会話や近所付き合いから見る高齢者の「ぼっち」状態(高齢社会白書:2014年)

2014/08/17 14:00

2014年6月13日内閣府は同府公式ウェブサイト上において、日本の高齢化の現状や今後の予想、それらに対応するための各種施策をまとめた白書「高齢社会白書」の最新版(2014年版)を公開した。今回はその白書に記載されていたデータを中心に関連する公開値も合わせ、「一人暮らしの高齢者と周辺環境動向」に関して確認をしていくことにする(【高齢社会白書一覧ページ】)。

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会話頻度が圧倒的に少ない高齢一人暮らし


以前【高齢者世帯数の推移をグラフ化してみる】などで解説した通り、現時点で高齢者世帯のうち約半数は単独(一人身)世帯。しかも女性世帯の数は男性の3倍近くの差異を示している。女性が多いのは平均寿命の違いによるもの。

↑ 世帯構造別にみた高齢者世帯数の年次推移(×千世帯)(-2013年)(再録)
↑ 世帯構造別にみた高齢者世帯数の年次推移(×千世帯)(-2013年)(再録)

高齢化社会の進展につれて、今後ますます「高齢者一人だけの世帯」の増加が予想されるが、特にそのような世帯(=高齢者本人)におけるコミュニケーションはいかなる状況なのだろうか、それが今回スポットライトをあてるポイントである。

まずは会話の頻度。今グラフでは「毎日」「分からない」以外の回答のみを積み重ねている。つまりグラフ上の値が大きいほど、会話をあまりしていないことになる。口頭以外に電話や電子メールも含むことに注意。

↑ 会話の頻度(電話、電子メール含む)(該当項目以外は「毎日」「分からない」)(60歳以上対象、2011年)(高齢社会白書(2014年版))
↑ 会話の頻度(電話、電子メール含む)(該当項目以外は「毎日」「分からない」)(60歳以上対象、2011年)(高齢社会白書(2014年版))

夫婦のみ、その他の世帯も合わせ、全般的に男性の方が値が大きい、つまり他人との会話頻度は男性の方が低いことが分かる。高齢者全体では「毎日他人と言葉を交わしてはいない」人は1割にも満たないが、男性一人暮らしに限るとその割合は3割近くにまで増える。しかも7.5%は一週間に一度も会話をしていない。

近所づきあいと、困った時に頼れる人


無人島や過疎地帯に住んでいるのならいざ知らず、住宅地帯などなら近所づきあいもあるだろうと思う人も多いはず。その近所づきあいについては、次の通りとなる。

↑ 近所付き合いの程度(60歳以上対象、2011年)(高齢社会白書(2014年版))
↑ 近所付き合いの程度(60歳以上対象、2011年)(高齢社会白書(2014年版))

やはり一人暮らし、中でも男性の一人暮らし世帯における「近所付き合いの希薄さ」が目に留まる(「つきあいはほとんどない」が唯一2ケタ台)。逆に女性は一人暮らし世帯の方が、夫婦世帯やその他世帯よりも近所づきあいを上手くやっており、女性の世渡り上手さがすけて見える。これが上記「会話の頻度」における男女間の差異にも表れていると考えれば、道理は通る。独りでは「会話」は出来ないからだ。

さらに高齢者世帯において、何かのトラブルで困った際に、頼りになる人がいるか居ないかについても確認をする。普段の近所づきあいなどとも深く関係のある項目といえる。こちらも男性一人暮らしの希薄感は強い。「居ない」との人は全体では2.4%でしかないが、男性一人暮らしでは20.0%に達する。5人に1人は「自分が困っても誰も頼れない」状態。

↑ 困った時に頼れる人がいない人の割合(60歳以上対象、2011年)(高齢社会白書(2014年版))
↑ 困った時に頼れる人がいない人の割合(60歳以上対象、2011年)(高齢社会白書(2014年版))

直上の近所づきあいの差異が、一人暮らし世帯における男女の差にそのまま現れる結果が出ている。女性の一人暮らしも高めではあるが、男性の2割と比べれば、まだ低い方ではある。



白書ではこれらの「独り暮らし」の現状に関し、他人との接点を中心に解説を行っているが、それに加えて「孤独死」も増加の一途をたどるとの解説をしている。元々高齢者は増加中である以上、確率論的に「数」が増えるのは道理だが、単なる高齢者全体の増加以上に、「一人暮らし世帯」の増加が大きな拍車をかけている。

次のグラフは東京23区内における、自宅で死亡した65歳以上一人暮らしの者の数を示した図だが、確実に人数は増加している。また65歳以上の一人暮らし死亡者総数のうち、自宅での死亡者数割合は3/4前後を維持している。孤独死のリスクは大きな変化は無く、高齢者そのものの増加で、孤独死を迎える人の数が増えていると状況も確認できる。

↑ 東京23区内で自宅で死亡した65歳以上一人暮らしの者(人)(高齢社会白書(2014年版))
↑ 東京23区内で自宅で死亡した65歳以上一人暮らしの者(人)(高齢社会白書(2014年版))

実際、一人暮らしの高齢者の多くは、「孤独死(孤立死)」を身近な問題だと感じている人が多数に及んでいる(とても感じる・まあ感じるを合わせると4割以上)。今後はこのような「一人暮らしの高齢者」に対する社会の対応も、切実な問題として認識されると共に、対応が求められよう。


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