30年近くに渡る大学教員の月給推移をグラフ化してみる(2014年)

2014/10/27 11:00

先行記事【約40年に渡る学習塾の月謝推移をグラフ化してみる】において、学校教育において授業を受ける側の授業料では無く、教鞭を取る側の給与動向を推し量ろうとしたが、結局総務省統計局の【小売物価統計調査 調査結果】からは叶わなかった件について触れた。この事案について文部科学省の【学校教員統計調査】で、該当するデータが取得可能なことが判明した。そこで今回は大学の本務教員の給料(月給)の動向を確認していくことにする。

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前世紀末までは右肩上がり、今世紀に入ってからは失速


データ抽出元の「学校教員統計調査」は「学校の教員構成並びに教員の個人属性、職務態様及び異動状況等を明らかにすることを目的」としたもので、実質的には1968年度分からスタート、1971年度分から今件調査名に改められている。もっとも現時点でインターネット上から取得可能なのは1989年度分以降のみ。今調査は3年おきに実施されているため、現在もっとも新しいものは2013年度分となる(2013年度分は速報値のみで詳細な確定値は2010年度分まで)。

さて「学校教員統計調査」では大学の本務教員(常勤、フルタイムの教員)について、総合計、国立・公立・私立別の合計、男女別、さらには学長・副学長・教授・准教授・講師・助教・助手別の平均月給が掲載されている。あくまでも本俸のみで諸手当や調整額は含んでいないものの、それぞれの月給における平均額以外に額面区分別構成人数も記されており、相場動向を知ることが出来る。

それらの値を逐次抽出し、大学の種類別にその動向をまとめたのが次のグラフ。棒グラフでは直近の2013年度と取得できる一番古い1989年度の値を併記した。

↑ 大学本務教員給料(月額)(円)(1989年-2013年)
↑ 大学本務教員給料(月額)(円)(1989年-2013年)

↑ 大学本務教員給料(月額)(円)
↑ 大学本務教員給料(月額)(円)

少なくともこの30年近くの間に大学本務教員の月給は2割近く上昇している。ただしピークは2001年度で、それ以降は漸次減少している。私立はそれほどでもないが、公立、国立、特に国立の下げ方が著しい。元データで確認したが、例えば月給の低い助手の数が増えたので全体平均が下がったといった類のものでは無く、それぞれの役職において押し並べて給料は下がっている。そして国立の下げ方が一番大きい。ちなみに本務教員数そのものは増加している。

消費者物価指数を考慮すると……


一連の長期価格変動関連の記事同様、今件大学本務教員の月給についても、消費者物価指数を反映した値で再精査を行う。今件では最新データは2013年度のものだが、他の記事同様に2014年時点の消費者物価指数を基準とし、各年度が2014年と同じ物価水準だとしたらどの程度の額になるかを計算したのが次のグラフ。実の所1989年あたり以降は消費者物価指数はさほど変動しておらず、大きな額面の変化は生じていない。

↑ 大学本務教員給料(月額)(円)(1989年-2013年)(2014年の値を元に消費者物価指数を考慮)
↑ 大学本務教員給料(月額)(円)(1989年-2013年)(2014年の値を元に消費者物価指数を考慮)

↑ 大学本務教員給料(月額)(円)(2014年の値を元に消費者物価指数を考慮)
↑ 大学本務教員給料(月額)(円)(2014年の値を元に消費者物価指数を考慮)

物価変動を考慮すると、実は私立大学の給料はむしろ上昇、公立はほぼ横ばいで推移していたことが分かる。一方で国立大学はやはり減退しているが、その下げ幅も限定的。とはいえ、やはり下げていることに違いは無い。



どの種類の学校でも当てはまる話ではあるが、特に大学は個々の本務教員が持つ、普段は会得しがたい豊富な知識や経験を学生に教示する意味合いが強く、当然教員への対価はしかるべき高額の必要がある。本俸でこれだけとなればその他手当なども含めれば……とそろばん勘定をする人もいるだろうが、より多くの優れた人材を育て世に送り出す案内役への対価と考えれば、これでもまだ安い方。

気になるのは今世紀に入ってから給料水準がやや頭打ち、それどころか失速の気配を示していること。人材育成が一朝一夕では不可能なことを考慮すれば、もう少しリソースを配分し、働き手の手取りを増やすべきとの判断が妥当だと思われるのだが。


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