パイプラインとLNGと…天然ガス輸入量の動向をグラフ化してみる(2014年)

2014/09/01 08:00

国際石油資本BP社では毎年エネルギー関連のデータを集約した白書「Statistical Review of World Energy」を発行している。記事執筆時点では2014年7月15日付で発表された【Statistical Review of World Energy 2014】が最新のものだが、今回はこのデータを用い、各国における天然ガス(パイプライン経由、LNG経由)の輸入動向を見ていくことにする。

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パイプライン経由はドイツが一番、アメリカ二番


天然ガスの特性などは以前の記事【天然ガスの生産・貿易動向をグラフ化してみる(エネルギー白書2010版)】などで詳しく解説しているので、そちらを参考のこと。ちなみにLNGとはLiquefied Natural Gas、つまり液化天然ガスの略で、天然ガスを運びやすく・貯蔵しやすくするため、凝縮して液化させたものである。

天然ガスは環境負荷が小さいこと、埋蔵量が石油と比べて多いこと、そして【世界の天然ガス埋蔵量の急増(JOGMEC、2011年)(PDF)】のレポートにもあるように、技術の進歩によってこれまで「採掘困難、採算が取れない」とされてきた「非在来型ガス」(例えばシェールガス…泥岩の一種である頁岩(シェール)に含まれる天然ガス)の多くが採掘可能となり、「確認埋蔵量」(現在の技術で経済的に採掘できる量)が増加していることから、大いに注目を集めている。日本でも他国同様、天然ガスの重要度は年々増加している。

まずはパブライン経由による、天然ガスの輸入量の上位国を確認する。直近の2013年ではドイツが最大の輸入国となっている。

↑ パイプライン経由による天然ガス輸入量(2011-2013年、億立方メートル))
↑ パイプライン経由による天然ガス輸入量(2011-2013年、億立方メートル)

後述するがアメリカは天然ガスのほとんどをカナダからパイプライン経由で輸入している。地の利を最大限に活かした輸入である。一方ドイツはノルウェー・ロシア連邦・オランダの3か国からの輸入となる。このドイツをはじめ、ヨーロッパ諸国のうち何か国かは、ロシアからの天然ガス輸入のためのパイプライン絡みでしばしばニュースに登る機会があり、聞き覚えがある人もいるはず(昨今では外交交渉の切り札にも使われた)。ちなみにそのロシア自身も、カザフスタンなどのような、かつてのソビエト連邦下にあった周辺国から少なからぬガスの輸入を受けている。

この「パイプライン経由」の天然ガス輸入だが、近辺に天然ガスの輸出国を持つ国の場合、その国からの輸入が多くなる。次のグラフはパイプライン経由の輸入第1位・第2位の国における、輸入元の内情を見たもの。直上にある通りドイツはオランダ・ノルウェー・ロシア連邦から分散する形で輸入を受けている一方で、アメリカはほぼカナダ一国に頼っている(アメリカにおけるメキシコからの輸入は端数程度で、グラフ生成の際の計算上ゼロとなってしまっている。厳密には0.030……億立方メートルである)。

↑ パイプライン経由による天然ガス輸入量(2013年、億立方メートル、ドイツ、輸入元別)
↑ パイプライン経由による天然ガス輸入量(2013年、億立方メートル、ドイツ、輸入元別)

↑ パイプライン経由による天然ガス輸入量(2013年、億立方メートル、アメリカ合衆国、輸入元別)
↑ パイプライン経由による天然ガス輸入量(2013年、億立方メートル、アメリカ合衆国、輸入元別)

政治的な対立や政情不安定化に伴う供給途絶リスクを考えた場合、よほど安全で安定した相手でない限り、輸入元は分散した方が良い(「全部の卵を一つのかごに盛るな」の考え方)。その観点で考えると、ガス供給源としてアメリカはカナダを全般的に信頼し、ドイツは地の利を活かして複数個所からバランスよく供給を受けていることになる。ただしドイツの場合、ロシア連邦からの輸入比率が増加しており、これが昨今のウクライナ情勢において、ドイツが外交上色々と苦慮する要因となっているのは、よく見聞きする通りである(この構図はドイツに限らず複数のヨーロッパ諸国でも同様)。

LNGは圧倒的に日本が多い


天然ガスを輸入する場合、ルートにもよるが、一般的にはパイプラインで輸入できるのならその方が安上がりで済む。しかし地理的問題などでそれがかなわない場合、LNGでの輸入となる。次のグラフはLNG化した天然ガスの輸入量で、日本が断トツのトップについている。

↑ LNGによる天然ガス輸入量(2012-2013年、億立方メートル)
↑ LNGによる天然ガス輸入量(2012-2013年、億立方メートル)

次いで多いのは韓国、中国、インドの順。ヨーロッパ諸国の一部で輸入量が減っているが、これはパイプライン経由のガス輸入の増加や、景気動向の関連で需要そのものが減っているのが要因。

なおアメリカが入っていないが、これは2013年において前年比でLNGの輸入量が減ったため。LNGだけでなくパイプライン経由でも輸入量が減っている。詳しくデータを見るとガスの消費量=必要量は増加しているが、自国内で生産できる量も増えている。それが今回輸入量が減った原因である。

なお日本の天然ガス(LNG)輸入元だが、これだけ大量のガス(パイプライン経由のドイツ総量より多い)をまかなうため、多種多様な国からのものとなる。無論、リスク分散という観点に寄るところも大きい。

↑ LNGによる天然ガス輸入量(日本、2013年、億立方メートル)
↑ LNGによる天然ガス輸入量(日本、2013年、億立方メートル)

↑ LNGによる天然ガス輸入量・輸入対象国別比率(日本、2013年、BP社資料掲載分のみで算出)
↑ LNGによる天然ガス輸入量・輸入対象国別比率(日本、2013年、BP社資料掲載分のみで算出)

BP社の資料のうちガス輸出入関連のページでは、輸出した側の国が横軸に並んでいるが、その横軸の国に一番多く数字が配されている(=その国から輸入している)のは日本。パイプライン経由とLNGを足した、総合値としての輸入量でもトップを行く日本が、いかに天然ガスの調達に苦心をしているかがうかがえるデータではある。


■関連記事:
【世界中からお世話になってます…日本の石油・石炭・LNGの輸入元をグラフ化してみる】
【世界各国の天然ガス埋蔵・生産・輸出入量などをグラフ化してみる(2014年・EIA版)(最新)】

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