2015年3月度外食産業売上マイナス4.6%…洋風ファストフードは売上高2割減

2015/04/27 16:00

日本フードサービス協会は2015年4月27日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2015年3月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でマイナス4.6%を計上した。大手企業による昨年夏から相次ぐトラブルで売上を大きく減らしている洋風ファストフードが引き続き大軟調状態を継続し、全体にも影響を与えている。また日取り面で前年よりも条件が悪く客数が減り、さらに消費税率の引上げ直前の駆け込み需要の反動が影響する部門もあった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が198、店舗数は3万1958店舗。今月は前月と比較すると事業社数は減り、店舗数も減少している。

全業態すべてを合わせた2015年3月度売り上げ状況は、前年同月比で95.4%となり、4.6%の減少を記録した。これは先月から転じる形で2か月ぶりの減少となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では昨年同月と比べて土曜日が2日少なく、これがファミリー層の来客機会の観点で大きく足を引っ張る形となった。一方、天候では雨天日数が前年同月比で東京は2日マイナス、大阪では2日プラスとなり、来客動向としては方向性を見極めにくい状態。ただ大阪は雨天日数が多いものの平均気温は高く、外出機運はいくぶん底上げしたようにも見える。

他方2014年4月に行われた消費税率改定だが、外食産業そのものとしてよりは「ついて来客」の観点での影響が生じている。ショッピングセンターなどで税率改定前の駆け込み需要としての買い物機運の上昇が2014年3月に発生し、そのついでに内包・隣接する外食店で食事をするパターンが多々生じている。その反動が今回月の来客数に反映され、客数動向で足が引っ張られる形となっている。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から継続して3か月連続のマイナス(マイナス10.0%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風は、そのメイン企業となるマクドナルドが、昨年夏からの相次ぐトラブル、さらにはそれをきっかとした中長期に渡る問題点の露呈化や市場動向の変化に対応しきれない状況により、客単価・客数は大きく下落。洋風の他企業はそれなりの業績を見せたものの(例えばモスバーガーの3月における既存店売上高前年同月比はプラス0.8%)、マクドナルドのマイナスの影響は極めて大きく、これがファストフード部門、さらには外食産業全体の足を大きく引っ張る形となった。

一方でその他部門は「カレー」が引き続き堅調なことからプラス。牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス11.0%、客単価は大きく上げてプラス13.4%と成し、売上もプラス0.9%とプラスを計上。大手の吉野家が牛丼など価格を昨年12月に引き上げたことや、鍋メニューの展開によるところが大きい。

ファミリーレストラン部門は洋風・和風ではメニュー価格の改定(値上げ)があったものの客数の下落は最低限のものに留まり、売上高はプラス化。中華は人員不足で店舗数が減ったために営業時間短縮を余儀なくされた店が生じたことから客数が減った。麺類は新メニューの投入などでポジティブ。持ち帰り米飯・回転寿司は花見による貢献はあったものの、土曜日の少なさが大きく災いし、客数がグンと減り、売上もマイナスに。

パブ/居酒屋部門では居酒屋部門の軟調さが続いている。客単価の下げは限定的だが、とにかくお客が入らない。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年3月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年3月分)

天候・日取り要因は
土曜日が少なく大幅マイナス。
洋風ファストフードは
厳しい状況が続く。
消費税率引き上げ前の
駆け込み需要の反動が
間接的な形で客数マイナスに
影響する。
昨年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが、昨夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は昨夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いている。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、昨年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況が、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はある。もちろんこの動向を手をこまねいて見ているだけのはずがなく、同一業態内の洋食ファストフードの他チェーン店では自社の得意部門にさらなるリソース投入を行い、新商品・サービスを展開し、個性の強調・区別化を図る施策を実施している。

居酒屋の不調続きも要注意ポイント。こちらは食材の影響は無く、純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じてしまっている。現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、お酒を飲むこと以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。

もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が試験運用している「吉呑み」が堅調さを示し、ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告が相次ぎなされ、その実態が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2015年3月は既存店で客数プラス1.8%・客単価プラス0.5%、売上高プラス2.4%を計上している)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。実際、某大手居酒屋チェーン店では従来の方針を一転し、メニューの大幅値下げを決めたが、それが今後どのような変化を与えるのか、注目したいところだ。

他部門が比較的良い動きを示し続ける中で、とりわけここ数か月不調が続くファストフードの洋風、そして居酒屋。この2部門の回復状況が、外食産業全体の動向を精査するうえで、今後も注視すべき重要ポイントといえるだろう。また今年の夏は昨年から転じ、気温が高くなるとの長期予想が出されている。それが外食産業にどのような影響をもたらすことになるのか、気になるところではある。


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