50余年に渡る貯蓄額や年収、貯蓄の年収比の移り変わりをグラフ化してみる(2014年)

2014/05/28 08:00

家計内における貯蓄や負債の現状や動向を知るためのデータは官民問わず多数調査・公開されているが、その中でも重要視されているものの一つが、総務省統計局が定期的に調査・結果の公開を実施している家計調査報告。その「貯蓄・負債編」の直近年次分にあたる2013年分・速報値が、先日2014年5月16日に発表された。今回はこの値や過去のデータを基に、日本における長年に渡る、二人以上世帯の貯蓄額、年収の変移を確認していくことにする(【家計調査報告(貯蓄・負債編)-年平均結果速報-(二人以上の世帯)】)。

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今回グラフ化し精査するデータのうち、2000年分までは「家計調査」の附帯調査として実施されていた「貯蓄動向調査」のものを参照している。それまでは「家計調査」そのものでは同様の調査は行われていなかった。「家計調査」へは1年の準備期間をおいた上で移行されたので、グラフでも2001年分が空いている。

さて、「貯蓄動向調査」分も合わせ、1959年以降の二人以上の世帯における「貯蓄現在高」と「年間収入」、さらには「貯蓄の年収比」(年収の何%分が貯蓄として備えられているか。失業などに備えるためには半年から3年分のたくわえが必要と言われている)の推移を示したのが次のグラフ。物価上昇と共に年収や貯蓄現在高が上昇しているだけでなく、貯蓄の年収比が少しずつ増えている。また、金額が分かりやすいよう、直近……というよりは「家計調査」へ移行した2002年以降分について抽出したグラフを併記しておく。なお今調査は二人以上世帯(原則夫婦世帯)のみの対象なので、世帯全体、あるいは単身世帯の動向を推し量ることはできない。

↑ 貯蓄現在高及び年間収入の推移(二人以上の世帯)(-2013年)(2000年までは貯蓄動向調査による)
↑ 貯蓄現在高及び年間収入の推移(二人以上の世帯)(-2013年)(2000年までは貯蓄動向調査による)

↑ 貯蓄現在高及び年間収入の推移(二人以上の世帯)(2002年-2013年)
↑ 貯蓄現在高及び年間収入の推移(二人以上の世帯)(2002年-2013年)

1990年以降「年間年収」が横ばい、やや少しずつ減少しているのは【過去60年余にわたる消費者物価の推移をグラフ化してみる】でも解説している通り、物価が横ばい、むしろ多少ながらも下がっていることも合わせ、日本の成長率が鈍化したのが主要因。

とりわけ「家計調査」に切り替わった2002年以降の減少は物価安定だけでなく、デフレの進行、さらには【日銀レポートによる「なぜ好景気でも賃金は上がらなかったのか」】などで解説した通り、多種多様な要因による結果である。

↑ 消費者物価指数推移(1950年-2014年)(1950年の値を1.00とした時、持家の帰属家賃を除く総合)(東京都区部)(2014年は4月時点までの平均値)(再録)
↑ 消費者物価指数推移(1950年-2014年)(1950年の値を1.00とした時、持家の帰属家賃を除く総合)(東京都区部)(2014年は4月時点までの平均値)(再録)


一方、年収は今世紀に入ってから漸減しているのにも関わらず、貯蓄「額」は横ばい。結果として貯蓄年収比は漸増の一途をたどっている(もっとも金融危機が発生した2007年から数年間は、貯蓄の切り崩しが起きたこともあり、額面そのものも減少している)。

さらにいえば貯蓄額が減らず、貯蓄年収比が増加しているのは、単純に個々の貯蓄性向の高まりに加え、経年的に貯蓄を続けている中堅層-高齢層の世帯数が増え、全体比も増加したのが一因である。

なお直近の2013年に限れば、貯蓄額、年間収入、貯蓄年収比すべてにおいて大きな上昇が見られる。内部データを精査すると、勤労者世帯に限ると、例えば貯蓄現在高の前年比上昇率は0.9%でしかないのに対し、全体では4.9%も上昇している。これらの状況から、景況感による上昇も一因ではあるものの、主に年金退職者による貯蓄現在高のかさ上げがなされ、貯蓄年収比も大きく上がったものと考えられる。ちなみに年間収入の前年比増加は、全体で1.7%のプラスなのに対し、勤労者世帯では2.5%のプラスで、勤労者世帯の方が上昇幅は大きい。



参考までに最新の2013年分の値を挙げておくと、平均貯蓄額1739万円・平均年収616万円・平均貯蓄年収比は282.3%となっている。これらはあくまでも平均値であり、中央値では無い(直上にある通り、定年退職者などで多額の貯蓄をしている人が、平均値を引き上げている)が、参考値、または目標値として覚えておくことをお勧めする。

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