未来を担う有望端末? それとも…電子書籍リーダーとタブレット型端末の所有・利用状況をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/09/18 05:05

高性能を誇るものの機動性が今一つのパソコンと、機動力に長けるが性能面や入力インターフェイスの上で難があるスマートフォン。それぞれ一長一短の性能を有する両端末の合間にある存在とも表現できるタブレット型端末。昨今ではさらにタブレット型端末とスマートフォンの中間的存在「ファブレット」と命名される大型スマートフォンも登場し、試行錯誤が市場で繰り返されている感はある。また、新時代の読書スタイルともいえる電子書籍を購読・閲読するのを主目的とした、専用タブレット型端末として電子書籍リーダーも普及浸透が著しいように見える。今回は総務省が2016年8月31日に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値を基に、電子書籍リーダー、そしてタブレット型端末の普及状況や利用実態を確認していくことにする(【発表リリース掲載ページ:研究成果-調査研究報告書】)。

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電子書籍リーダーの現状はいかに


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】を参考のこと。

次に示すのは電子書籍リーダーの所有及び利用状況。自宅にある・無しを回答者に答えてもらい、ある場合には回答者自身が利用しているか、それとも利用していないか(置いてあるだけなのか、家族の別の人が使っているかは問わない)、無い場合には自宅に欲しいか、いらないかを答えてもらっている。単純にある無しの回答だけでなく、ある場合には利用状況を、無い場合には所有希望の有無まで尋ねることで、電子書籍リーダー需要実態を確認できる。なお今件選択肢は回答用紙には「電子書籍リーダー(Amazon のKindleなど)」と記載されている。

↑ 電子書籍リーダー所有状況(2015年、自宅)
↑ 電子書籍リーダー所有状況(2015年、自宅)

↑ 電子書籍リーダー所有状況(2015年、自宅、「無い」)
↑ 電子書籍リーダー所有状況(2015年、自宅、「無い」)

全体では世帯所有率は16.3%だが、利用率は4.6%しかない。10代では特に所有率が高い一方で非利用率も高く、学生・生徒でも同じような傾向が見られる。保護者が教育のために調達したか、あるいはそれを兼ねて自前で購入したものの、子供自身は使っていない状況が思い浮かばれる。

もっとも、世帯所有率に対する非利用率の高さは、若年層に限った話では無い。世代別の差異は無く、就業別の違いもさほど見られない。世帯年収別では低年収ほど所有率・利用率が低い傾向があるが(200-400万円の属性はイレギュラーだろうか)、最大年収の属性でも利用率は1割にも満たない。保護者が買い与えて子供が使っていないだけでなく、保有世帯の多くが使いこなせず放置している可能性は低くない。

非所有世帯でも、似た雰囲気を覚えさせる結果が出ている。非所有世帯率に多少の差はあるが、「世帯に無く、欲しい」とする意見は一定率、1割前後でしかなく、残りは大よそ不必要と回答している。どのような属性でも「無いけれど欲しい」の意見率に大きな変化が無いのが興味深い。見方を変えれば、属性で変化するような特徴、魅力が電子書籍リーダーからは感じられないと判断することもできる。

学生・生徒の4割強は「タブレット型端末が欲しい」


続いてタブレット型端末。こちらは世帯所有状況では無く、回答者自身の利用状況を尋ねている(利用している/利用していない・将来ほしい/利用していない・将来もほしくない の3選択肢から選択。つまり利用していない≒使える端末が手元に無い)。なお回答用紙の機種に関する説明は「タブレット端末(iPad、Nexus9、GalaxyTabなど)」となっている。その点で、上記の電子書籍リーダーとは微妙に設定が異なっている(元々別項目の設問である)。

↑ タブレット型端末利用状況(2015年、回答者自身)
↑ タブレット型端末利用状況(2015年、回答者自身)

↑ タブレット型端末利用状況(2015年、回答者自身、「無い」)
↑ タブレット型端末利用状況(2015年、回答者自身、「無い」)

全体では3割近く、男女では男性の方がやや高い。そして意外にも10代の利用率が高めなのが目に留まる(世帯別所有率では無いことに注意)。これはタブレット型端末に関する他の調査でも見受けられる動きだが、スマートフォン同様に子守り用の玩具として保護者から与えられる場合や、家族共有の端末として利用する事例が多々あるからだろう。そして20代で一度下がり、30代をピークとし、あとは年齢と共に下がる。就業形態別では法則の類は見受けられないが、世帯年収では高年収ほど所有率が高めの値が出ている。無職の利用率が低いのは、ある程度年収と相関関係があるからだろう。また居住都市規模別では大都市ほど所有率が高い値が出ている。

非利用者における所有(利用)希望性向だが、電子書籍リーダーとは異なり、高めの値が示されている。全体では3割強、元々利用率が高めの30代を除き中堅層までは3割強がタブレット型端末の所有を希望している。学生・生徒では希望率が4割にも達する。一方高齢層では所有していないし欲しくも無い人が多数に及び、60代では2/3近くが要らないと答えている。

興味深いのは世帯年収別。利用率は高年収ほど高かったため、当然非所有率は低年収ほど高くなる。ところが所有希望率は低年収ほど低い。低年収世帯ではタブレット型端末は利用率だけでなく、所有願望もまた低いことになる。



アマゾンKindleの日本版で一気に日本国内でも花開いた感もある電子書籍だが、実際のところ電子書籍リーダーの普及状況は今一つで、利用・所有願望もかんばしくない。タブレット型端末の需要の高さと合わせ見ると、パソコンやスマートフォン、タブレット型端末による閲読・購読をする人が多分で、電子書籍リーダーを使って電子書籍を読む人は少数派のようにも見える。

機動性の高いモバイル端末とはいえ、複数を持ち運ぶのにはやはり難儀する。スマートフォンなりタブレット型端末の多機能性を合わせ考えると、さらにもう一つ電子書籍リーダーを持ち運ぶよりは、多少機能の上で劣っていてもスマートフォンなどで見た方が、総合的な便宜性では上になるとの判断が、多くの人に働いているのだろうか。


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