロードバンド環境を浸透させたDSL回線。しかし今では光回線とケーブルテレビ回線との間で、攻守立場を変えた戦いのさなかにあり、劣勢に立たされている。2013年末時点では普及率順で光回線・携帯電話回線・ケーブルテレビ回線・DSL回線の順となっている。

一方トップの光回線の普及率は59.3%。2013年でも「2世帯に1世帯」「過半数」の域に達してるが、かつてのような加速度的な普及率上昇ではない。今後も自宅の固定回線でのブロードバンド化が進むには違いないものの、機動力の高いインターネット端末の高速化に需要の焦点が移っている。

今後モバイル系、特にスマートフォンやタブレット機の普及に伴い、自宅のパソコンのインターネット接続のスタイルがどのような変貌をとげることになるのか。今回突出する形で伸びた携帯電話回線の利用状況を考慮すると、大きな変化が起きそうな感はある。


■関連記事:
【インターネットで使われている言語の普及率をグラフ化してみる(2014年)(最新)】
【アジア諸国のインターネット普及率などをグラフ化してみる(2013年)(最新)】
【世界地域別インターネットの普及率などをグラフ化してみる(2013年)(最新)】
【先進国3/4・新興国3割足らず…世界全体のパソコンとインターネットの世帯単位普及率をグラフ化してみる(2013年)て】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー