スマホ用は頭打ちか、従来型携帯用は落ち続ける…有料音楽配信販売数と売上動向(2014年)

2014/04/04 15:00

音楽を聴取するメディアとして伸長いちじるしいデジタル媒体だが、それがビジネスとして売上に直接結びついているか否かとはまた別の話。以前の記事【世代別の「音楽との付き合い方」をグラフ化してみる】でも解説の通り、日本レコード協会の調査でも、有料聴取層が減り無料聴取層が増えている状況の一因には、デジタル音源を多数取得したことによる満腹感や、無料聴取機会の増加があるとしている。この状況を売り上げの面から確認する意味も合わせ、今回は日本レコード協会が2014年4月1日付で発表した白書「日本のレコード産業2014」をもとに、一般携帯電話向けの「着うた」「着メロ」、そして主にスマートフォン向けのダウンロード楽曲から構成される、有料音楽配信の売上件数と売上額を細密に区分した状態で、グラフ化と状況の精査を行うことにする(【発表リリース:「日本のレコード産業2014」を発行】)。

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足踏み状態に? パソコン・スマートフォン分野


有料音楽配信は主な配信先であるモバイル端末の情勢が大きく変化するに連れ、激変を遂げる最中にある。具体的には一般携帯電話(フィーチャーフォン)向けの「モバイル部門」は利用端末数の減退や音楽視聴の様式変化から、販売実績を大きく減らし、スマートフォンやパソコン向けの「インターネット部門」はスマートフォンの普及率上昇と共に実績を伸ばしつつある。そして2013年においてはついに、「インターネット部門」は「モバイル部門」の売上高を超えてしまった。

それでは両部門における売上件数と総売上はどのように推移しているのか。まずは成長著しい「インターネット部門」あらため「パソコン・スマートフォン部門」の結果をグラフ化したのが次の図。

↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(インターネット、数量は万回、金額は億円)(-2013年)
↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(インターネット、数量は万回、金額は億円)(-2013年)

「あらため」としたのは、実は「日本のレコード産業」では2013年分からデータの区切りを一部変更し、表記も変わったことが原因。構成要素に変化は無く(無いように当方で計算をし直している)、グラフ構築上でも問題はないのだが、時代・状況の変化をあらためて認識できる。

それはさておき。グラフを見ると、2005年第2四半期まではほぼ横ばいだった売上件数・額が同年第3四半期から突然動機付き、何度かの足踏みを経験しながらも大きく躍進を見せている。これは2005年8月にアップル社のインターネット音楽配信サービス「iTunes」がスタートし、多くの人が利用し始めたのが原因。巨大なコンテンツが供給される場が現れ、市場が一気に花開いた形だ。

それ以降直近の2013年までは一様に、幾ばくかの戻しを見せながらも、上昇傾向は続いている。ただし2013年に限ると、数量・金額共に過去数年間の伸び方からは一転し、頭打ちとなった感は否めない。特に2013年の第3四半期から第4四半期は、iPhone 5s/cの発売で市場は盛り上がりを見せ、さらなる拡大が期待できる環境が整っていたはずだが、実態値を見る限りそのような変化はまったく見られない。市場が飽和状態となり成長の度合いが足踏みモードに移行した可能性が示唆される。冒頭で触れた、満腹感や無料聴取機会の拡大の影響だろうか。

下落止まらぬモバイル部門


一般携帯電話向け音源による「モバイル部門」は「パソコン・スマートフォン部門」以上に興味深い展開を見せている。

↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(モバイル、数量は万回、金額は億円)(-2013年)
↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(モバイル、数量は万回、金額は億円)(-2013年)

用語の説明を一通りしておくと、次の通りとなる。
・(Master)Ringtunes…着うた
・Ringback tunes…呼び出し音(メロディーコールなど)
・シングルトラック…着うたフル

これを元に、図から見える「モバイルの」傾向を箇条書きにする。
・売上高は2008年、件数は2007年をピークに横ばい。件数はわずかに漸減傾向を見せていた。しかし2010年以降は両者とも顕著に減少の一途をたどっている。
・2011年にやや加速した減少ぶりだが、2012年は少しだけ下げ方がゆるやかになった。ただし減少を続けていることに違いはない。そして2013年も減少傾向は続いている。特に「着うた」の縮小ぶりが著しい。
・「Ringback tunes(呼び出し音)」は「着うた」と比べれば落ち込み具合は緩やかだが、それでも前年同期比で3割前後の減少を示している。

ほんの数年前までは有料音楽配信の売上の大半を担い、音楽業界全体の底上げ役も果たしていた「モバイル部門」だが、その勢いも今は昔。現状ではこのように急速に売り上げを縮小している。この理由は直上でも触れている通り、モバイル端末の利用スタイルがこの数年で大きく変化を果たし、一般携帯電話からスマートフォンに漸次移行する動きが起きているからに他ならない。

さらにいえば、音楽視聴を好む層が多いのは若年層だが、その層は同時にスマートフォンの普及率上昇が他の年齢層よりも速い傾向にある。その動きもまた、急激な状況変化を後押ししている一因といえる。

この両者の動きにおいて、「モバイル部門の減少分」<=「パソコン・スマートフォン部門」となれば、有料音楽配信全体の売上も増加していく。移行前後の利用スタイルがそのまま維持されれば、少なくとも両者はイコールで結ばれるはずだが、現状は「モバイル部門の減少分」>>「インターネット部門の増加分」であり、結果として【音楽CD・有料音楽配信の売上動向】で示したように、有料音楽配信部門は全体として、大幅に減少している。

そして上記で触れた通り、2013年においては通期、そしてすべての四半期で、パソコン・スマートフォン部門の売上高がモバイル部門のそれを上回る結果が出ている。スマートフォンの普及ぶりを見れば当然ではあるが、モバイル端末における有料音楽配信市場でも、世代交代が確認された次第ではある。



躍進を続けていた「モバイル部門」の有料音楽配信サービスも、新世代のモバイル端末たるスマートフォンの普及加速化を受け、金額の漸減傾向に歯止めがかからない。他方「パソコン・スマートフォン部門」においても成長の足踏みが確認されており、これまでとは違う雰囲気が市場に感じられる事態が生じている。

音楽市場は(「市場」という言葉を使ってよいか否か迷うところではあるが)今件の「有料」音楽市場以外に、無料で提供される楽曲から成る「無料」音楽市場もあり、この市場(の利用者)も確実に増加している。音楽利用者の消費性向の変化を、業界関係各社・各員は十二分に吟味し、対応をしていかねばなるまい。

なお一つ付け加えておくと、今件各データには反映していないものの、音楽配信売上の分野には「サブスクリプション」や「その他」という項目が存在する。前者は期間限定の使用権や、サポート受理権利による売り上げ、後者はその他のデジタル音楽コンテンツの売上を意味する。特に「サブスクリプション」は大きく売り上げを伸ばしており、2013年第4四半期では「パソコン・スマートフォン部門」で8.87億円にも達している(前年同期比プラス348%)。

「サブスクリプション」の項目は2007年以降に確認ができる。これまでは他の様式と配信・販売方法が異なる(数量そのものが計測できないことから、数量の値は未掲載)ことなど、他の項目と一体化するのにはやや難を生じるため、これまではあえて言及してこなかった(有料音楽配信全体の金額を算出する際には合算している)。しかし額面の上で無視できない規模となったのも事実。来年以降はこの項目も上記各グラフに追加するか、別途グラフとして生成することにしよう。


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