震災後の減退も2012年後半から復調、再び下落、そして底打ちか…震災後のラジオ聴取動向をグラフ化してみる(2015年2月度版)

2015/03/19 15:00

従来型4大メディア(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)の中で、この数年においてもっとも大きな状況変化にさらされているのがラジオ。インターネットや携帯電話の普及でメディア力(りょく)の減退著しく、広告費は減退するばかりの中、先の震災をきっかけにその存在意義を認められ、新たな立ち位置を確保しつつあるとも言われている。今回はビデオリサーチが定期的にプレスリリースとして公開を実施しているラジオ聴取動向の最新発表値(【発表リリース:ビデオリサーチ 2015年2月度首都圏ラジオ調査 結果まとまる】)をはじめとした各種経年データを基に、震災前後のラジオ聴取動向について探りを入れていく。

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震災前後の聴取率動向


今調査は1週間分の調査票を一括して郵送・回収する「日記式郵送留置調査方式」で実施されている。また類似メディアのテレビにおける視聴率取得の際に使われる自動取得型ではなく、利用者性向で偏りが生じ得るインターネット経由のものでもない。そのため、調査方式による実態とのぶれはほとんどないと見てよい。

今件項目における「週平均の聴取率」とは「週全体(平日、土日を合わせた)における、1日単位での平均聴取率」を意味する。例えば「1週間全体において、1度でもラジオを聴いた人の割合」ではない(こちらは直近では60.6%)。

まずは全体的な聴取率の時系列推移。リリースなどから取得・利用可能なデータは2011年2月以降。そこでそれらの値を合わせてグラフ化する。東日本大地震・震災の発生は2011年3月11日だが、その期間以降に聴取率が上昇しているのがはっきりと見て取れる。

↑ 全局個人聴取率・時系列比較(6時-24時、週平均)(-2015年2月)
↑ 全局個人聴取率・時系列比較(6時-24時、週平均)(-2015年2月)

以前【地震情報で見直される「ラジオ」、評価を受ける「ソーシャルメディア」、そして……】などで解説したように、震災をきっかけとしてラジオはその価値を見直され、再評価(もちろんポジティブ)を受けることになった。また本震以降はしばらく大きめな余震が相次いだこともあり、ラジオを新たに備え、機会あるたびにスイッチを入れる人も少なくない(各通販サイトでも軒並みポータブルラジオの類が品切れとなった)。すでにラジオを持っている人も、聴取頻度は高まる。その結果、聴取率は7%台を回復する(2011年後半)。

しかし本震から時間が経過し、大きな余震の発生頻度も低下。それに合わせる形で聴取率も減少しはじめる。季節変動を考慮しなければ、減少は2012年春先から。2012年半ばには底を打ち、それ以降は多少ながらも回復したが、2013年には震災前の水準に戻ってしまった。その後やや起伏間を覚える中で、6%強の状態で横ばいのまま続いているように見えたが、2014年に入ると下落基調を示し、そして半年ほどは横ばい。記事タイトルにある通り、底打ち感をようやく見せ始めた雰囲気ではある。

一連の動きを世代別に見たのが次のグラフ。

↑ 全局個人聴取率・時系列比較(6時-24時、週平均)(世代別)(-2015年2月)
↑ 全局個人聴取率・時系列比較(6時-24時、週平均)(世代別)(-2015年2月)

グラフ領域内の動きを見ると、未成年者とシニア層における緩やかな減少、中堅層の増加といった傾向が確認できる。特に20-34歳は震災後にもほとんど動きが無かったものの、2012年の後半以降少しずつではあるが上昇している。逆にシニア層・未成年者の減少は、震災後に半ば必要に迫られてラジオを整備・聴取を始めた層が、余震頻度の低下と共に必要性への認識も薄れ、再びラジオ離れを起こしているものと考えられる。

もっとも直近1年の動向に限れば、未成年者の増加とそれより上の層の漸減傾向が確認できる。2015年2月では中堅層の増加に伴い全体値は横ばいを維持できたものの、これが次回調査時にも継続するか否かは微妙なところ。シニア層の漸減は中期的な動きで転換の気配は無く、これに中堅層が加わると、たとえ未成年者が増加に転じたとしても、全体的な個人聴取率の減少は避けられない。特にこれまで安定した値動きを示していた中堅層におけるラジオ離れが生じている現状は、大いに注意を払う必要がある。

前年同月との差で見ると……


この動きを分かりやすくするため、そして季節変動を無視できるように、世代別に前年同月との差を計算したのが次のグラフ。2012年2月より前の値が無いのは、元々の絶対値データが2011年2月以降しか取得できなかったためである。

↑ 全局個人聴取率・時系列比較(6時-24時、週平均)(前年同月比、%ポイント)(-2015年2月)
↑ 全局個人聴取率・時系列比較(6時-24時、週平均)(前年同月比、%ポイント)(-2015年2月)

2012年2月までと4月以降で、明らかにトレンドが変わっている。これは震災直後にラジオを整備し聴取した人の多くが、1年を経過して聴かなくなりつつあることを意味する。この傾向は2013年4月から6月位まで続き、それ以降はまた違ったトレンドが生じている。2012年4月から2013年4月まではほぼすべての世代でラジオ離れが起きていたが、それ以降は若年層のラジオ離れ・中堅層のラジオ回帰の動きが見て取れる。

さらに2014年6月から8月以降は3回目のトレンド転換、具体的には緑色で囲った部分がほぼ確定となった。明らかにその左側の青色の期間と異なり、全体的な下げ基調に転じている。特にシニア層の減退ぶりが顕著で、傾向としては2012年8月以降のそれに類似している。あるいはオレンジ部分の傾向と同じような下げ方を、今回緑部分でも示すのかもしれない。

これらのチェックポイントにとりわけ注視しながら、今後の動向を引き続き精査したいところだ。


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