2010年は2.8人で1人、2060年には? 何人の働き手が高齢者を支えるのかをグラフ化してみる(高齢社会白書:2014年)

2014/08/19 11:00

内閣府は2014年6月13日、2014年版となる「高齢社会白書」を発表した。これは日本の高齢化の状況や将来予想を公的データを中心にまとめた白書で、高齢化の現状を確認するのには最適な資料として挙げられる。今回は「(実質的に生産への寄与が難しい)高齢者を、現役世代に該当する人口が支える場合の負担率」、言い換えれば「何人の働き手が1人の高齢者を支える社会となるのか」を確認していく(【高齢社会白書一覧ページ】)。

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今件においては現役世代(生産年齢)を15-64歳とし、高齢者を65歳以上と設定する。さらに後ほどの試算で用いるが、前期高齢者を65-74歳、後期高齢者を75歳以上とする。その上で単純に人口比を計算すると、1950年時点では12.0人の生産年齢人口で1.0人の高齢者を支えていたことになる。これが2010年時点では2.8人。さらに2060年の予想人口比率では1.3人にまで減少する。

↑ 高齢世代人口と現役世代人口比率…現役世代人口(15歳以上)を支え手とすると(2014年版高齢社会白書より)
↑ 高齢世代人口と現役世代人口比率…現役世代人口(15歳以上)を支え手とすると(2014年版高齢社会白書より)

前述したように、高齢者を前期・後期に区分し、定年の延長や再就職者の増加など社会的状況の変化を考慮し、前期高齢者をも生産年齢人口として加算し、後期高齢者のみを支えるような状況を想定して試算した……が、大きな変化はない。ある程度支える側と支えられる側のバランスはマシになるが、抜本的な解決策には至っていない。

↑ 高齢世代人口と現役世代人口比率「現役世代人口(15歳以上)を支え手とすると」「現役世代人口と前期高齢者(65-74歳)を支え手とすると」(2014年版高齢社会白書より)(2005年以降のみ)
↑ 高齢世代人口と現役世代人口比率「現役世代人口(15歳以上)を支え手とすると」「現役世代人口と前期高齢者(65-74歳)を支え手とすると」(2014年版高齢社会白書より)(2005年以降のみ)

これは総人口、生産年齢人口が漸減し、高齢世代人口、中でも後期高齢者が漸増していくからに他ならない。

↑ 65歳以上人口推移(万人、2010年以降は推定)(2014年版高齢社会白書より)(再録)
↑ 65歳以上人口推移(万人、2010年以降は推定)(2014年版高齢社会白書より)(再録)

↑ 65歳以上人口推移(総人口比、2010年以降は推定)(2014年版高齢社会白書より)(再録)
↑ 65歳以上人口推移(総人口比、2010年以降は推定)(2014年版高齢社会白書より)(再録)

しかもこれは現役世代人口全員が「支えるだけの資質を有している」のが前提となる。失職状態で生産の担い手として勘定できない場合、実質的な現役世代人口はさらに減り、支える人達の負担は増大する(失職者は年齢上は支える側でカウントされているが、支えるだけの収入が無いため、空手形状態となる)。

また【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる】でも示している通り、若年層の失業率が高い現状で、さらに定年を引き上げる措置などを行えば、「労働機会」のパイの奪い合いは加速化する。「前期高齢者」を加算して、支える側の現役世代人口を増やしても、実質的な「支え手」は変わらない。何しろ労働機会そのものは増えていないのだから。

つまり「支える側と支えられる側のバランス調整のために定年を上げるのなら、労働機会そのものの拡充が前提」であり、「単に定年の引き上げだけを行えば労働機会の奪い合いで”現役世代人口で高齢世代人口を支える”状況の改善には何も寄与しない」ことになる。そして現時点では嘱託や再雇用、非正規雇用などの経由で高齢者の雇用が促進されており、支える側(生産年齢側)の足元すら脅かされているのが実情。

さらに白書では触れられていないが、実際には現役世代は14歳までの年少人口をも支える必要がある。年少人口は漸減状態にあるものの、「生活を支える」との観点では、実質的には今件の値よりももう少し厳しいものになると見るべきである。

「労働機会というパイ」を増やすには、ひとえに内需拡大・労働需要の拡大が必要となる。支え手の数そのものの増加につながる少子化対策と合わせ、抜本的な施策の断行が求められる。さもなくば「現役世代人口が高齢世代人口を支える」という前提すら、再検討が求められる事態となるかもしれない。また、例えば【税収と税率と財務健全化の所感】で指摘したような、株式における優先株や自動車免許のような仕組み、具体的には年金支払い金額において、選挙権と引き換えに現状の支払額に積み増しする代わりに、選挙権を維持している限りは支払額を低額に留めるなど、奇策、蛮策的な類のものも考察しなければならなくなるだろう。


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