健康意識は高いが…日本と諸外国における高齢者の医療サービス利用状況をグラフ化してみる(高齢社会白書:2014年)(最新)

2014/08/18 14:00

内閣府は2014年6月13日に、日本の高齢化社会の現状と今後の指針について各公的調査などの結果などと合わせてまとめた白書「高齢社会白書」の最新版、2014年版を公開した。今回はその白書の中の資料を中心に、日本と諸外国の高齢者における、健康状態・意識の現状と、医療サービスの利用状況の双方について見て行くことにする(【高齢社会白書一覧ページ】)。

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医療サービスに関する国際比較


まずは日本と諸外国における、60歳以上の高齢者(日本では「高齢者」は65歳以上を指すことが多いが、他国と合わせるために今件では60歳にしている)の、健康についての意識を尋ねた結果。日本では自分自身の状況について、現在健康であると答えた人は約2/3に達している。

↑ 60歳以上の高齢者の健康についての意識(国際比較)(60歳以上男女対象)(※2012年白書よりデータも含めて抜粋)
↑ 60歳以上の高齢者の健康についての意識(国際比較)(60歳以上男女対象)(※2012年白書よりデータも含めて抜粋)

韓国の「病気がちで寝込むことあり」がやや多めなのが目に留まる。他は日本とアメリカ、スウェーデンが同水準で、ドイツの「健康である」が半分程度となり、その分「あまり健康だとはいえないが病気ではない」が多い(57.7%)。今回登場した諸国ではドイツが一番多い値となっている。

もっとも赤系統の項目は本人の自己判断によるもので、意識の持ち方・国民性や環境要素、厚生インフラの対応も反映されるため、青色と灰色の部分、つまり軽くない「病気」を有している割合のみを特に注視すれば良い(日本の場合は得てしてネガティブな反応を示しがちだが、今件では他国と変わらない良好な値が出ているのが興味深い)。しかしながらその観点でも、やはり韓国が一番多く、ドイツがやや多めとなっている。

一方自己判断では無く、実際にカウントできる医療サービスの利用頻度を尋ねた結果が次の図。高齢者自身の健康意識ではアメリカやスウェーデンと並び高水準(健康のように見える)だった日本が、韓国と同程度の高頻度での利用傾向(色々と体に支障があるように判断できる)にあることが分かる。

↑ 医療サービスの利用状況(国際比較)(60歳以上男女対象)
↑ 医療サービスの利用状況(国際比較)(60歳以上男女対象)

「利用していない」高齢者の割合も直近の2010年で2割と他国に比べてかなり多めだが、それでも「月一以上の利用」が6割、「週一以上の利用」が1割との回答は、最初の「健康意識の回答」とは随分とかけ離れているように見える。

これについて白書側では特にコメントは無い。しかしながら健康面で何らかの自覚症状を持ち、通院を繰り返していても、その通院が日常生活化しているため(当たり前だと認識しているため)、「通院しているが健康だ」「通院しているから健康を維持できている」と、各高齢者が考えている可能性はある。その推測も合わせ、医療サービスの利用姿勢の点で、他国との差異がある可能性は否定できない。

日本国内の通院・入院事情


では実際に、日本国内の通院・入院事情はどのような状況なのか。次に示すのは今白書で呈示されていた、厚生労働省の【患者調査】を元に作成したものだが(3年おきの実施調査のため、2011年取得分が最新)、これによれば高齢層は他の世代と比べて通院(外来)・入院率が非常に高い値で推移している。

↑ 世代構成別にみた受療率推移(外来)(各世代別人口10万人対、人)
↑ 世代構成別にみた受療率推移(外来)(各世代別人口10万人対、人)

↑ 世代構成別にみた受療率推移(入院)(各世代別人口10万人対、人)
↑ 世代構成別にみた受療率推移(入院)(各世代別人口10万人対、人)

ただし昨今では外来・入院数共に比率の上でも減少傾向にある(今件は絶対数ではなく対10万人比なので、高齢者人口の増加そのものには影響しないことに注意)。多少ながらも意識の変化が起きている、あるいは健康度が増加している可能性はある。

やや余談ではあるが、医療周りの話として気になる「死因」について、65歳以上に限定した値を見ると次の通りとなる。「10万人対」の数なので、実際には例えば悪性新生物(がん)の場合は0.9584%になることに注意。

↑ 65歳以上の高齢者の主な死因別死亡率(65歳以上人口10万人対)(高齢社会白書(2014年版))
↑ 65歳以上の高齢者の主な死因別死亡率(65歳以上人口10万人対)(高齢社会白書(2014年版))

全体の死因別死亡率は以前【主要死因別に見た死亡率をグラフ化してみる(1899年以降版)】に記した通り。高齢者の死因を全体のものと比べると、「老衰」が上位に入っている以外は、値の大小はともあれ、順位に変わりは無い。

【夫婦とも65歳以上のお年寄り世帯で「1キロ以内にお医者さんがいない」のは24.4%】などで解説しているが、高齢者にとってはかかり付けの医療機関が身近にあることが、安心できる環境条件の一つとなる。しかし高齢者は増加を続け、医師・医療機関は横ばい、あるいは減少の動きすら確認できる。全般的な医療のあり方も合わせ、現状を精査し、医療を行う側が手いっぱいとなってしまい「本当に医療サービスが必要な人」が足踏みをさせられることのないよう、適切な対策を取ることが行政には求められよう。


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