日本の家計資産残高は増加、1694兆円に…日米家計資産推移(2014年Q4分)

2015/03/23 14:00

日本銀行は2015年3月23日付で、2014年第4四半期(10-12月、Q4)の「資金循環の日米比較」レポートを公開した。その内容によれば株価上昇を受けて日本では「投資信託」や「株式・出資金」などが増え、金融資産総額は増加し1664兆円となった。一方で高い貯蓄性向は継続されており、日本の「現金・預金」比率は相変わらず5割を超えている(【日本銀行:資金循環リリース掲載ページ】)。

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日米の金融資産への考え方が顕著に分かる資産分布


今リリースは日本銀行が年4回定期的に「資金循環の日米欧比較」の速報値として発表している。当サイトでは2009年6月掲載、2009年Q1分から定期更新の形で各データをグラフ化し、状況に関して精査を行っている(途中からは検索周りの事情を受け、最新の値に関するレポートを逐次上書きする形で掲載しているため、最新の記事とそれ以前の記事との間では、期間が抜けている)。今回は2015年3月23日に発表された最新版公開値(2014年Q4分)に基づいたものとなる。

まずは直近となる2014年第4四半期(Q4)時点での、日米、そして参考値としてユーロエリアでの家計に関する資産構成比率。日本が「現金・預金」で半数超えと大きく傾倒している一方で、アメリカが「株式・出資金」や「投資信託」さらには「債券」を大量に保有している図式はこれまで通り。リスクを許容し投資を重視し成果に期待するアメリカ、確実性に重点を置く日本と、両国の貯蓄性向、金融資産への考え方の違いがそのまま数字に表れている。また日本で「現金・預金」が多いのは、主に高齢者による貯蓄性向の表れでもある。

↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2014年Q4)
↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2014年Q4)

3国・地域とも「保険・年金準備金」の比率はほぼ同じ(いくぶん日本が少ないが)。一方で”「現金・預金」”と”「債券」「投資信託」「株式・出資金」で構成される有価証券”の保有比率が、ユーロ圏は日米の中間にあるのが興味深い。バランスの観点では、日本は現預金過多、アメリカはリスク商品が多め。ユーロエリアのバランスが一番リスク分散の上では優れている。

「現金第一」は以前から…日本の家計金融資産


これを定例のフォーマットに従い日米別に、その推移をグラフ化して状況を精査する。まずは日本について、構成比率と絶対額の推移を確認する。

↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(2001年-2014年Q4)
↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(2001年-2014年Q4)

↑ 日本の家計金融資産構成推移(2001年-2014年Q4)(単位:兆円)
↑ 日本の家計金融資産構成推移(2001年-2014年Q4)(単位:兆円)

大きな変化として目に留まるのは、2008年前後で「現金・預金」の比率が伸びていること。約5%ポイントの増加が見られる。貯金額そのものが増えたのも多少の影響はあるが、それ以上に株価の低迷を起因としていると考えられる。つまり絶対額の増加は影響が小さく、他の要素が減って相対的に「現金・預金」比率が上がったと考えた方が道理は通る。その上損切り(有価証券などについて売却損を覚悟して売り、現金化する)による「株式・出資金」から「現金・預金」へのシフトも多分にある。

「株式・出資金」の比率だけでなく、額そのものが同じタイミングで大きく減少していることからも、その動きは裏付けられる。2007年夏に始まる金融危機、株価下落は、家計の金融資産にも大きな影響をもたらしたことになる。

今2014年Q4期では「現金・預金」は大きく増加、「株式・出資金」「投資信託」も大きく増加している。毎年Q4期は現金が増加する傾向にあるため、今四半期の増加もイレギュラーなものではない。一方、「株式・出資金」はこの2、3年ほどの間に全体比率・絶対金額共にじわりと、そして確かな勢いで増加を示しているのが、両グラフからもつかみ取れる。金融危機ぼっ発前の水準、比率で1割超・金額で170-180兆円のレベルと比べるとまだ届かないが、それなりの回復感は間違いない。

中期的には増加継続中の米家計金融資産


一方アメリカ。

↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年Q4-2014年Q4
↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年Q4-2014年Q4)

↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年Q4-2014年Q4)(兆ドル)
↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年Q4-2014年Q4)(兆ドル)

アメリカの該当期における株価動向は、一端値を落とした後に急上昇し、あとは年末にかけてほぼ横ばいの流れを見せている。これを受けて「投資信託」「株式・出資金」は額面をやや増加させ、同時に「現金・預金」も増加している。

そして「債券」は金額・比率共に減少し、比率では4.7%にまで落ちている。2013年に入ってから比率面、2014年以降は額面自身も明らかに値を減らしており、これまでには無かった動きとして注目に値する。その分、「現金」「投資信託」が増加していることから、金融資産への考え方に一部変化が生じているのかもしれない。

資産総額は68.0兆ドル。前四半期からはわずかに総額を上げているが、「債権」以外の試算が押し並べて上昇しているのが原因。特に同国では小数比率の傾向が強い「現金・預金」が額面の上で引き続き上昇中なのが興味深い。



家計金融資産の総額は2014年Q4時点で日本が1694兆円、アメリカが68.0兆ドル。これはそれぞれ直近前四半期から(日本)プラス2.42%・(アメリカ)プラス1.80%の変移。同時期の株式市場の動向をほぼ反映した形となっている。

記事執筆時点(2015年Q1期)では、アメリカ経済の復調感がより確実なものとなる一方、原油価格がいったん持ち直したあとで再び下落の動きを示し、経済に微妙な刺激を与えている。またヨーロッパの量的緩和政策を受けて、為替レートの変動もダイナミックなものとなりつつある。

次回の2015年Q1では、日米共に上昇を続ける株価がいかなる作用を金融資産にもたらすことになるのか。その点で大いに注目したいところだ。


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