男性21%・女性58%は非正規…就労者の正規・非正規社員率をグラフ化してみる(2014年)

2014/07/23 11:00

厚生労働省は2014年7月15日、平成25年度版(2013年度版)の「国民生活基礎調査の概況」を発表した。今件調査は国民生活の基本事項を調査し、各行政の企画や運用に必要な資料を収集する目的で行われており、多彩な方面から日本の社会生活の実情を確認することができる。今回はその中から「役員以外の雇用者における、正規・非正規社員比率」に関して具体的値を算出してグラフ化を行い、状況の把握を試みることにする(【発表ページ:平成25年 国民生活基礎調査の概況】)。

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男性正規率78.9%、女性42.3%


今調査の調査要件及び注意事項は、先行記事の【平均世帯人員と世帯数推移をグラフ化してみる】で解説済み。必要な場合はそちらを参考のこと。

今回スポットライトをあてるのは、役員以外の働き人(雇用者。雇われている人。自営業者や家族従業者、内職者などは含まれない)における、正規社員・職員と非正規社員・職員の比率。両者の定義としては「正規社員…正社員。一般社員」「非正規社員…パート・アルバイト、労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託など」を指す。

それでは早速、最新データとなる2013年分における「雇用者の正規・非正規比率」をグラフ化する。直近の2013年分においては概況報告書における掲載方法がこれまでと多少変わっていたため、同書の公開値を基に過去分と様式が同じとなるように再計算を行っている(総務省統計局のデータベースe-Statに同時期掲載された詳細データで、その値が正しいことは確認済み)。

↑ 15歳以上の役員以外雇用者の正規・非正規構成比率(「勤め先での呼称不詳」含まず)(2013年)(男性)
↑ 15歳以上の役員以外雇用者の正規・非正規構成比率(「勤め先での呼称不詳」含まず)(2013年)(男性)

↑ 15歳以上の役員以外雇用者の正規・非正規構成比率(「勤め先での呼称不詳」含まず)(2013年)(女性)
↑ 15歳以上の役員以外雇用者の正規・非正規構成比率(「勤め先での呼称不詳」含まず)(2013年)(女性)

男性は10代では正社員率が3割台に留まる。20代前半になると6割台となるが、まだなお非正規社員率は相当なものとなる。これは中卒・高卒者による就労以外に、高校生や大学生によるパートやアルバイトも含まれるため。20代後半以降は8-9割と高い値を占め、60代を過ぎてようやく定年退職により正規社員率が下がり、非正規社員率が上昇する。とはいえ65歳以上でも3割強は正社員の立場を確保している。

一方女性は若年層でも正社員率は男性より低く、20代後半をピークとする。これは「寿退社」なとによる退社で若年女性正社員が辞めていくことに加え、世帯を持った主婦が子育てのさなかにパートなどの非正規労働に就くことで、値が底上げされるのが要因。時折今件数字だけを呈して「女性の非正規雇用率が高いのは差別的雇用の結果に他ならない」とする論説を見かけるが、男女それぞれの就労事情の認識が欠けているだけの話でしかない。

昨年比を算出して状況変化を確認


今回分と前回2012年分それぞれにおける、正規雇用者率を比較して、その差異を算出したのが次のグラフ。

↑ 15歳以上の役員以外雇用者における正規構成比率変移(2012-2013年、男女別)
↑ 15歳以上の役員以外雇用者における正規構成比率変移(2012-2013年、男女別)

全体としては中堅層で幾分正規社員率が落ちているが、それ以上に若年層・シニア層における上昇具合が目に付く。また中堅層で特に女性の正規雇用比率が落ちている=非正規雇用率が上昇しているのは、どちらかといえば正規雇用が減ったというよりは非正規雇用が増え、結果として相対的に非正規雇用比率が増加した結果といえる(【非正規社員の現状をグラフ化してみる】)。

学歴による正規雇用率の違い


これを回答者の学歴別に見たのが次のグラフ(こちらも2013年分から公開様式が変更されたため、e-Statに同時期掲載された詳細データから算出している)。世間一般のイメージ通り、高学歴ほど正規雇用率は高い。男性では大学・大学院卒で9割に近づいている。

↑ 15歳以上の役員以外雇用者の正規・非正規構成比率(「勤め先での呼称不詳」含まず)(2013年)(男女・学歴別)
↑ 15歳以上の役員以外雇用者の正規・非正規構成比率(「勤め先での呼称不詳」含まず)(2013年)(男女・学歴別)

女性の場合は既婚者就労の場合、本業として・世帯主としての就労ではなく、家計をサポートするためのパート・アルバイトの可能性が高い。一概にこの値だけで「女性は押しなべて非正規社員の比率が高い」として嘆く必要はなく、また上記のように労働市場の有り方に反発するいわれも無い。条件が違うのだから、違う結果が出て当然(無論女性の中にも、結婚した上で本業として就労する人も大勢いる)。



世間一般には今記事の題名の通り「男性21%・女性58%は非正規社員」との部分だけ注目され、労働市場の問題として提起されることが多い。しかし実態としては女性のパート・アルバイトが多分に値を動かしている実態を忘れてはならない。

さらにいえばこの非正規社員比率の換算には、役員や自営業者が抜けている。仮にこれらの人たちも計算に含めれば、全体に占める非正規社員比率はさらに落ちることになる。この点について、十分以上に留意しなければならない。


■関連記事:
【なぜ非正規社員として働くのか? その理由を尋ねてみた(2014年)(最新)】
【正社員と非正社員の賃金差は?…雇用形態別の平均賃金をグラフ化してみる(2014年)(最新)】

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