シングルはAKB48が独占…CDやネット配信の「ミリオン認定」動向(2014年)

2014/04/05 15:00

コンテンツビジネスを営む者にとって、「ミリオン」(100万)は一つの大きな目標であり、ヒットの代名詞に他ならない。今回は日本レコード協会が2014年4月1日に発表した音楽業界に関する白書「日本のレコード産業2014」の公開値を基に、日本におけるミリオンセラーの概念に近い「ミリオン認定」について状況を把握するため、各種グラフを生成し、精査を行うことにした(【発表リリース:「日本のレコード産業2014」を発行】)。

スポンサードリンク


雑誌やゲームソフト市場でも良く使われている言い回しであり、作家・出版元の立場からは夢の一つでもある「ミリオンセラー」(100万本以上売れることを意味する)。しかし「日本のレコード産業」では数年来この言い回しは使わず、代わりに「ミリオン認定」なる言葉が用いられている。これは「会員各社からの申請に基づいた出荷枚数」を定期的に確認し、「発売日からの累計出荷枚数が100万枚を超えた場合」に認定する称号である(【解説ページ:ゴールドディスク認定作品】)。ちなみにミリオンより下には10万枚以上の「ゴールド」をはじめ、25万枚以上の「プラチナ」、50万枚以上の「ダブル・プラチナ」などがある。あくまでも出荷枚数であり、販売枚数よりはハードルが低いことに留意しなければならない(数年前までの当サイト内類似記事では、資料も含め「ミリオンセラー」が使われていたため、現在の「ミリオン認定」の値との連動性は無い)。

次に示すのは、過去の分も合わせ、経年の「日本のレコード産業」で確認できる限りにおける「ミリオン認定」の推移。

↑ 音楽CD・ミリオン認定の推移など(2002年-2013年)(作品数)
↑ 音楽CD・ミリオン認定の推移など(2002年-2013年)(作品数)

2013年はシングルで1本、ダブルミリオンが登場した。またシングルのミリオンは(ダブルミリオン以外では)4本、アルバムのミリオンは1本が確認できる。具体的には

●シングル
■ダブルミリオン
・さよならクロール(AKB48)
■ミリオン
So long !(AKB48)
恋するフォーチュンクッキー(AKB48)
ハート・エレキ(AKB48)
すずかけ懸の木の道で「君の微笑みを夢に見る」と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの(AKB48)

●アルバム
・Expressions(竹内まりや)

という次第である。

アルバムは大御所的歌手・グループによる「手堅い」作品が多い。他方シングルは、いわゆる「選挙」や「握手会」との絡みをはじめとするさまざまな「仕組み」もあり、ここ数年来の状況から変化は無く、同一グループの独占状態となった。単純計算でも最低600万枚は売れていることになり(4×100万+1×200万(枚))、2013年のシングルCD総売上枚数6060万0000枚に対し1割近い(実際にはミリオンが100万枚きっかりではないので、合計では1割に届いているだろう)という計算になる。無論「選挙」「握手券」が無くともそれなりにヒットはしたはずだが、ミリオン4タイトル・ダブルミリオン1タイトルという実績には大いに貢献したことは間違いない。

以前の記事でも指摘しているが、2010年に記録されている「Beginner(AKB48)」もまた同様の事由によるところが大きい。このCDは2007年8月に発売された「千の風になって」(秋川雅史)以来3年強ぶりのシングルミリオンとして認定されていた。つまり「千の風になって」以降、シングルCDのミリオン認定はAKB48によるもののみ(加えるならば「選挙」絡みの影響が色濃く出ている)との現実が浮かび上がる。

他方有料音楽配信のミリオン認定は2013年分認定分は1本。ミリオンが着うたの「Love Story(安室 奈美恵)」のみとなった。

↑ 着うた・着うたフルのミリオン認定以上数推移(-2013年)
↑ 着うた・着うたフルのミリオン認定以上数推移(-2013年)

2012年以降は帯電話市場におけるスマートフォンへのシフトが進み、それに合わせてモバイル端末の有料音楽配信市場が大きく変動、一般携帯電話(フィーチャーフォン)による着うた・着うたフルの需要が大きく減退している。その動向はミリオン認定数の激減という形にも表れている。



今回のミリオン「認定」の動向を見るに、有料音楽配信では大規模に構造変化の影響が表れているものの、CDでは大きな動きが無く。少しずつのみ勢いを落としているような感はある。シングルのセールスではダブルミリオンが登場したこと自体は喜ばしいものの、その内情を見るに「音楽業界の伸長による結果」と評して良いのか否か、判断に迷う。

かつて宇多田ヒカルの初アルバム『First Love』は初回出荷280万枚、1999年だけで800万枚を超えるヒットとなった(国外も合わせると1000万枚前後ではないかとする話もある)。このような「超ヒットセラー」は、現在の市場では奇跡でも生まれえないのが現実。趣味趣向が分散拡散し、手法が多様化する以上、同一作品が集中的に売れることが難しくなったのが一因と言える(もちろん無料の音楽配信に音楽利用客が流れているなど、複合的要因はある)。2013年において定額制の効き放題サービス部門が大きく伸びたのも、その状況変化を示す結果の一つであろう。

デジタル化、スマートフォンの普及、ソーシャルネットワークの浸透など、音楽を取り巻く環境は大きく変化を遂げている。「音を楽しむ」というスタイルも多種多様化し、既存のビジネスモデルが通用しにくい時代であることは否めない。他方、主従を逆にしかねないビジネスモデルが良いものなのかについても、賛否両論がある。関係各位は今一度、音楽とビジネス、そして業界の将来のことを見据えるために、思案する必要があるのではないだろうか。


■関連記事:
【静かに、確実に浸透するスマホ達…家の中と外、何を使って音楽を聴く?(2014年)(最新)】
【CDの購入・レンタル性向を「全体から見た平均枚数で」グラフ化してみる(2014年)(最新)】
【音楽CD・配信とYouTubeとの微妙な関係を探る】
【購入者やや増加へ、レンタルは減少続く…CDの購入・レンタル性向をグラフ化してみる(2014年)(最新)】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー