雑誌も含めて市場規模1000億円超え…「電子書籍ビジネス調査報告書2014」発売

2014/06/25 08:00

インプレスグループのメディア事業会社インプレスビジネスメディアは2014年6月24日、同社のシンクタンク部門であるインプレス総合研究所の調べとして、電子書籍の動向、電子書籍に関する市場規模の推計結果を発表すると共に、その内容を詳細にまとめた出版物「電子書籍ビジネス調査報告書2014」を同年7月17日に発行すると発表した。今回はそのリリースで公開された、同調査における一部要項を基に、日本の電子書籍市場動向を確認していくことにする(【発表リリース: 2013年度の電子書籍市場は936億円、電子雑誌も加えた電子出版市場は1,000億円超え】)。

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今調査によれば直近2013年度(2013年4月1日から2014年3月31日まで)の日本国内における電子出版市場は1013億円。これは電子書籍市場に電子雑誌市場を加えたものだが、電子新聞、教科書、企業向け情報提供、ゲーム性の高いもの、さらには書籍や雑誌提供時の通信費、端末本体価格、各種制作費用、広告費などは該当しない。

↑ 電子出版市場規模推移(確定分のみ)(億円)(-2013年度)
↑ 電子出版市場規模推移(確定分のみ)(億円)(-2013年度)

PC(パソコン)向け電子書籍市場は当初全体に占める比率も大きかった。当時の携帯電話では「端末で書籍を購読する」という概念そのものがまだ受け入れがたいものがあったのも一因。しかしモバイル端末(従来型携帯電話)の普及と性能アップにつれ、その比率を下げていく。さらに機動力の低さもあり、モバイル端末全般に押される形で、2007年度をピークに市場そのものも縮小する。無料化が進んだのも「(金額面換算の)市場」が縮小した原因の一つだろう。

モバイル端末では当初従来型携帯電話(フィーチャーフォン)による市場拡大が続いていた。数年前までブームとなり、若年層から絶大なる支持を受けた「ケータイ小説」を覚えている人も多いはず(中には自ら執筆した経験を有する人もいるに違いない)。ところが2009年度あたりからスマートフォンやタブレットなどの新世代端末の普及に伴い電子出版への展開も進み、それと共に従来型携帯用の市場は縮小していく。2010年度がピークとなり、以後は急速にその規模を縮め、前年度の2012年度ではスマートフォンやタブレットなどの新世代プラットフォームに市場規模の上で逆転されてしまうことになる。

直近の2013年度では新世代プラットフォームによる市場はダイナミックなまでに拡大し、全体の8割近くにまで躍進。一方、従来型携帯の市場規模は140億円にまで縮小する。ピーク時の1/4ほど、前年度比ではほぼ6割減である。この流れは、ここまで極端では無く逆転現象もまだ起きていないが、音楽メディアにおける物理メディアとデジタル音楽配信市場の流れによく似ている。

今件発表資料ではこれまでの調査結果や業界動向を基にした、インプレス総合研究所による今後の市場動向予想も語られている。

↑ 電子出版市場規模推移(2014年度以降は予想)(億円)
↑ 電子出版市場規模推移(2014年度以降は予想)(億円)

↑ 電子出版市場規模推移(予想)における前年比成長率推移
↑ 電子出版市場規模推移(予想)における前年比成長率推移

先の震災による流通網の混乱や紙・インクなどの素材不足による印刷冊数の減少をカバーするための電子書籍化による提供をきっかけにした、電子媒体体制の加速化、2011年度から2012年度にかけて急速に進んだ携帯電話市場におけるスマートフォンへのシフト化に伴うシェアの変化や市場規模そのもの拡大など、予想がつきにくい要因により、電子出版市場は大きく様変わりする可能性がある。今件予想はそれらの「ゆらぎ」によるイレギュラーな変動は盛り込みようがなく、あくまでもこれまでの状況変化が今後も継続したらという仮定に基づいたものだが、十分に参考になる値ではある。

特に電子雑誌の伸び率が電子書籍を大きく上回っているのが目に留まる。これは元々の規模が小さかったことに加え、昨今大手の雑誌社が続々と電子書籍化・紙媒体版との同時発売に踏み切っているところを見ると、あながち大げさなものでもない感はある。

一方パソコン周りの話でも触れた通り、法人、コミュニティサイトを問わず、ビジネスモデルの一環として、無料で電子書籍・電子雑誌を(一部)提供し、その上でプラスα版や完全版を紙媒体として発売する手法も増えている。コンテンツの量は確実に増えるが、電子出版「市場」規模はそれほどの伸びは見せなくなる。

リリースでも指摘の通り、今後は音楽や映像分野同様、一定料金による見放題サービスの展開と普及により、市場情勢は大きく様変わりする可能性はある。周辺業界を巻き込む形で、出版物全体としての概念、様相も少しずつ、そして確実に変化をとげ、その中で電子出版市場は拡大を遂げていくに違いない。


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