50年余のバス・タクシー初乗り料金の推移をグラフ化してみる(2014年)

2014/05/09 08:00

鉄道と共に地域を支える公共インフラ・公的交通機関の代表として知られるバス、そして私営ではあるがより汎用性・柔軟性が高いタクシー。両交通機関は日本社会全体の高齢化や地域の過疎化に伴い、これまで以上に注目を集めつつある。特にバスはコストパフォーマンスの面などで地方の鉄道路線が廃止された後の代替機関として運用されることも多く、さらに最近では【愛らしいリスの名前募集…JR東日本、気仙沼線・大船渡線BRTのキャラクター愛称募集中】で詳しく解説しているBRT(Bus Rapid Transit、バス高速輸送システム。バス専用道路を鉄道網のように作り上げ、その上でバスを運行する仕組み)も普及し始めている。今回はこの両交通機関の初乗り運賃(料金)を調べ、その変動を精査することにした。

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安定感のあるバス、上昇額が大きいタクシー


主要データは類似主旨で作成された【50年前の商品の価格を今の価格と比較してみる】同様に、総務省統計局の【小売物価統計調査 調査結果】から取得したものを用いる。バス・タクシー共に1958年から初乗り料金が取得できるので、直近の値2013年分まで年次データを順次取得していく(両者とも該当年すべての数字を取得できるよう、基準値としてもっともふさわしい東京都23区内の値を用いた)。さらに月次データは2014年4月分まで取得可能なのでそれらも確認し、4か月平均を算出して暫定的に2014年分とする。そして出来上がったのが次のグラフ。

↑ 東京都内のバス・タクシー初乗り運賃推移(1958-2014年)(円)
↑ 東京都内のバス・タクシー初乗り運賃推移(1958-2014年)(円)

グラフ中でも説明しているが、1963年から1972年分のバス初乗り運賃のデータは、1キロメートル単位となっている。一方、他の年代は1区、あるいは1回分。そのため該当期間の料金は直前直後と比べると数分の一の値となり、やや見苦しい形になってしまう。1962年と1963年のデータを比較して倍率を算出し、該当期の数字を無理やり合成しても良いのだが、それではあまりにも誤差が大きすぎる。さらに初乗り料金には多分に固定費用が上乗せされており、食品のように「分量から均一化」とは勝手が違うので、この計算方法では具合が良くない。そこで今回はあえてそのまま掲載することにした。

そのイレギュラーな期間を除けば、バス料金・タクシー料金共に1970年以降は漸次値上げ、1990年代半ば以降はほぼ横ばいの傾向を見せていることが分かる。またバス料金と比べてタクシー料金は上昇額が大きい。

今件グラフではほとんど変化がないように見えるが、2014年4月からの消費税率改定に伴い、同月は額面がそれぞれ5円・20円ずつ上昇している。月次平均も4月の時点で2円・5円上がっているが、グラフで見た限りではほぼ誤差の範囲でしかない。

消費者物価の動向を反映させてみると


さて、バスやタクシーなどの公共・半公共交通機関の場合、単純に金額の移り変わりだけでなく、当時の物価を考慮した上で、その変動を考えた場合が良いとの考えもある。これらの交通網は多くの人が繰り返し使う以上、各家計への負担を考えた場合、単純な価格変動だけでは比較が難しいからだ(例えば同じ100円でも50年前と今とでは、家計への負担が異なるという具合である)。

そこで各年のバス料金・タクシー料金に、それぞれの年の消費者物価指数を考慮した係数を用いた上で比較用の値を算出することにした。【過去60年余にわたる消費者物価の推移をグラフ化してみる】で取得した消費者物価指数の各年の値を参考に、2014年の値をベースとして他の年の料金を計算する。例えば1958年のバス代初乗り料金は84円という値が出るが、これは「1958年当時の物価が2014年と同じ水準だった場合、バスの初乗り料金は84円になる」という次第である。

↑ 東京都内のバス・タクシー初乗り運賃推移(1958-2014年)(円)(2014年の値を元に消費者物価指数を考慮)
↑ 東京都内のバス・タクシー初乗り運賃推移(1958-2014年)(円)(2014年の値を元に消費者物価指数を考慮)

料金の上昇時である1970年から1990年半ばにかけては、物価そのものも大きく上昇していることもあり、実質的な負担料金はそれほど大きな変化を見せていないことが、この試算から分かる。特にバス料金は1980年前後からほぼ横ばいを続けており、公共機関という観点では、優れた料金体制を維持していることになる。一方タクシーはといえば、消費者物価を反映させた上でも、多少ながらも増加を見せている。

普段から利用するバスやタクシーで、何気なく支払っている初乗り料金。それらが50年の間にどのような推移を見せたかを知れば、ある種の感慨深さを覚えるに違いない。


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