国毎に異なる「自分の体が衰えた時に住みたい家」とは(高齢社会白書:2014年)(最新)

2014/08/17 15:00

内閣府が2014年6月13日付で公開した最新版(2014年版)の「高齢社会白書」では、高齢化を迎えた日本社会が抱える問題点を、主に公的機関の調査結果を基にまとめ上げ、それと共に各種施策について解説を加えている。今回はその中のデータを基に、「高齢者が『自分の体が弱った時に』どのようなタイプの住宅に住みたいか」について、確認をしていく(【高齢社会白書一覧ページ】)。

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昨今では【退職金を消費に使うとしたら…? トップは旅行、次いでリフォーム】などで解説しているように、世帯主に限らず世帯内の高齢者が高齢化する際に自宅内のリフォームを行い、廊下や階段での歩行など日常生活でトラブルを防ぐ仕組みを備える、高齢者に優しい「バリアフリー化」が流行、むしろ必要不可欠な需要として注目を集めている。バリアフリーが無い住宅では、高齢者にとっては「毎日がアスレチックス」と表現できる、冗談にならない環境ともいえるものとなる。




↑ 創建のバリアフリーに関するプロモーション映像。【直接リンクはこちら:「ちょっとした工夫でバリアフリー」(創建)】

バリアフリー化が容易な自前の持ち家と、勝手に施工を行うことが難しい賃貸住宅では、やはり前者の方が高齢者の満足度が高い。無論「自分で購入した住宅だからある程度自由の効く大きさ、デザイン、間取りをしているから」といった事情も大きな要因だが、歳を経た上での回答ならば、バリアフリー問題が多分に含まれていると考えて良い。

↑ 現在の住宅に関する満足度(60歳以上対象)(高齢社会白書)2014年版))
↑ 現在の住宅に関する満足度(60歳以上対象)(高齢社会白書)2014年版))

それでは高齢者自身は、自分が虚弱化(肉体的に衰えを覚えるようになった)した時、どのような居住形態の住宅に居住するのを望むだろうか。こちらも原則60歳以上へ回答を求めており、年齢的には切羽詰まった、あるいは現在進行形で移行しつつある状況への切実な需要を答えてもらったことになる。

今件では日本は5年おきに2000年・2005年・2010年、そして韓国、アメリカ、ドイツ、スウェーデンは2010年に尋ねた結果が提示されている。

↑ 自分が虚弱化した時に望む居住形態(60歳以上対象)(高齢社会白書(2014年版))
↑ 自分が虚弱化した時に望む居住形態(60歳以上対象)(高齢社会白書(2014年版))

日本では2000年時点で「改装の上、自宅に留まりたい」の回答項目が存在しなかったようで回答率がゼロだが、2005年以降は項目が用意され、「現在のまま、自宅に留まりたい」を侵食する形で広がりを見せているのが分かる。いずれにせよ、今の自宅に留まりたい率は6割から7割程度。一方で「老人ホームへの入居」も経年による増加が確認できる。その分「病院に入院したい」が減っているが、これは過密状態にある病院の現状に合わせた回答による結果だと考えられる。

海外では概して「自宅に留まりたい」率が高く、アメリカとドイツでは(改装を合わせて)7割近い値を示している。スウェーデンは日本とほぼ同率だが、リフォーム希望率が異様に高く、5割近くを示している。また「高齢者用住宅への転移」希望も高く、2割を超えているのが特徴。日本のリフォーム希望率が高いのは、高齢者向けのバリアフリー化の概念が、まだ十分に浸透していないからかもしれない。



体が弱った後、どのような住環境で生活するのが望ましいか、そして本人が希望するかは、個々の事情や信念、環境以外に、国毎の社会制度や医療保障の仕組み、習慣などの条件により、大きく回答が変わりうる。白書内でもどのスタイルが良いか否かなどの言及は無く、単に差異が生じていることのみを伝えている。

今グラフも同様に、国毎、そして日本国内での経年変化を見て風習などの違いを認識するのが目的であり、良し悪しを吟味するものではない。「今後ますます日本ではバリアフリーへのリフォーム需要が高まりそうだ」的な見方を行い、高齢社会化に伴う社会現象の一つと認識してほしいものである。


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