止まらぬ凋落、前年の復調は一時的か…音楽CD・有料音楽配信の売上動向(2014年)

2014/04/04 14:00

人々における音楽への興味関心の抱き具合に大きな変化はないものの、周辺環境の移り変わりに伴い、音楽という娯楽に対価を支払う動きは次第に縮小する方向にある。例えば日本レコード協会が先日発表した調査結果(【世代別の「音楽との付き合い方」をグラフ化してみる】)によれば、有料聴取層が減り、無料聴取層や無関心層が増えていることは一目瞭然。今回は日本レコード協会が2014年4月1日付で発表した白書「日本のレコード産業2014」を基に、いくつかのグラフを生成し、その「有料音楽離れ」の動きを再確認していく(【発表リリース:「日本のレコード産業2014」を発行】)。

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前年の上昇は一時的なものか・音楽ソフトと有料音楽配信の売上推移


まずは一番気になる「有料音楽配信」(モバイル、そしてインターネットダウンロード(パソコン配信とスマートフォン双方))の2013年分における結果。金額としては416億6100万円、前年比でマイナス23.3%の減退を示した。データの公開を始めた2005年から今回の2013年目で9年目となるが、前年比でマイナスの変化率を示したのは前回2011年分以降これで4年連続。一般携帯電話(フィーチャーフォン)による着うたなどの売上を意味する「モバイル」が急速に減少を続けているのが主要因。代わりにインターネットダウンロード(iTuneなどのスマートフォン系含む)が増加し、それ用のサブスクリプション(使用権の販売など)も大幅上昇を遂げ、有料音楽配信における比率も増加の一途をたどっているが、全体額を押し上げるまでには至っていない。

↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移(2005年-2013年)
↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移(2005年-2013年)

2007年までは「音楽ソフトの売上減を、有料音楽配信がカバーし、全体の売上は上昇していた」、つまり「音楽業界は売上では成長を続けており、CDなどの音楽ソフトの売上減は有料音楽配信にそのシェアを食われている」と解説できた。ところが2008年に至り、有料音楽配信の成長は続いているものの、それ以上に音楽ソフトの売上減が急速に進み、市場全体の売上も落ち込む結果となってしまった。そして2010年以降はモバイル端末市場の変化、具体的には一般携帯電話からスマートフォンへのトレンドの移り変わりに伴う、利用者の有料音楽との付き合い方の激変によって、有料音楽市場も急速に縮退してしまう。

最新の2013年では上記で説明したように、インターネットダウンロードの上昇分でも補い切れないほど、一般携帯向けを意味するモバイル部門が大幅減となり、有料音楽市場は縮小を続けてしまっている(詳しくは後日別途解説する)。一方で音楽ソフトでも昨年は堅調だったCDが不調となり、販売数でマイナス12%・金額でマイナス13%の縮小を示すこととなった。前年2012年では一時的に総売り上げが持ち直しを見せた主要因のCDですら軟調化したことで、音楽ソフト全体の売上も低迷、結果としてアナログ・デジタルを合わせた音楽全体の売上も落ち込むこととなってしまう。

売上動向を長期視点で見ると……


音楽業界の動向を一歩引いた立場から眺められるのが次の図。上記のグラフを1990年までさかのぼって再構築したもの(有料音楽配信はデータ上に登場した2005年以降のみ)、さらに有料音楽配信と音楽ソフトの売上合計における両者の比率推移をグラフ化した。

↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移(1990年-2013)
↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移(1990年-2013)

↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の総計売上に対する比率推移(2005年-2013年)
↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の総計売上に対する比率推移(2005年-2013年)

有料音楽配信のデータは2005年からなのでそれまでは音楽ソフトのみのグラフとなるが、2004年以前は有料音楽配信そのものがごく少数だったことから、グラフ形成上大きな問題は無い。過去のCD売上に関する記事でも述べているが、1990年代後半に音楽業界はピークを迎えており、それ以降は売上の面で漸減する傾向である状況が確認できる。

携帯電話上の着メロがスタートしたのは1996年。ただし2004年以前は計測対象とならないほど売り上げが小さかったこと、そして音質の問題もあり、1996年-2004年の間の音楽ソフトの減少が、デジタル有料音楽配信のみに起因するとは考えにくい。2005年からは別途取り扱われるほどまでに有料音楽配信が成長し、一時期ではあるが音楽業界に救いの手を差し伸べた形になっているのが分かる。

2009年-2010年ではすでに1/4近くがソフト部門において音楽配信で占められていた。ところがそれ以降は上記で説明しているように、「一般携帯電話からスマートフォンへの利用移行に伴う、音楽聴取者の有料音楽配信との付き合い方の変化」、そして某ユニット・グループによる手法で知られる特殊な販売スタイルに代表される「シングルCDの販促方法の多様化に伴う盛り返し」などがあり、少なくとも売上の面ではトレンドの変化が確認できる。

もっとも「主従が入れ替わった販促」は音楽そのものの市場・業界の拡大とは表現し難い。気が付かないうちに「庇(ひさし)を貸して母屋を取られる」状態にならないよう、留意すべきではある。



音楽視聴需要の多様化などにより、この数年の音楽ソフトの売上は激しい動きを示している。今回年はアルバムCDが健闘を見せた前年からの反動もあり、記録の限りでは最大の前年比下げ幅を示してしまった。

↑ 音楽ソフトの売り上げ推移(前年比)(-2013年)
↑ 音楽ソフトの売り上げ推移(前年比)(-2013年)

一方、有料音楽配信部門ではスマートフォンの台頭……というより急速な普及に伴い、大きな転換点を迎えている。曲の管理の簡易化と収録容量の増加、無料曲の増加、市場単価の減退など、多彩な売り上げ圧縮理由により、「有料」音楽市場が縮小を続けている。今後さらにスマートフォンの普及率が高まるに連れ、どのような変化を見せていくのか、多分に拡大を続けているであろう「無料」音楽市場の動向と合わせ、注視し続けたい。


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