「テレビで録画やソフトの再生」と「ネット動画の再生」は競合関係にあるのか…それぞれの動向を探る(2016年)(最新)

2016/09/21 05:04

BDレコーダーやHDDレコーダーの廉価化に伴い、テレビ番組を録画して後程まとめて視聴するテレビの視聴スタイルはごく当たり前のものとなった。さらにDVD・BDソフトの再生環境もほぼ同時に整備されるため、レンタルソフトの利用機会を有する人も増えている。一方で、インターネット回線の高速化や端末上での再生技術の向上、サービスの多様化、そしてスマートフォンの普及浸透により、映像視聴の観点では、動画共有サイトなどのインターネット動画が、テレビ番組の録画やレンタル・セルソフトの競合相手となるとも言われている。そこで今回は総務省が2016年8月31日に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値などを基に、テレビ受信機で録画した番組やレンタルなどのソフトを再生しての視聴、パソコンや携帯電話を使った動画共有サイトの利用性向の経年変化を確認し、影響を与えているのかを推測していくことにする(【発表リリース掲載ページ:研究成果-調査研究報告書】)。

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テレビの番組録画の再生やビデオソフトの再生視聴は…


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】を参考のこと。また行為者率とは該当期日(今件調査は平日2日分と休日1日分で実施している)のうち、連続して10分以上使用した人の割合を示している。そして行為者行為平均時間とは、その属性全体ではなく、行為者に限定した行為平均時間。ある属性の総数が100人、そのうち10人が行為者で、それぞれ100分が視聴した場合、単純な平均時間は (10×100)(総分数)÷100(人・総数) で10分だが、行為者行為平均時間は (10×100)(総分数)÷10(人・行為者数)で100分となる。

今件ではテレビとはテレビ受信機による視聴を意味する。中には借りてきたDVDなどをパソコンで再生して楽しむ人もいるが(回答項目には存在する)、今回はテレビ受信機における視聴に限定して動向を確認していく。また「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」は都合4年間、2012年分から2015年分まで行われているが、平日と休日双方で実施されたのは2013年分以降なこともあり、今回は平日の動向のみを精査する。

まずは録画したテレビ番組を観る人の割合と、その視聴者における平均視聴時間。

↑ 平日・テレビ・「録画したテレビ番組を観る」行為者率
↑ 平日・テレビ・「録画したテレビ番組を観る」行為者率

↑ 平日・テレビ・「録画したテレビ番組を観る」行為者行為平均時間(分)
↑ 平日・テレビ・「録画したテレビ番組を観る」行為者行為平均時間(分)

一部イレギュラーな動きもあるが、全体としてはテレビを録画して観る行為者の率、行為者の平均的な視聴時間に経年変化は無いように見える。あえて言えば10代から20代における行為者率が3年に渡り減退傾向にあり、特に直近年の2015年では落ち込んでいる。後述するが同世代では動画視聴行為者率が急増しており、因果関係はともかく相関関係はありそうに見える。ただし行為者行為平均時間は同時にほぼ伸びており、より濃い録画視聴派が残ったと考えると筋道が通る。

続いて購入やレンタルで取得したソフトの、テレビによる視聴動向。

↑ 平日・テレビ・「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」行為者率
↑ 平日・テレビ・「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」行為者率

↑ 平日・テレビ・「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」行為者行為平均時間(分)
↑ 平日・テレビ・「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」行為者行為平均時間(分)

行為者率においては、年齢階層別の動向では規則性を見出すのは難しいが、10代は2013年のイレギュラーは別として、確実な減退を見せている。また、全体、そして性別に仕切り分けした上でも経年による減少が確認できる。他方、行為者の行為平均時間では法則性を見出すのは難しいが、直近の2015年に限ると大きく減退している。単年の動きでイレギュラーな可能性もあるが、「録画したテレビ番組を観る」とは異なる方向性であることもあわせ、大いに留意すべき動きといえる。つまり、「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」においては、行為者も、行為者の平均行為時間も減少する傾向にある、言い換えれば、観る人自身が減り、観る人においても視聴時間も減っている、確実な「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」離れが起きていることになる。

パソコンや携帯電話での動画視聴は…!?


続いてパソコンや携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方を含む)における、YouTubeやニコニコ動画などの動画共有サイトの視聴動向。2014年以降はこれらインターネット利用端末による動画視聴スタイルとして、別項目に「GyaO!、Hulu、NHKオンデマンド等のオンデマンド型の動画配信サービスを見る」が追加されているが、今回は考察の観点からはややずれるところがあるので検証には含めない。

まずは携帯電話経由。

↑ 平日・携帯電話・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者率
↑ 平日・携帯電話・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者率

↑ 平日・携帯電話・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者行為平均時間(分)
↑ 平日・携帯電話・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者行為平均時間(分)

全体、男女別の動向を見ればわかる通り、行為者率は明らかに増加を示している。特に直近年における10代と20代、そして40代の増加が著しい。これは動画共有サイトを視聴しやすい環境、具体的にはスマートフォンを所有・利用する人が急激に増えているのが大きな要因。直近年では40代のスマートフォン利用率の急増が先行記事などで確認されているが、その影響が今項目にも表れている。もちろんスマートフォンの普及に伴い、サービスの充実やコンテンツの拡充など、各種環境が整備されていることもプラス要因。他方、行為者の平均行為時間に法則性は見出しにくい。利用している人の視聴時間に変化は無く、同程度の時間の視聴をしているようだ。

とりわけ10代から20代の、直近年の動きは注目すべき。具体的な動画共有サイトの名前までは調査対象項目に挙げられていないが、同時期にキャスターのように振る舞った自作動画をYouTubeにアップロードし、若年層から支持を集め、芸能人的な立ち位置を確保し、憧れの対象となった「ユーチューバー」の存在そのものや、周辺環境の変化は、確実に影響を与えたといえよう。

最後はパソコン経由による動画共有サイトの利用状況。

↑ 平日・パソコン・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者率
↑ 平日・パソコン・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者率

↑ 平日・パソコン・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者行為平均時間(分)
↑ 平日・パソコン・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者行為平均時間(分)

携帯電話とは逆に、全体では行為者率が漸減していたが、直近年では急増している。こちらは年齢階層別では10代と30代、性別では男女ともだが男性は経年で増加している。2014年までは高齢層が、直近年の2015年では30代までの伸びが、男性の経年による増加を底上げした感はある。

また携帯電話経由と比較すると、若年層では携帯電話、高齢層ではパソコンの方が行為者率が大きくなる傾向がある。プライベートでインターネットを利用する際に、パソコンと携帯電話(特にスマートフォン)のどちらをメインにするか、その違いが出ていると考えればすっきりする。

一方行為者による平均行為時間は大よそ減退。男性が減り、女性が増える動きを示しているが、直近では逆の動きを見せている。また、年齢階層別では動向がばらばらで、法則性は見出しにくい。



現状としては大よそこのような形となったが、ざっとまとめると「テレビ番組の録画視聴は変化なし」「ソフト再生は減退」「携帯電話による動画共有サイトの利用は増加」「パソコンによる動画共有サイトの利用は減退」との形となる。そして直近年となる2015年では「テレビ番組の録画視聴・ソフト再生ともに若年層で減退」「携帯電話による動画共有サイトの利用は若年層で急増「パソコンによる動画共有サイトの利用は増加」と、これまでとは一部で異なる動きを示した。因果関係を見出すことは不可能だが、特に直近年では映像ソフトの利用者が、携帯電話の動画共有サイトの視聴に流れている、との推測が可能な変化が生じている。

動画共有サイトで閲覧できる動画のほとんどは無料で視聴できるもの。サービスのメンテナンスなどがない限り、インターネットにアクセスできればいつでも、そして何度でも、さらには好きなところから再生して観ることができる。どうしても観たい番組や映画作品ならともかく、「自分が楽しめる映像で時を過ごしたい」との需要ならば、コストパフォーマンスに優れ、時間の制約もなされず、さらには端末上の制限も無いパソコンや携帯電話、特にスマートフォンによる動画視聴に傾注するのは当然の話。また本文でも言及の通り、動画による情報発信者がアイドル的なものとして認識され、若年層の注目対象となったのも、シフトの一因だろう。

来年以降はさらにこの流れが加速するものと思われる。あるいは生放送のテレビ番組の行為者率動向にすら、影響が生じるかもしれない。


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