ゲーム機は携帯も据置型も需要層にほぼ普及済み?…携帯ゲーム機、据置型ゲーム機の所有・利用状況(最新)

2023/11/18 02:48

このエントリーをはてなブックマークに追加
2023-1111従来ならゲームセンターでしか遊べなかったようなデジタル系ゲームを、家庭用テレビを表示画面に用いることで自宅でもプレイ可能とし、しかもソフトの入れ替えで多様なタイトルが楽しめる、据置型ゲーム機。そして表示画面を液晶などで小型化し、本体と合わせて持ち運びができるようにした携帯ゲーム機。子供だけでなく大人にも受け入れられ、エンターテインメント分野に大きな影響を及ぼす存在となった。昨今ではインターネット接続機能が半ば当たり前となりオンラインゲームも多数発売され、一方で同様のゲームが遊べるスマートフォンとのし烈な市場の覇権争いが繰り広げられている。それではそれらゲーム機は、現在どのような所有状況となっているのだろうか。今回は総務省が2023年6月23日に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値を基に、据置型ゲーム機と携帯ゲーム機の世帯普及状況や利用実態を確認していくことにする(【情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査】)。

スポンサードリンク


据置型の普及率は6割近くだが遊んでいる人は3割足らずに過ぎない


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間(最新)】を参考のこと。

次に示すのは据置型ゲーム機の所有および利用状況。自宅にある・無いを回答者に答えてもらい、ある場合には回答者自身が利用しているか、それとも利用していないか(置いてあるだけなのか、家族の別の人が使っているかは問わない)、無い場合には自宅に欲しいか、必要ないかを答えてもらっている。単純にあるか無いかの回答だけでなく、ある場合には利用状況を、無い場合には所有希望の有無まで尋ねることで、細かい需要を確認できる。なお今件は回答用紙には「テレビゲーム機(任天堂据置型ゲーム機、PlayStationシリーズなど)」と記載されている。

↑ 据置型ゲーム機所有状況(自宅、属性別)(2022年)
↑ 据置型ゲーム機所有状況(自宅、属性別)(2022年)

↑ 据置型ゲーム機所有状況(自宅、「無い」、属性別)(2022年)
↑ 据置型ゲーム機所有状況(自宅、「無い」、属性別)(2022年)

全体では自宅所有率は57.1%。しかし利用率は27.1%にとどまっている。かつて使っていたが今はほこりをかぶっているとのケースもあろうが、むしろ子供が使っているが保護者である回答者は遊んでいない事例が多いのだろう。実際年齢階層別では低年齢ほど利用率では高い値を示している。10代では所有率80.7%、利用率55.7%。

就業形態別ではパート・アルバイトの人はフルタイムの人よりも所有率・利用率は高い。時間に余裕があるからだろうか。無論、一番時間に余裕があり、ゲームへの興味も深いであろう学生・生徒が一番高い値を示しているのだが。他方、無職の値は低いが、これは多分が高齢者であるため。世帯年収別では、600-800万円未満の層までは低世帯年収ほど低所有率・低利用率を示している。一方で都市規模別では規則性のようなものは見られない。

非所有者の状況だが、属性に限らずほとんどの人が据置型ゲーム機は必要ないと回答している。かろうじて30代の「無い・欲しい」率が1割に届きそうな程度。現在自宅に据置型ゲーム機がある人がもう一台、あるいは買い替えで購入する可能性までは推し量れないが、少なくとも現在一台も無い世帯において、新たに購入される可能性はほとんど無いと見てよい。一言で表現すれば世帯ベースでは飽和状態にある。

携帯ゲーム機も飽和状態!?


続いて携帯ゲーム機。こちらは回答用紙には「携帯型ゲーム機(ニンテンドー3DS、PS Vitaなど)」と表記されている。

↑ 携帯ゲーム機所有状況(自宅、属性別)(2022年)
↑ 携帯ゲーム機所有状況(自宅、属性別)(2022年)

↑ 携帯ゲーム機所有状況(自宅、「無い」、属性別)(2022年)
↑ 携帯ゲーム機所有状況(自宅、「無い」、属性別)(2022年)

全体では自宅所有率・利用率ともに据置型ゲーム機と大体同じ。所有率は男女差に大きな開きは無いものの利用率は男性の方が高い。そしてやはり10代の値が圧倒的に高い。20代以降の減少ぶりも据置型ゲーム機同様で、利用率では年齢とともに低い値となる(40代で所有率がいくぶん跳ねるのは子供がいる影響だろうか。所有率が高くても利用率が低いのが、推論の確証性を後押ししている)。就業形態別ではやはり学生・生徒がずば抜けて高く、3/4強が所有し、5割強が利用している。

世帯年収別では据置型ゲーム機同様、おおよそ低世帯年収ほど低所有率を示している。そして利用率では200万円以上において大きな変化が生じていない(800-1000万円未満がいくぶん落ちている程度)。都市規模別では所有率において都市規模が大きいほど高い値となる傾向がある。

非所有者の思惑は、意外にも据置型ゲーム機と同じで、ほぼ飽和状態にあることが分かる。自宅に携帯ゲーム機が無い人の大多数は、将来にわたっても欲しいとは思わないと答えている。代替わり、買い増しなどの理由で現在の所有者がさらに購入する可能性は否定できないが、現在非所有者が新たに購入する機会はあまり無いとの結論に達する。



今件はあくまでも回答時の状況で、しかも13歳以上の回答者に限られている。大学生や社会人になり一人暮らしを始める=新世帯で暮らすようになる場合の環境変化、13歳未満の子供の利用状況や所有願望は反映されていないため、現在据置型ゲーム機や携帯ゲーム機を持たない人で、新規に欲しがる人も少なからずいるだろう。

しかし少なくとも現状では多分に、据置型ゲーム機・携帯ゲーム機ともに、飽和に近い状態であることは否定できまい。新規需要の多分は「故障などによる現行利用機が利用できなくなった場合」「新型機への乗り換え」にあるものと考えられる。さらに今後の動向を見守る必要があるが、タブレット型端末やスマートフォンの普及で、稼働率が低下する、つまり自宅にあるが使っていない人の割合がこれまで以上に増える可能性は大いに考えられる。

来年以降の動向に、大いに注目したいところだ。


■関連記事:
【Wiiは「家族で遊ぶハード」ではあるが……DSとの年齢階層の違い】
【任天堂ゲーム機の販売動向(主要ハード編)(最新)】
【任天堂ゲーム機の販売動向(ソフト編)(最新)】

スポンサードリンク


関連記事


このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS