任天堂ゲーム機の販売動向をグラフ化してみる(ソフト編)(2014年)

2014/05/12 15:00

携帯電話、特にスマートフォンの躍進で風雲急を告げる家庭用ゲーム機業界。その業界で多大な影響力を誇る任天堂が発売中の携帯ゲーム機ニンテンドー3DSの販売動向に関して、当サイトでは同社の四半期決算短信が発表されるたびに、その内容を精査している(【定期更新記事:ニンテンドー3DS販売動向(任天堂)】)。一方同社では短信とは別に、随時ライブラリーの【ヒストリカルデータ】で、経年の各種計算書、そして主要販売機種販売台数と対応ソフトのタイトル数についてもデータ化して公開を行っている。そこでその公開データを活用する形で、任天堂発のゲーム機に関する販売動向をグラフ化し、状況の掌握を行うことにする。今回はソフト編として、ソフトウェアの販売タイトル数を見ていくことにしよう。

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積み上げグラフで経年変化を確認


まずはタイトル数動向の年単位での動き。2001年3月末期(2000年4月から2001年3月、以下同)以降の年次販売タイトル数について、任天堂自社のみの本数と、任天堂発に加えて他社(OEM:Original Equipment Manufacturer。他社ブランドの製品を製造。この場合は任天堂以外の会社製として、任天堂ハード向けタイトルを発売すること)まで含めた本数を見ていくことにする。なお今回記事のグラフでは、基本的に青系統が携帯ゲーム機、赤系統が据置型ゲーム機。色が薄いほど昔の、濃いほど新しいハード(向けソフト)を指している。

↑ 任天堂・発売ソフトタイトル数推移(自社のみ)(日本国内)
↑ 任天堂・発売ソフトタイトル数推移(自社のみ)(日本国内)

↑ 任天堂・発売ソフトタイトル数推移(年次)(自社+OEM)(日本国内)
↑ 任天堂・発売ソフトタイトル数推移(年次)(自社+OEM)(日本国内)

先行する記事「ハード編」のデータを見る限り、「色々と」難儀したことが推測される(実際その通りなのだが)ゲームキューブ向けに、任天堂は一定数ソフトを供給し続けていたことが分かる。それがWiiの登場でぴたりと止み、以降はWii向けタイトルが一定数出され続けている。この世代交代はニンテンドウ64からゲームキューブに移行する際にも起きているので、驚くにはあたらない。

さらにこの世代交代は、2014年で携帯ゲーム機・据え置き型ゲーム機双方で起きている。前者はDSから3DSへの、後者はWiiからWii Uへの完全な移行である。任天堂のみの年間販売総タイトル数はこの数年大きな変化を示していないことから、任天堂は半ば総力戦で3DSとWii Uの活性化に望んでいることが分かる。

一方携帯ゲーム機向けでは2006年3月末期以降3年間に渡り、大規模なニンテンドーDS向け攻勢をかけ、ハードの躍進に一役買ったことが分かる。

↑ 任天堂・国内ハード販売動向(年次、万台)(日本国内)(再録)
↑ 任天堂・国内ハード販売動向(年次、万台)(日本国内)(再録)

任天堂発タイトルの躍進で大きくハード数が伸び、それに伴い2007年3月末期あたりから他社OEMタイトルものび、全体数においてもニンテンドーDS向けタイトルが飛躍的に伸びて行く。「任天堂発」のタイトル数動向と、「全体」のタイトル数動向では1年から2年のずれがあり、「任天堂タイトルでハード数の底上げを行い市場を創り、他社が大きな市場でソフト展開を楽しむ」形に、ニンテンドーDSはズバリはまったことになる。

一方、似たような「3年プッシュ」の動きが3DSでも確認できる……のだが、肝心のタイトル数がDSの時と比べて約半分の11本から12本/年に留まっている。他にも要因は多々あるが、この「任天堂の後方支援的タイトル」数の少なさが、3DSがDSほどには伸びなかった一因として考えられる。

任天堂オリジナル作の比率を算出してみる


この動きが良く分かるのが、毎年の販売タイトル数について、任天堂発の割合を計算した次のグラフ。例えば2014年3月末期のニンテンドー3DSにおける自社タイトル数比率は9.3%。この期に発売された3DS向けタイトル129本のうち、任天堂発のは12本なので、12÷129=9.3%という次第。

↑ 任天堂・発売ソフトタイトル数における自社タイトル数比率(年次)(日本国内)
↑ 任天堂・発売ソフトタイトル数における自社タイトル数比率(年次)(日本国内)

このグラフからはいくつかの法則が見受けられる。つまり「赤(据置型)が高め、青(携帯型)が低め」「ハードの発売当初は高く、じきに下がり、最後にまた上がる」。それぞれ、

・「赤(据置型)が高め、青(携帯型)が低め」
据置型ゲームは開発ハードルが高く、参入他社数・タイトル数が少なめになり、どうしても任天堂発タイトルの比率が上がってしまう。

・「ハードの発売当初は高く、じきに下がり、最後にまた上がる」
ハードの発売当初は任天堂発のタイトルを多めに出して他社タイトルの準備期間を創ると共に、ハード市場の拡大を目論み、他社参入がしやすいようにする。ハードの寿命が近付くと最後のテコ入れを行う(&他社は腰が引ける)

という具合である。

この規則性が正しいとすれば、ニンテンドーDSは実質的に商品寿命は終わったことになる(最後のピークが2013年3月末期に起き、2014年3月末期はゼロ)DSはすでに後継機種の3DSが発売中のため、ソフト開発上の世代交代がなされても何ら不思議では無い。また、同様のパターンがWiiとWii Uとの間でも同時期に起きている。

前世代機とだぶる形で任天堂が双方機種にタイトルを出すのは長くて3年(ゲームボーイアドバンスとニンテンドーDSが良い事例となる)。この法則が継承され、DSから3DSへのバトンタッチは行われた。一方WiiとWii Uとの間ではダブりは正味1年しかない。それだけWii Uへのテコ入れが前倒しされたことを意味する。

現在進行年度(2015年3月末期)における3DSの年間販売目標台数は1200万台、Wii Uは360万台。前年度の販売実績はそれぞれ1224万台・272万台であり(以上全世界合計)、任天堂側では十分達成できる値であるとしている。しかしタイトルの販売本数はこの数年漸減傾向にあり、競合となりうるスマートフォンの浸透はさらに進んでいる。状況は決して穏やかなものではない。

遊びの本質すら変わりつつある昨今において、現行世代機たるWii Uと3DSがどのような世界を提案し、見せてくれるのか。これから数年の間、任天堂にとってはまさに正念場となるに違いない。


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