国内の政治や経済問題の情報源として、各メディアはどこまで信頼されているのだろうか(最新)

2023/11/23 02:42

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2023-1116先行記事【新聞一番テレビが二番…メディアへの信頼度、テレビと新聞の高さ継続(最新)】において、総務省が2023年6月23日に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値を基に、各ニュースメディアに対して人々がどの程度信頼をおいているのかを確認した。しかし実際には伝えられるニュースのジャンルにより、各メディアへの信頼の度合いも違ってくる。そこで今回は日本国内の政治や経済問題の情報源として、各メディアがどの程度信頼されているのかに関して確認をしていくことにする(【情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査】)。

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4マスでは雑誌のみが信頼できない、ニュースサイトは信頼できる


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間(最新)】を参考のこと。

今件項目では主要メディア、具体的にはテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、そしてインターネットに関してはインターネットニュースサイト、ソーシャルメディア、動画配信・共有サイト、ブログ・その他サイトに細分化した上で、日本国内の政治や経済に関する情報源として、どの程度信頼できるかを「非常に信頼できる(3)」「ある程度信頼できる(2)」「あまり信頼できない(1)」「まったく信頼できない(0)」「そもそもその情報源を使わない、知らない」のいずれかから回答者自身の考えにもっとも近い選択肢を一つ、選んでもらっている。その上で、「そもそもその情報源を使わない、知らない」以外の回答に関して割り当てられた数字の平均を信頼度として算出している。全員が「非常に信頼できる」と答えれば3.00、「まったく信頼できない」なら0.00となり、値が大きいほど大きな信頼が寄せられていることになる。

一方この方法では「そもそもその情報源を使わない、知らない」の回答者は信頼度算出の際には除外されている。この回答者の中には「信頼がおけないので使っていない人」がいる可能性もあり、現実の信頼度は算出値よりもいくぶん低いと見た方が無難ではある。

まずは調査対象母集団全体の平均値。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(政治・経済問題(国内))(2022年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(政治・経済問題(国内))(2022年)

やはり新聞の信頼度が一番高く、ついでテレビとラジオがほぼ同率、雑誌は4マスの中では一番低い値となる。雑誌が低いのはネタ系、ゴシップ系の雑誌も合わせてイメージされるのが原因だろう。

インターネット系の選択肢ではインターネットニュースサイトが一番高く1.70となり、雑誌を上回っている。一方でソーシャルメディアや動画配信・共有サイト、ブログ・その他サイトは低め。信頼できる・できないの境界線は1.50と考えることができるので、雑誌とともにソーシャルメディアや動画配信・共有サイト、ブログ・その他サイトは一般的に信頼できない範ちゅうに入ることになる。

色々な属性別で見てみると


これについて回答者を多様な属性に区分して確認していく。まずは男女別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(政治・経済問題(国内)、男女別)(2022年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(政治・経済問題(国内)、男女別)(2022年)

男女で大きな違いは無いが、全メディアで女性がやや高い値を示しているのが興味深い(インターネットニュースサイトはグラフの表記上は同じになっているが、厳密には男性は1.70014992503748、女性は1.7031746031746である)。男性が国内の政治・経済問題にかかわる情報そのものへ不信感を抱いているのか、あるいは女性が広い心で情報を受け止めているのか。

続いて年齢階層別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(政治・経済問題(国内)、年齢階層別)(2022年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(政治・経済問題(国内)、年齢階層別)(2022年)

いくつかの凸凹が生じているが、おおよそ低年齢ほど信頼度が低く、年が上になるに連れて信頼度が高くなる傾向がある。ただしソーシャルメディア、動画配信・共有サイト、ブログ・その他サイトに限れば真逆の動きを示している。インターネットニュースサイトはインターネットによるものにもかかわらず、おおよそ低年齢ほど信頼度が低い結果が出ているのは、情報の発信元が多分に新聞やテレビなどの4マスだからだろう。また10代は情報源の種類を問わずに高い値が出ているのも興味深い。

就業形態別ではどうだろうか。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(政治・経済問題(国内)、就業形態別)(2022年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(政治・経済問題(国内)、就業形態別)(2022年)

フルタイムの就業者は全体的に他の就業形態の人と比べ、信頼度が低めに出ることが多い。他方、パート・アルバイトは他の属性よりもやや高めの値が出るケースが多いが、これは多分に女性が占めているからだろう。無職では4マスで高い値が出ているのは、その多くが定年退職済みの高齢者で占められているからだろうか。学生・生徒が高いのは、その大多数が10代だからだと思われる。

最後は世帯年収別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(政治・経済問題(国内)、世帯年収別)(2022年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(政治・経済問題(国内)、世帯年収別)(2022年)

4マスへの信頼度はおおよそ高世帯年収ほど信頼度が高くなる傾向がある。他方インターネット系メディアはインターネットニュースサイトを除けば高世帯年収ほど信頼度が低くなる傾向がある。インターネットニュースサイトはインターネット経由だが、情報の大元が4マスなので、ソーシャルメディアなどとは別の動きをしているのだろう。これらの動きは、多分に高年齢層ほど高世帯年収であり、その連動性による結果だと考えられる。



いくつかの属性別に、国内の政治経済問題に係わる各情報源の信頼度の確認をしたが、おおよそ年齢階層で大きな差異が生じており、他の属性はそれに引きずられている感が強い。年齢階層別で大きな差が生じてしまうのは、それぞれの人生経験で、どの程度の期間にわたり、そのメディアと接していた、利用していたかが多分に影響しているのだろう。

例外的にインターネットニュースサイトで高齢層の値が高く出るのは、配信元が新聞社やテレビ局など、4マスが配信元であるからと考えれば道理は通る。要はツールとしてのメディアよりも、配信元そのものの信頼に大きなウェイトが置かれているわけだ。


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