アメリカ合衆国は諸外国からどれだけ好かれている・嫌われているのだろうか

2015/06/28 15:00

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前世紀末の冷戦構造の終焉以降世界情勢の変化と共に、パワーバランスはかつてとは違いを示しつつあるが、今なお世界最大の経済力と軍資力を誇り、影響力を有しているアメリカ合衆国。同国は世界各国の国民からどのような印象を持たれているだろうか。同国の民間調査機関Pew Research Centerが2015年6月23日付で発表した世界規模の調査結果【Global Publics Back U.S. on Fighting ISIS, but Are Critical of Post-9/11 Torture】を元に確認していくことにする。


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今調査は2015年4月から4月にかけて、各国在住の18歳以上それぞれ約1000人に対し、対面調査あるいは電話によるインタビュー形式で行われたもので、それぞれ各国で利用可能な値を用いたウェイトバックが行われている。調査対象国は40か国、アメリカ合衆国、カナダ、イタリア、ポーランド、フランス、イギリス、スペイン、ドイツ、ウクライナ、ロシア、イスラエル、レバノン、トルコ、パレスチナ、ヨルダン、フィリピン、韓国、ベトナム、インド、日本、オーストラリア、インドネシア、マレーシア、中国、パキスタン、ブラジル、ペルー、チリ、メキシコ、ベネズエラ、アルゼンチン、ガーナ、ケニア、エチオピア、セネガル、ブルキナファソ、タンザニア、ナイジェリア、ウガンダ、南アフリカ。

次に示すのはアメリカ合衆国を提示し、それに対して「とても好意的に思う」「それなりに好意的に思う」「それなりに忌避感を覚える」「とても忌避感を覚える」「分からない」の5選択肢から選んでもらい、好意的2つを好き派、忌避感2つを嫌い派でまとめた結果。青が多いほどその国ではアメリカ合衆国に好意を覚える人が多く、赤が多いほど嫌いな人が多いことになる。

↑ アメリカ合衆国をどう思うか(2015年春)
↑ アメリカ合衆国をどう思うか(2015年春)

ヨーロッパ諸国では大よそ好意的だが、ドイツがやや低め。ただドイツはアメリカに限らず、他国に対してはあまり好意を持たないことが他調査からも明らかになっているため、別段不思議な話では無い。他方、ロシア方面ではウクライナ情勢を受けてウクライナ自身は好意的な人が多い一方で、ロシアでは嫌い派が多数を占めている。

アジア地域では概ね好意的。ただし中国や中国の影響力の強いマレーシア、そしてパキスタンでは嫌い派の値が大きいのが目立つ。南米でも大よそ好意派が多数を占めるが、アルゼンチンやベネズエラでは4割が嫌い派なのが目に留まる。

アフリカ諸国では大よそ好意派が多数。その度合いはアジアやヨーロッパよりも顕著となっている。

今件調査は2000年以降断続的に(調査対象国数に変化はあるが)行われており、経年データも一部だが公開されている。次に示すのはヨーロッパとアジア地域における、取得できる範囲での好き派の値の動向を示したグラフ。



↑ アメリカ合衆国をどう思うか(好意派)
↑ アメリカ合衆国をどう思うか(好意派)

まずヨーロッパ方面だが、金融危機・欧州債務問題の露呈化以降は高めな値に移行し、それが維持されている。そしてドイツが他国よりも元々低めな状態で維持している状況も分かる。またロシアだが今世紀に入ってからは他の西欧諸国と変わらない値が維持されていたものの、ウクライナ問題の顕著化に伴い急激に下落しており、国民感情ベースでもアメリカを避ける動きが出ていることが分かる。

一方アジア方面では、やはり金融危機ぼっ発以降、各国ともいくぶん高い値に移行している。特に韓国の上げ方が著しい。日本では2011年に跳ね上がりの動きがあるが、これは震災後の救援活動「オペレーション・トモダチ」によるところが大きいと見て間違いない。対立構造を示しつつある中国でも、他国と比べれば低めだが、一定値を維持し続けており、国民ベースでは変化の無いようすがうかがえる。



今件値はあくまでも成人の国民からの意見であり、国政に直接反映されるわけでは無い。しかし民主主義を採用している国では国民感情が多分に政策に影響されること、独裁国家でも往々にして「国民の意志で」との手口が使われることから、国際情勢の判断の際には大いに参考となる値に違いない。


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