モバイルは大きく増加、ラジオ・新聞・雑誌は減少中…メディア接触時間推移(2014年)

2014/06/16 08:00

博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所は2014年6月10日付で、毎年初頭に調査を実施している「メディア定点調査」の最新版となる「メディア定点調査・2014」の抜粋編を発表した。その内容によれば調査対象母集団においては、主要メディアを累計したメディア全体の接触時間は、若年層と高齢者(シニア層)が長く、中堅層は短めの傾向を示していることが分かった。また各メディアそれぞれに対する接触時間(視聴、購読など)は年齢階層毎に大きな違いがあり、「男性は40代まで、女性は20代までの若年層はパソコンやモバイル機によるインターネット接続の時間の方が長い」「20代男性は全属性中最長のメディア接触時間を有しているが、その過半はパソコンやモバイル機などによるインターネット接続が主要因」「男性は60代以上、女性は40代以上はテレビを3時間以上観ている」など、昨今のメディア事情を顕著に表す傾向が多数見受けられる結果が確認できる(【発表リリース:博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所「メディア定点調査2014」】)。

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世代間格差が顕著な世代別メディア接触時間


今調査は郵送調査方式で行われたもので、調査期間は2014年1月24日から2月6日。東京・大阪・愛知・高知の4地区を対象に RDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15歳から69歳の男女に対し調査票が送付され、2567通が回収された。各値は2013年度の住民基本台帳を基に世代・男女でのウェイトバックが実施されている。また特記無き限り記事内のデータは基本的に東京地区のもの。

なお今件調査は毎年定点観測として実施されているが、時代・情勢の変化に伴い、2014年分からはいくつか定義・名称の変更、追加が行われている。パソコンや携帯電話(従来型とスマートフォン双方)経由のインターネット利用は、実質的にそれらの機器の利用がインターネットの利用と同義であり、またアプリケーションやソーシャルメディアの利用が(インターネットを用いているが)利用者における「インターネットを使っている」との認識が薄くなっていることを受け、単にそれぞれの機器の利用との表記に改められている。また利用機器に2014年からタブレット端末が追加されている。2013年までは(ノート)パソコンと同一視され回答にくわえられていた可能性もあるが、今回機器として独立項目が設けられたため、以前と比べてメディア接触時間の合計が上乗せされている可能性がある。

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌から構成される従来型4マスディア、パソコン・携帯電話(従来型携帯電話に加えスマートフォン含む。特記無き限り以下同)、さらにはタブレット端末の利用まで含めたメディアの接触時間の総計は、 2014年では385.6分/日との結果が出ている。昨年2013年が353.1分/日だから、随分と増加していることになる。上記にある通りタブレット端末の項目追加が一因の可能性は否定できないが、そのタブレット端末の時間は18.2分であり、それを差し引いても大きな増加には違いない。特にテレビ、携帯・スマホの時間増加が著しい。

また性別・年齢階層別では、20代男性がもっとも長く477.5分の値を示している。次いで長いのは30代男性で449.1分。

↑ 年齢・性別メディア接触時間(2014年)(一日あたり、分)
↑ 年齢・性別メディア接触時間(2014年)(一日あたり、分)

全般的には男女とも中堅層の時間が短めで、若年層・高齢層の時間が長めとなっている。ただし男女別では男性が40代・女性が30代が最短世代であり、多少の差異が生じている。

10-20代男女の時間が長いのは、携帯電話・スマートフォンの接続時間が他の世代と比べて長めなのが原因。男性はパソコンの利用時間も長く、これが女性と比べたメディア接触時間の長さを後押ししている。

これを各メディア毎の時間配分で区分すると、多様な特徴が確認できる。

↑ 年齢・性別メディア接触時間(一日あたり、分)(2014年)
↑ 年齢・性別メディア接触時間(一日あたり、分)(2014年)【拡大表示版はこちらをクリック】

・男性は30代、女性は20代まで、携帯・スマホの利用が大きな割合を示している。ただし男女間の携帯・スマホの時間は10代では女性が長く、20代で男女間が逆転し、40代で再び逆転、それ以降は女性の方が長くなる。
・パソコンの利用時間は概して男性の方が長い。仕事での活用場面が多いのが原因のようだ。
・テレビ視聴時間は男女共に20代がもっとも短い。以降は大体、年齢経過と共に増えていく。また同世代なら視聴時間は、男性よりも女性の方が長い。ただし60代では男性の方が長くなる。
・ラジオは女性では30代以降に利用時間増加が始まる。男性は30代に大きな伸びを示したあとは、大体一定。余暇時間に加え、カーステレオでの利用が加算されているものと考えられる。
・男女とも歳を重ねるに連れて、従来型4マスの利用割合が増え、新メディア(パソコン、タブレット、携帯)の利用時間が減っていく。
・「テレビ離れ」は沈静化したが、その他3マス、新聞、雑誌、ラジオの利用時間減退が目立つ。
・20代男性ではパソコン利用時間単独で、テレビの視聴時間を上回っている。
・10代から20代男女共、テレビの視聴時間を携帯・スマホの利用時間が上回っている。
・男性は10代-40代まで、女性は10-20代でテレビ視聴時間を、パソコン・タブレット・携帯電話による(インターネット)利用時間(緑系統の着色部分)が上回っている。

インターネットを用いるデバイスの利用時間が、特に若年層で長いこと、歳を経るに連れてテレビの利用時間が伸びることなど、メディア系の調査結果ではお馴染みの、そして実体験からも容易に想像可能な、世代間メディア接触様式のギャップが改めて認識できる結果となっている。

若年層とメディアとの関係、接触時間の変移


モバイル端末、具体的には携帯電話が従来型からスマートフォンに移行し、さらにタブレット端末も本格的な普及を始めたことにより、インターネットの利用機器もパソコンから携帯電話やタブレット機へとシフトする気配を見せている。特にお気軽さを好む若年層においてその傾向が著しく、パソコン内のデスクトップからノートパソコンへのシフトの動き同様に、他のメディア関連調査でも確認できる動きが今件調査でも明確に表れている。

若年層のデジタルメディアへの傾注がますます大きなものとなる、長時間投入されるようになる傾向に変化は無い。しかし主役はパソコンから携帯電話(とりわけスマートフォン)へ移りつつある。学校生活という特殊環境で影響を受けない若年層として、20代男性のメディア接触時間の経年変化を、全体接触時間に占める割合でグラフ化してみると、若年層の状況変化が良くわかる。

↑ 20代男性におけるメディア接触時間(-2014年)(一日あたり、全体接触時間に占める割合)
↑ 20代男性におけるメディア接触時間(-2014年)(一日あたり、全体接触時間に占める割合)

2011年は多少ながらもテレビやラジオの視聴時間シェアが増加するなどイレギュラーな動きを見せたが(調査タイミング上、震災とは関係なし)、全般的にテレビの視聴時間比率は減少過程にある。またパソコン(によるインターネット)の利用時間も2010年をピークに減り、その分携帯・スマホの利用時間は増加し続けている。2014年は特に新設されたタブレット端末がいきなり9%強のシェアを占め、さらに携帯・スマホも3割近い時間を確保するなど、モバイル系の利用時間が大幅に増加しているのが分かる。パソコンはその分3%ポイントほど減ったが、それらを合わせたインターネット接続端末による利用時間シェアは、ついに6割を超えることになった。

テレビに関して付け加えるとすれば、視聴時間は男女別では女性が、世代別では高齢層が長い(ただし60代では男女間が逆転している)。これはそれぞれ別調査で【女性はテレビが大好き!? 若年層のテレビ視聴時間をグラフ化してみる】【新聞記事や特集7割・テレビ番組8割……シニア層の情報源、テレビや新聞が圧倒的】など複数の調査結果で同様の傾向が確認されており、それをさらに裏付ける結果ではある。中堅層までのテレビ視聴時間が男性より女性の方が長いのは、就業による時間拘束が多分に影響しているのだろう。

去年からの変化でしっかりと分かるメディアの動き


最新版となる2014年分のデータを、昨年2013年分のものと比較すると、単なる誤差・ぶれとは判断しにくい「変化」が傾向として確認できる。

↑ メディア接触時間・性年齢別比較(2013年から2014年への変移、分)
↑ メディア接触時間・性年齢別比較(2013年から2014年への変移、分)

多少のぶれ、イレギュラーはあるが、

・テレビ視聴時間の増加
・ラジオ、新聞、雑誌視聴時間の減少
・パソコン利用時間の減少
・携帯、スマホ利用時間の大幅増加

という動きが明確に表れている。タブレット端末は今年からの登場のため、差異はそのまま利用絶対時間となるので今件では精査から除くにしても、単純にインターネットを利用する端末の時間増加ではなく、パソコンから携帯・スマホへのシフトが同時進行する中での、利用時間の増加という、興味深い現象が起きている。

また、他のメディア系調査や広告費動向でも明確化されている動きだが、4大従来メディアの中でテレビが唯一視聴時間を伸ばし、他の3メディアの利用時間が概して減少傾向にあるのも注目に値する。詳しくは別の機会で言及するが、テレビと携帯・スマートフォンはその連動性、同時操作性という観点で注目され、相性が良いことで知られている。あるいはこの相乗効果が、今件結果のような利用時間の底上げに寄与しているのかもしれない。

スマートフォンの普及率増加、ソーシャルメディアの利用率上昇、そしてタブレット端末の急成長。メディアの接触、利用時間に関する環境は、これまで以上に大きな変化を見せつつある。来年以降、この動きがさらに加速することになるのか、それとも新たな動きを示すのか、気になるところではある。


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