自動車やバスを多用し、歩行は案外少ない…高齢者の外出手段の実情を探る(2016年)(最新)

2016/06/29 05:06

身体的な衰えを覚えざるを得なくなる高齢者は、その移動にも若年層などと比較すると色々と考えを巡らせる必要がある。道路の横断による交通事故が高齢者で発生しやすいのも、若い時と同じ感覚で走れると誤認している、あるいは遠回りで余計に歩く苦労をしたくないとの想いが強くなるとの見方がある。今回は高齢者が外出して移動する際に、どのような手段を用いているかの現状を、「高齢社会白書」が多数の引用元として用いている、内閣府が2015年3月に発表した「平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査」の結果を元に、確認をしていくことにする(【高齢社会対策に関する調査結果一覧】)。

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最多利用は自動車やバイク、スクーター


今調査は2014年12月4日から26日にかけて層化二段無作為抽出法によって選ばれた国内に住む60歳以上の男女に対し、郵送配布・郵送回収形式で行われたもので、有効回答数は3893件。

調査対象母集団に対し、自分一人で利用できる外出手段を挙げてもらった結果が次以降のグラフ。例えば配偶者や子供に自動車を運転してもらって移動する場合は、今件には該当しない。また歩行には杖やシルバーカーの利用を含む(今調査ではシルバーカーによる移動は、特記無き限り歩行扱いされている)。

↑ 主な外出手段(2014年)(複数回答)
↑ 主な外出手段(2014年)(複数回答)

もっとも多い手段は自動車やバイク、スクーター(自前の自動走行車両)で6割近く、次いでバスや電車が5割強、自転車が4割近く、タクシーの利用が3割強。近所への歩行や15分以内の歩行が1/4強でその後に並び、車椅子や外出事例が無いことは少数派。

男女別に見ると男性は自動車や自転車など個人で運転する車両の利用が多く、女性はバスやタクシーなどの公共交通機関の利用が多い。若い時分に利用していた移動スタイルをそのまま踏襲している、自分の車両の保有状態が大きく影響しているものと考えられる。また車両による移動は歳を経るに連れて難しくなることから、より年上の人が多い女性で値が平均化される際に、低くなるのも一因。

年齢階層別では大きな違いが


続いて複数の仕切り分けで状況を確認する。まずは回答者の年齢階層別。

↑ 主な外出手段(2014年)(複数回答)(年齢別)
↑ 主な外出手段(2014年)(複数回答)(年齢別)

自動車や自転車のような、運動・判断能力が多分に必要となる車両による移動は、歳を経るに連れて利用率が低くなる。60代前半では8割近くを示す自動車も、80代に入ると3割を切る。またバスや電車のような公共交通機関も利用が減っていくが、これは利用地点にたどり着くのに難儀するのが要因だと考えられる。自宅まで迎えに来てくれるタクシーの利用は、歳を経ても大きな差が生じないからだ。

歩行も自宅周辺は大きな違いが無いのに対し、15分以上になると漸減していく。歳と共に長距離歩行が困難になる実情がうかがえる。また「自分一人で外出することはほとんど無い」の回答も歳と共に増加し、80代後半以降では2割に近づくようになる。

↑ 主な外出手段(2014年)(複数回答)(同居形態別)
↑ 主な外出手段(2014年)(複数回答)(同居形態別)

同居形態別では、単身世帯で自己運転の車両の利用が少ない一方、公共交通機関の利用が多いのが目に留まる。他方、回答者本人と親の世帯では自動車利用が群を抜いて高い値を示しているが、これは親の歩行移動が困難となっており、回答者が自動車の運転で移動をサポートしている事例が多々あるものと考えられる。

↑ 主な外出手段(2014年)(複数回答)(現在の就業形態別)
↑ 主な外出手段(2014年)(複数回答)(現在の就業形態別)

農林漁業者は作業にも自動車などを使うことが多いためか、利用がやや大きめ。代わりにバスや自転車、タクシー、歩行が随分と少ない。地理的に閑散地域に居住しており、自動車による移動が通常のスタイルとなっているのだろう。また役員は自動車やタクシーの利用が多く、特にタクシーは群を抜いている。金銭的な余裕が他の就業形態よりもあるからだと考えれば道理は通る。



親との同居における自動車利用や、役員のタクシー利用など、立ち位置による移動手段の特異性もあるが、やはり歳と共に身体の衰えが生じ、移動手段が限られていく状況は大いに注目したい。同居人が居なければ社会的に孤立した状態となりかねず、買い物難民問題にも大きく絡んでくる点に違いない。

さらには昨今問題視されている、高齢者の自動車運転時の事故に絡み、第三者から見れば運転を止めた方が良い状況にも関わらず継続する理由とも合わせ、考えねばならないことは少なくない。


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