派遣の男性3割強・女性の2割強は「正規が無いので仕方なく」…詳細就業形態別「正規社員の仕事が無いので非正規社員で」動向(最新)

2023/03/12 02:53

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2023-0224景況感の変化や労働市場の状況変化に伴い、以前から数年おきに話題に上る話ではあるが、昨今大きな注目を集めているのが、いわゆる非正規社員(非正規職員・従業員)問題。その非正規社員の立場で働く人たち自身は、どのような理由で現職にあるのかを、総務省統計局が2023年2月14日に発表した、2022年分の労働力調査(詳細集計)の速報結果を基に、【非正規社員の人達はなぜ非正規として働いているのだろうか】で確認した。今回は少し視点を変え、非正規社員の立ち位置をもう少し細分化した上で、さらに「正規の職員・従業員の仕事が無いから」との回答理由の動向を見ていくことにする(【労働力調査(詳細集計)年平均(速報)結果発表ページ】)。

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先行記事「非正規社員の人達はなぜ非正規として働いているのだろうか」でも解説しているが、現在非正規社員として就業している人において、なぜその立場にあるのか、主な理由を挙げてもらった結果は次の通り。選択肢「自分の都合のよい時間に働きたい」「家計の補助・学費などを得たい」「家事・育児・介護などと両立しやすい」「通勤時間が短い」「専門的な技能などを活かせる」「正規の職員・従業員の仕事が無い」「その他」のうち、本来は非正規社員としての就業を望んでいなかった、つまり自分では望まずに非正規社員をしていると判断できる「正規の職員・従業員の仕事が無い」は、男性で16.1%、女性で7.7%との結果が出ている。

↑ 現職の雇用形態についた主な理由(非正規職員・従業員、理由明確者限定、男女別、比率)(2022年)(再録)
↑ 現職の雇用形態についた主な理由(非正規職員・従業員、理由明確者限定、男女別、比率)(2022年)(再録)

この「望まずに非正規社員として就業」について、就業スタイルの詳細によって大きな違いが生じているのでは、との意見もある。そこで非正規社員の就業状態につき、「パート」「アルバイト」「労働者派遣事業者の派遣社員」「契約社員」「嘱託」「その他」に細分化し、それぞれについて各上記選択肢から「現職就業の主な理由」を挙げてもらい、そのうち「正規の職員・従業員の仕事が無いから」の値を算出したのが次のグラフ。男女で就業状況に大きな違いがあるため、男女別の区分も行う。

↑ 現職の雇用形態についた主な理由(非正規職員・従業員、「正規の職員・従業員の仕事が無いから」、詳細就業形態別・男女別、万人)(2022年)
↑ 現職の雇用形態についた主な理由(非正規職員・従業員、「正規の職員・従業員の仕事が無いから」、詳細就業形態別・男女別、万人)(2022年)

↑ 現職の雇用形態についた主な理由(非正規職員・従業員、「正規の職員・従業員の仕事が無いから」、詳細就業形態別・男女別、比率)(2022年)
↑ 現職の雇用形態についた主な理由(非正規職員・従業員、「正規の職員・従業員の仕事が無いから」、詳細就業形態別・男女別、比率)(2022年)

男女ともに主な理由として「望まずに非正規社員」の比率が高いのは、派遣社員や契約社員。男性派遣社員では3割強となっている。他方、パートやアルバイトでは男性が1割近くから1割台、女性は数%。

最初のグラフの通り、元々女性よりも男性の方が該当選択肢の回答値が高いため、多くの就業形態でも男性の方が高い値を示している。もっとも非正規社員数そのものは女性がはるかに多いため、人数で見るとパートや派遣社員で女性の方が上との結果が出る就業形態が多い。特にパートの女性は43万人が「望まずに非正規社員」状態。

また今件「望まずに非正規社員」以外は望んで選択した具体的内容なため、100%からこの値を引いた結果が「望んで非正規社員」となる。女性のパートやアルバイトは9割強、男性は8割台が望んで非正規社員として働いていることになる。一方派遣社員は男性が7割近く、女性は8割近く、契約社員では8割程度にとどまっている。

今件で注意しなければならないのは、精査した選択肢「正規の職員・従業員の仕事が無いから」にはいくつかの意味がある点。具体的には「当事者は正規社員として就業できる技能がある。しかし適切な該当求人が無い」、そして「当事者の技能ではハードルが高く、就業可能な正規社員としての求人が無い」の2パターン。さらに当事者自身が自分の技能に関して正しく認識している場合もあれば、認識ができていない可能性も否定はできない。

仮に非正規社員としての求人が正規社員にシフトしたとしても、今回スポットライトを当てた「望まずに非正規社員」な回答者すべてがその枠に収まる、就業ラインに達しているとは限らない。その他の希望条件とも併せ、就業のマッチングは一筋縄ではいかないのが実情ではある。


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