「テレビで録画やソフトの再生」と「インターネット動画の再生」は競合関係にあるのか…それぞれの動向をグラフ化してみる(最新)

2018/09/20 04:55

2018-0914BDレコーダーやHDDレコーダーの廉価化に伴い、テレビ番組を録画して後程まとめて観賞するテレビの視聴スタイルはごく当たり前のものとなった。さらにDVD・BDソフトの再生環境もほぼ同時に整備されるため、レンタルソフトの利用機会を得る人も増えている。一方で、インターネット回線の高速化や端末上での再生技術の向上、サービスの多様化、そしてスマートフォンの普及浸透により、映像視聴の観点では、動画共有サイトなどのインターネット動画が、テレビ番組の録画やレンタル・セルソフトの競合相手となるとも言われている。そこで今回は総務省が2018年7月27日に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値などを基に、テレビ受像機で録画した番組やレンタルなどのソフトを再生しての観賞、パソコンや携帯電話を使った動画共有サイトの利用性向の経年推移を確認し、影響を与えているのかを推測していくことにする(【情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査】)。

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テレビの番組録画の再生やビデオソフトの再生視聴は…


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】を参考のこと。また行為者率とは該当期日(今件調査は平日2日分と休日1日分で実施している)のうち、連続して10分以上使用した人の割合を示している。そして行為者行為平均時間とは、その属性全体ではなく、行為者に限定した行為平均時間。ある属性の総数が100人、そのうち10人が行為者で、それぞれ100分が観賞した場合、単純な平均時間は (10×100)(総分数)÷100(人・総数) で10分だが、行為者行為平均時間は (10×100)(総分数)÷10(人・行為者数)で100分となる。

今件ではテレビとはテレビ受像機による視聴を意味する。中には借りてきたDVDなどをパソコンで再生して楽しむ人もいるが(回答項目には存在する)、今回はテレビ受像機における視聴に限定して動向を確認していく。また「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」は都合6年間、2012年分から2017年分まで行われているが、平日と休日双方で実施されたのは2013年分以降なこともあり、今回は平日の動向のみを精査する。

まずは録画したテレビ番組を観る人の割合と、その観賞者における平均観賞時間。

↑ 「録画したテレビ番組を観る」行為者率(平日、テレビ)
↑ 「録画したテレビ番組を観る」行為者率(平日、テレビ)

↑ 「録画したテレビ番組を観る」行為者行為平均時間(平日、テレビ、分)
↑ 「録画したテレビ番組を観る」行為者行為平均時間(平日、テレビ、分)

イレギュラーな動きもあるが、全体としてはテレビを録画して観る行為者の率、行為者の平均的な観賞時間に経年変化は無いように見える。あえて言えば10代と50代における行為者率が減少傾向にあるように見える。ただし行為者行為平均時間は同時にほぼ伸びており(2017年の10代は大きく落ち込んでいるが)、より濃い録画観賞派が残ったと考えると筋道が通る。

続いて購入やレンタルで取得したソフトの、テレビ受像機による観賞動向。

↑ 「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」行為者率(平日・テレビ、属性別)
↑ 「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」行為者率(平日・テレビ、属性別)

↑ 「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」行為者行為平均時間(平日、テレビ、属性別、分)
↑ 「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」行為者行為平均時間(平日、テレビ、属性別、分)

行為者率においては、年齢階層別の動向では規則性を見出すのは難しいが、全体、そして男女別に区分すると男女ともに行為者率が減っているのが分かる。他方、行為者の行為平均時間では法則性を見出すのは難しい。つまり、「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」においては、行為者は減っているが年齢によるものでは無い、そして行為者の平均行為時間は法則的な動きは観られないことになる。言い換えれば、単純に観る人自身が減っている次第。利用している人の利用傾向に変化は無いものの、「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)利用」離れが起きていると見てもよいだろう。

パソコンや携帯電話での動画視聴は!?


続いてパソコンや携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方合わせて)における、YouTubeやニコニコ動画などの動画共有サイトの観賞動向。2014年以降はこれらインターネット利用端末による動画視聴スタイルとして、別項目に「GyaO!、Hulu、NHKオンデマンドなどのオンデマンド型の動画配信サービスを観る」が追加されているが、今回は考察の観点からはややずれるところがあるので検証には含めない。

まずは携帯電話経由。

↑ 「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者率(平日、携帯電話、属性別)
↑ 「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者率(平日、携帯電話、属性別)

↑ 「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者行為平均時間(平日、携帯電話、属性別、分)
↑ 「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者行為平均時間(平日、携帯電話、属性別、分)

全体、男女別の動向を見ればわかる通り、行為者率は明らかに増加を示している。特に10代と20代の増加が著しい(2017年の10代の伸びは特異的なものだが、データの入力ミスではない)。これは動画共有サイトを観賞しやすい環境、具体的にはスマートフォンを所有・利用する人が急激に増えているのが大きな要因。もちろんスマートフォンの普及に伴い、サービスの充実やコンテンツの拡充など、各種環境が整備されていることもプラス要因。他方、行為者の平均行為時間に法則性は見出しにくい。ここ2、3年ではおおよそ増加傾向にある、と読めるだろうか。

とりわけ10代から20代の動きは注目すべき。具体的な動画共有サイトの名前までは調査対象項目に挙げられていないが、キャスターのように振る舞った自作動画をYouTubeにアップロードし、若年層から支持を集め、芸能人的な立ち位置を確保し、憧れの対象となった「ユーチューバー」の存在そのものや、周辺環境の変化は、確実に影響を与えたといえよう。

最後はパソコン経由による動画共有サイトの利用状況。

↑ 「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者率(平日、パソコン、属性別)
↑ 「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者率(平日、パソコン、属性別)

↑ 「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者行為平均時間(平日、パソコン、属性別、分)
↑ 「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者行為平均時間(平日、パソコン、属性別、分)

全体では行為者率が漸減している(2015-2016年はイレギュラーだったのだろう)。男女別では男性は漸増状態なので、女性の減少が全体値の押し下げに影響しているようだ。年齢階層別では法則性は見出しにくいが、30代と50代でやや増加の気配があると読めばよいのだろうか。

一方行為者による平均行為時間はおおよそ減少。2016年では女性、2017年では男性が大きく伸びたことで全体値も底上げされているが、この伸び方はイレギュラーな感が強い。



現状としてはおおよそこのような形となったが、ざっとまとめると「テレビ番組の録画視聴は変化無し」「ソフト再生は減少」「携帯電話による動画共有サイトの利用は増加」「パソコンによる動画共有サイトの利用は減少気味」との形となる。

動画共有サイトで閲覧できる動画のほとんどは無料で観賞できるもの。サービスのメンテナンスなどが無い限り、インターネットにアクセスできればいつでも、そして何度でも、さらには好きなところから再生して観ることができる。どうしても観たい番組や映画作品ならともかく、「自分が楽しめる映像で時を過ごしたい」との需要ならば、コストパフォーマンスに優れ、時間の制約も無く、さらには端末上の制限も無いパソコンや携帯電話、特にスマートフォンによる動画観賞に傾注するのは当然の話。また本文でも言及の通り、動画による情報発信者がアイドル的なものとして認識され、若年層の注目対象となったのも、シフトの一因だろう。

来年以降はさらにこの流れが加速するものと思われる。あるいは生放送のテレビ番組の行為者率動向にすら、影響が生じるかもしれない。


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