シニア層が考える「自炊ができなくなったらどうしよう」(最新)
2019/08/17 05:18


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高齢層の自炊代替の手当ては配食サービスが人気
今調査は2014年12月4日から26日にかけて層化二段無作為抽出法によって選ばれた国内に住む60歳以上の男女に対し、郵送配布・郵送回収形式で行われたもので、有効回答数は3893件。
冒頭の通り、高齢者が何らかの事情で自分(達)で食事の用意ができなくなった、つまり自炊が不可能な状態となった場合、どのような手段で食事を調達したいと考えているかを複数回答で尋ねたところ、もっとも多くの人が挙げたのは「配食サービスを利用する」だった。6割近い人が同意を示している。

↑ 自分(達夫婦)で食事の用意ができなくなった場合にどうするか(複数回答、男女別)(2014年)

次いで多いのは誰か他の人に作ってもらうとの手立て。今調査対象母集団では単身高齢者世帯や高齢者同士の夫婦世帯以外に、子供や孫などと同居している世帯も多数含まれている。高齢者自身で食事が作れなくなっても、同居人に作ってもらうつもりであるとの意見。またそれができなくとも、ホームヘルパーなどに頼んでもらうのも不可能では無い。
それに続くのは既製品を買う、出前を取る。おおよそ1/4の人が選択肢として挙げている。コンビニやスーパーなどの総菜売り場で高齢者の姿をよく見かけるようになったが、その人達もあるいはこの選択肢に該当するのかもしれない。
外食を利用する人は2割近く。興味深いのは直上の項目「既製品や出前」と合わせ、就業者の昼食や夕食で選択されがちな、中食・外食に該当する項目は、男性の方が回答率が高いこと。就業している際の習慣がそのまま意識として残っているのだろう。
年齢や同居形態、就業状況では?
今件について回答者の属性で区分したのが次以降のグラフ。まずは年齢階層別だが、若い人ほど多数の選択肢を想定している。

↑ 自分(達夫婦)で食事の用意ができなくなった場合にどうするか(複数回答、年齢階層別)(2014年)
回答者の年齢が若いほど「配食サービス」「既成品や出前」「どこかへ食べにいく」などの回答率が高い。他方「誰かに作ってもらう」「食事つきの施設・住宅の利用」は80歳以上で増加するが、それより若い層ではほぼ横並び。若いうちはより多くの選択肢を想定していることが分かる。「配食サービス」「既製品や出前」の回答率が歳とともに漸減していくのは、行動範囲の問題や、自分の身体にあった料理が無いことなどがハードルなのかもしれない。
続いて世帯構成別。

↑ 自分(達夫婦)で食事の用意ができなくなった場合にどうするか(複数回答、世帯構成別)(2014年)
一人暮らしの場合は同居人は当然おらずホームヘルパーに頼むのもハードルが高いためか、回答率は低い。逆に食事つきの施設や住宅を利用するとの考えが多くなっているが、これは一人暮らしで自炊ができないような状況の場合、他の生活行動も困難になっている可能性が高いことに起因するものと思われる。逆に世帯に回答者自身や配偶者以外の世代がいる場合、その人数が多いほど、その人たちに期待している状況がうかがえる。
最後は就業形態別。

↑ 自分(達夫婦)で食事の用意ができなくなった場合にどうするか(複数回答、就業形態別)(2014年)
財力的に余裕がある可能性が高い役員で外食を選ぶ場合が多い、農林漁業者や在宅就労者は家族などに作ってもらうとの回答率が高いことから他世代と同居している事例が多いらしいなど、いくつかの傾向が見られるものの、大きな差異は見られない。
食事は毎日食べる必要があるため、それが用意できなくなるのは生死に係わる問題。今件の「自炊ができなくなる」場合でも多様な選択肢があるが、いずれもコストは高いものとなる。また完全に自炊ができないわけではないが、若い時のように手の込んだ調理を避けるようになる、出来合いの食材の調達比率が多くなるなど、手間がかけられなくなる状況は容易に想定できる。
以前一部で公的データを用いた精査結果から、高齢者世帯の食費が高いとの議論が持ち上がったことがある。出来合い品の調達度合いが増える、あるいは今件選択肢のようにお任せになる状況ならば、若年層世帯の食費と比べて高めにつくのは当然の話に違いない。
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