2015年4月度外食産業売上マイナス2.7%…洋風ファストフードは売上高15.5%減

2015/05/25 16:00

日本フードサービス協会は2015年5月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2015年4月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でマイナス2.7%を計上した。天候に恵まれ需要も回復基調に入っているが、大手企業による昨年夏から相次ぐトラブルで売上を大きく減らしている洋風ファストフードが引き続き大軟調状態を継続し、全体にも影響を与えている(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が198、店舗数は3万2511店舗。今月は前月と比較すると事業社数は変わらず、店舗数は増加している。

全業態すべてを合わせた2015年4月度売り上げ状況は、前年同月比で97.3%となり、2.7%の減少を記録した。これは先月から継続する形で2か月連続の減少となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では昨年同月と比べて変わりはなく、ファミリー層の来客機会の観点での影響は無し。一方天候では東京で5日、大阪では7日雨天日が多かったものの、これは主に月前半の天候不順によるもので、後半に入ると天候も回復し、東京では夏日を記録する日も出るなど、前半の不調を取り戻す状況となっている。

他方2014年4月に行われた消費税率改定だが、外食産業そのものには特に影響は無く、「ついて来客」の観点での影響が多少想定される程度。具体的にはショッピングセンターなどで税率改定後における、駆け込み需要の反動などに伴う買い物機運の減退が2014年4月に発生し、買い物のついでに内包・隣接する外食店で食事をする事例が減り得るというもの。ただし2014年4月の外食産業全体としての売上は、その時の前年同月比でプラス2.3%を計上しており、影響は無視して構わない程度のものと考えられる。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から継続して4か月連続のマイナス(マイナス7.3%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風は、そのメイン企業となるマクドナルドが、昨年夏からの相次ぐトラブル、さらにはそれをきっかとした中長期に渡る問題点の露呈化や市場動向の変化に対応しきれない状況が継続しており、客数は大きく下落。洋風の他企業はそれなりの業績を見せたものの(例えばモスバーガーの4月における既存店売上高前年同月比はマイナス1.9%)、マクドナルドのマイナスの影響は極めて大きく(マイナス21.5%)、これがファストフード部門、さらには外食産業全体の足を大きく引っ張る形となった。

一方で牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス8.7%、客単価は大きく上げてプラス11.6%と成し、売上もプラス1.9%とプラスを計上。大手の吉野家が牛丼など価格を昨年12月に引き上げたことや、鍋メニューの展開によるところが大きい。持ち帰り米飯・回転寿司は花見需要が3月にシフトしたことに加え、月前半の天候不良が響き、客足が大きく減退して売上もマイナス。

ファミリーレストラン部門は中華の客足がやや不調なものの(人員不足で店舗数が減ったために営業時間短縮を余儀なくされた店が生じている)、それ以外は客単価・客足共にそこそこ。全体もプラスを示している。

パブ/居酒屋部門ではパブが付きの後半の天候回復で大きく伸びたものの、居酒屋部門の軟調さは継続中。客単価の下げは限定的だが、とにかくお客が入らない(マイナス7.9%)。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年4月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年4月分)

月前半は悪天候だが
後半に好天化し盛り返す。
ファミレスは概ね堅調。
洋風ファストフードの
受難は続く。
ビアホールは後半の暑さで
大いに盛り上がる。
昨年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが、昨夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は昨夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いている。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、昨年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はある。

もちろんこの動向を手をこまねいて見ているだけのはずがなく、同一業態内の洋食ファストフードの他チェーン店では自社の得意部門にさらなるリソース投入を行い、新商品・サービスを展開し、個性の強調・区別化を図る施策を実施している。またマクドナルド自身も次々に施策を打ち出してはいるものの、なかなか数字の上での改善が見られないのが現状。

一方同じファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の業務スタイルにシフトする動きが見受けられる。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続しており、中期的戦略転換が数字となって表れているように見える。

居酒屋の不調続きも要注意ポイント。こちらは食材の影響は無く、純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じてしまっている。現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、お酒を飲むこと以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。

もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が試験運用している「吉呑み」が堅調さを示し、ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告が相次ぎなされ、その実態が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2015年4月は既存店で客数プラス1.4%・客単価プラス1.1%、売上高プラス2.5%を計上している)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。

他部門が比較的良い動きを示し続ける中で、とりわけここ数か月不調が続くファストフードの洋風、そして居酒屋。この2部門の回復状況が、外食産業全体の動向を精査するうえで、今後も注視すべき重要ポイントといえる。また今年の夏は昨年から転じ、気温が高くなるとの長期予想が出されている。それが外食産業にどのような影響をもたらすことになるのか、気になるところではある。


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