携帯・スマホで2割近く、PC減るもタブレットが補完…メディア視聴時間推移(2014年)

2014/06/17 11:00

先日博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が発表した、同所が定点観測的に行っている「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査・2014」(抜粋版)では、携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォンの双方を含む。以下同)の利用時間の大幅な拡大、パソコン(PC)の利用時間の減退、タブレット端末の意外な利用時間の長さ、4大従来メディアではテレビが時間的にはやや伸びたものの、他の3メディアが大きくその長さを減らしたことなどが明らかにされた。今回はその経年変化を確認し、人々のメディア接触時間の変化とライフスタイルの変容を推し量ることにする(【発表リリース:博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所「メディア定点調査2014」】)。

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漸増する総接触時間


今調査の調査要項や注意事項(2014年から幾分項目などの変更が行われている)は先行する記事【モバイルは大きく増加、ラジオ・新聞・雑誌は減少中…メディア接触時間推移(2014年)】で説明済み。詳しくはそちらを参考のこと。

過去の分も合わせて「メディア定点調査」における各主要メディア毎の、一日あたりの平均接触時間を時系列に並べてグラフ化したのが次の図。2008年までメディア接触時間総数は減少していたが、2009年以降大きく増加。そして2010年以降は事実上横ばい。ところが2014年にはグンと伸びる動きを見せた。

↑ メディア接続時間時系列推移(分、一日当たり平均)(東京)(-2014年)
↑ メディア接続時間時系列推移(分、一日当たり平均)(東京)(-2014年)

冒頭で触れた通り4大従来型メディアではテレビがやや伸びた以外、残りの3メディアは時間を短縮。インターネットを使うメディアではPCがややその値を減らしたものの、携帯電話は大きな伸びを見せ、2014年初登場となるタブレット端末もいきなり20分近い値を呈した。これらの動きにより、総メディア接触時間は30分以上も増加する形となった。

一方、このような動きがある中でも、単独項目ではテレビが最大利用時間の地位を維持していることに違いは無い。ただし「インターネットメディア」というくくりでPC、タブレット端末、携帯・スマホの時間を全部足すと161.3分となり、テレビ単独の156.9分を超えることになる。タブレット端末の項目が加わったのも一因だが、この計算方法でテレビ時間を超えたのは、2014年が初となる。

大きく伸びる携帯電話利用時間


それぞれのメディア接続時間の増減について、公開されている範囲で最古データの2006年時の値を基準値の100%と設定。それぞれの変化の流れを見たのが次の図。この算出方法により、他のメディアの動きとは関係なく、個別でどれほど時間の伸縮が生じているのかが把握できる。

↑ メディア接続時間時系列推移(分、一日当たり平均で算出した値が元値)(-2014年)(個々媒体の2006年の値を100%とした時の推移)
↑ メディア接続時間時系列推移(分、一日当たり平均で算出した値が元値)(-2014年)(個々媒体の2006年の値を100%とした時の推移)

各媒体の動向が非常によく理解できる。例えば4マスはテレビですらも減少しているが、4マス内の他のメディア、ラジオや新聞などと比べれば健闘している。またインターネット接続により「魔法のツール」と化すデジタル系機器だが、パソコンは意外にも(!?)2011年がピークでそれ以降は漸減。一方、それとほぼタイミングを同じくして、携帯・スマホは伸び率を加速化ざせている(タブレット端末は今年からの登場なので今件グラフでは反映しない)。

また今年、2014年における昨年からの動きで注目点を挙げるとすれば、

・ネット接続で携帯電話の伸びとパソコンの縮小の動き継続
・数年来減少していたテレビ接続時間が約5分増加
・新聞やラジオ、雑誌の時間短縮は続き、3つを合わせた時間ですらPC単独より短くなっている
 (当然、携帯・スマホよりも短い)

などが挙げられる。

テレビ離れは2010年以降の傾向として表れていたが、今年は久々に増加した。これがイレギュラー的なものか、あるいは継続的なものかは翌年以降の動き次第だが、広告費動向や他の類似調査結果でも、4マス中唯一テレビが復調傾向を示していることから、あるいはトレンド転換を示しているのかもしれない。もっとも残り3マスの時間は減少を続けているため、従来型4マス全体の接続時間が減っていることに変わりはない。

シェアの変移から時代の流れを知る


次に示すのは絶対時間の変移では無く、メディア接触時間全体に示す、各メディアの時間のシェア推移。絶対時間の動向よりも明確に、人々のメディアへの触れあい方に変化が生じている、具体的には従来型メディアの利用ウェイトが減り、新メディアが増えていることが把握できる。

↑ メディア接続時間時系列推移(各年の全体時間に占める割合)(-2014年)
↑ メディア接続時間時系列推移(各年の全体時間に占める割合)(-2014年)

従来型4メディアが少しずつその足場を削られ、インターネットを用いた新世代メディアが、その削った足場を奪い取る形でグラフが生成されている。さらにその新メディアの中でも新陳代謝的に、PCから携帯・スマホ(や今年から加わったタブレット端末)へのシフトが起きているのが一目瞭然。このような動きは昨今のメディア絡みの話ではどこでも見かける流れであり、ある意味見慣れたビジュアルともいえる。例えば今年2月に展開した記事【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(上)…4マス+ネット動向編(特定サービス産業動態統計調査)(2014年)(最新)】で生成したグラフを思い起こした人も多いのではないだろうか。

↑ 媒体別広告費(構成比推移、2001-2013年)(経済産業省データより)(再構築)
↑ 媒体別広告費(構成比推移、2001-2013年)(経済産業省データより)(再構築)

広告費構成比率は今件記事の視聴時間と比べると新媒体(インターネット関連機器)が少なめ。しかしこのグラフから「プロモーションメディア広告など」の部分を取り除くと、形状的に「メディア接続時間時系列推移」と似通っていることが分かる。これらの広告は「メディア接続」という形での接触は原則しないからだ。メディアの接触時間と「媒体力」、そしてその「媒体力」への対価として支払われる「広告費」の動きには、浅からぬ関係があることを再認識させるグラフといえよう。



昨今ではテレビ視聴時間の漸増が確認されていることから、今後シェアにおいてもテレビの復権が可能性として考えられる。しかし仮にその動きが現実のものとなっても、2014年の動きのようにラジオ、新聞、雑誌の接触時間はさらに減り、結果としてデジタル系機器の接触時間の相対的・絶対的伸長という傾向に変化を与えることにはつながらない。

それぞれのメディアの利用スタイルまで考慮すれば、単純な利用時間のみで比較をするのにはリスクがある。またインターネットを利用したメディアでも、新聞や雑誌の「コンテンツ」を視聴することはできるので、境界線が曖昧となりつつあるのも事実ではある。とはいえ、メディアそのものの利用という観点で考えれば、シフトの動きが継続することは間違いあるまい。


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