インターネットやスマホなどのICT、高齢者はどれほど利用しているのか(最新)

2019/08/22 05:19

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2019-0808先行記事【高齢者はインターネットやスマホをどの程度活用したいと考えているのだろうか】において、インターネットそのものやスマートフォンなどの端末まで含めた情報通信技術ことICT(Information and Communication Technology)を、高齢者がどの程度活用したいかに関する状況確認をした。今回は「高齢社会白書」が多数の引用元として用いている、内閣府が2015年3月に発表した「平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査」の結果を基に、高齢者におけるICTの「利用の現状」を見ていくことにする(【高齢社会対策に関する調査結果一覧】)。


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ICT利用者は3割足らず


今調査は2014年12月4日から26日にかけて層化二段無作為抽出法によって選ばれた国内に住む60歳以上の男女に対し、郵送配布・郵送回収形式で行われたもので、有効回答数は3893件。

設問ではICTとの表記は用いず、インターネットやスマートフォンなどの情報端末について、買い物や仕事、学習などの日常生活のツールとして利用しているか否かを尋ねている。全体では約1/4が利用している、7割近くが使っていないとの結果となった。

↑ ICTの利用状況(男女別・年齢階層別)(2014年)
↑ ICTの利用状況(男女別・年齢階層別)(2014年)

男女別では男性の方が利用率が高く、1/3を超えている。女性は2割に届かず。年を取るまでの日常生活のスタイルが継続した形となっているのだろうか。ただし昨今ではむしろ女性の方がスマートフォンを積極活用していることから、今後は女性の方がICTの利用状況の値が大きくなる可能性はある。

年齢階層別ではきれいな形で高齢層ほど利用率が低い。60代前半では5割近くに達しているが、70代になると2割にまで減る。元々若い時にICTとの接触があまり無かった「世代」(生まれた時代による区分)であることに加え、視力をはじめとした身体的な衰えがハードルとなっているのだろう。

世帯構成や現職内容でICTの利用は変わるのか


続いて世帯構成や現職内容別でICTの利用実態に違いは生じるのか否か。まずは世帯構成別。

↑ ICTの利用状況(世帯構成別)(2014年)
↑ ICTの利用状況(世帯構成別)(2014年)

回答者本人と親の世帯における利用率が一番高く4割台を示している。これは先行する「活用意向」の記事でも説明しているが、高齢層でさらに自身の親がいる世帯では、逆算すると回答者自身の年齢は比較的若い年齢となる。従ってこの高値は、世帯構成を直接起因とするのではなく、必然的に回答者が若い年齢であることを理由とするもの。

他の世帯構成ではさほど大きな違いは無いが、夫婦世帯の方が他世代との同居世帯よりも利用率が高いのは意外なところ。夫婦そろって趣味的な形で利用しているのだろうか。あるいは配偶者の利用で競争心・対抗心が生じるのかもしれない。

続いて就業形態別。

↑ ICTの利用状況(就業形態別)(2014年)
↑ ICTの利用状況(就業形態別)(2014年)

就業形態別では仕事でICTを使う可能性が高い職種ほど、高い値を示している。正社員、役員が過半数、自営業・個人事業は4割近く。社員でも非正規の場合はパートやアルバイトでICTを使わない事例も多々考えられることから、正社員と比べると値は低い。他方、在宅就労では低めの値が出ているのはやや意外なところではある。



先行する別途記事で日常生活の情報源としてよく用いている手段を挙げてもらった話では、インターネットや携帯電話を回答する人は少数でしかなかった。全体では2割に届かない。今件記事のような結果が出るのも、ある意味当然といえる。

ICT技術は身体的な老化や地域社会の過疎化など、高齢化に伴う諸問題の原因となる要素に、大きな状況改善をもたらす可能性を秘めている。大いに有意義さ、メリットを享受できるであろう高齢者には積極的に活用をしてもらいたい。同時に開発・提供側は、不慣れな人でも容易に、スマートに、そして安心して利用できるよう、十分以上の配慮を求めたいものだ。

なお今調査は5年おきに実施されているもので、次の調査は2019年。その頃には利用実情はどのような変化を示しているだろうか。特に女性の利用が目覚ましいスマートフォンによる影響が、どこまで生じているのか、大いに気になるところではある。


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