2015年2月度外食産業売上プラス0.9%…洋風ファストフードは相変わらず、ファミレスが大健闘

2015/03/25 16:00

日本フードサービス協会は2015年3月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2015年2月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス0.9%を計上した。1月の異物混入事件により大きな売り上げ減を示した洋風ファストフードが引き続き大軟調状態を継続しているものの、ファミリーレストラン部門が大よそ堅調に推移し、全体の底上げを果たす形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が210、店舗数は3万1960店舗。今月は前月と比較すると事業社数は増えているが、店舗数は減少している。

全業態すべてを合わせた2015年2月度売り上げ状況は、前年同月比で100.9%となり、0.9%の増加を記録した。これは先月から転じる形で3か月ぶりの増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では昨年同月と同じで、ファミリー層の来客機会の観点では影響は無し。一方、天候では雨天日数が前年同月比で東京は1日プラス、大阪では3日マイナスとなり、来客動向としては方向性を見極めにくい状態。ただ大阪は雨天日数が少ないだけでなく平均気温も高く、外出機運は底上げした形となっている。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から継続して3か月連続のマイナス(マイナス5.7%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風は、そのメイン企業となるマクドナルドが、社会問題化した中国産鶏肉食材の問題そのものはほぼ終息し、アメリカ西海岸港湾施設における労使交渉の長期化に伴い発生したポテト不足も1月頭には正規の販売形態に戻ったものの、異物混入(発覚・過去の事案の掘り返し報道)事件による影響が大きく残り、客単価・客数は大きく下落。既存店で売上高−28.7%・客数−19.1%・客単価−11.8%という営業成績を計上してしまった。前月と比べれば(既存店売上高は−38.6%)まだ状況は改善されているが、そして洋風の他企業はそれなりの業績を見せたものの(例えばモスバーガーの2月における既存店売上高前年同月比はプラス12.1%)、マクドナルドのマイナスの影響は極めて大きく、これがファストフード部門の足を大きく引っ張る形となった。

一方でその他部門は「カレー」「アイスクリーム」が引き続き堅調なことからプラス。牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス8.5%、客単価は大きく上げてプラス12.2%と成し、売上もプラス2.6%と躍進。大手の吉野家が牛丼など価格を昨年12月に引き上げたことや、鍋メニューの展開によるところが大きい。

ファミリーレストラン部門は洋風・和風ではメニュー価格の改定(値上げ)があったものの天候の良好さを受けて客数を伸ばし、相乗効果で売上高に貢献。中華は人員不足で店舗数が減ったために営業時間短縮を余儀なくされた店が生じたことから客数が減ったが、それ以外は客数・客単価共に大きく上昇。部門全体ではプラス8.9%と大幅に上昇を示している。

パブ/居酒屋部門では元々不調な状況が継続したが、今回月はパブ・ビアホールがけん引し、プラス0.3%とプラスに転じている。もっとも居酒屋は客数がマイナス0.9%、客単価0.2%、売上高マイナス1.1%と低迷している状況に変わりはない。

ただし今回月は比較対象となる2014年2月が2度の豪雪に見舞われ、客足が遠のいたばかりでなく、食材調達の面で影響が生じて一時閉店を余儀なくされる事例も生じ、さらに都知事選の実施で東京都内における一部飲食店にマイナスの影響を与え、全体でマイナス2.8%を計上していたという特殊事情がある。その値との比較となるため、全体値のプラス0.9%を素直に喜ぶのは早急のようだ(2年前比を試算するとマイナス1.9%となる)。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年2月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年2月分)

天候・日取り要因は
関西地域でややプラス。
洋風ファストフードは
相変わらず大幅マイナス。
ファミレス部門が好調で
全体でもプラス9%。
昨年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響もほとんど生じなかった外食産業だが、昨夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題という2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は昨夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いている。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈した感は否めない。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、昨年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況が、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はある。もちろんこの動向を手をこまねいて見ているだけのはずがなく、同一業態内の洋食ファストフードの他チェーン店では自社の得意部門にさらなるリソース投入を行い、新商品・サービスを展開し、区別化を図る施策を実施している。

居酒屋の不調続きも要注意ポイント。こちらは食材の影響は無く、純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じてしまっている。現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、お酒を飲むこと以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。

もっとも居酒屋の業態そのものが時代ハズレになったわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が試験運用している「吉呑み」が堅調さを示し、ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告が相次ぎなされ、その実態が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2015年2月は既存店で客数プラス1.7%・客単価プラス0.5%、売上高プラス2.2%を計上している)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。実際、某大手居酒屋チェーン店では従来の方針を一転し、メニューの大幅値下げを決めたが、それが今後どのような変化を与えるのか、注目したいところだ。

他部門が比較的良い動きを示し続ける中で、とりわけここ数か月不調が続くファストフードの洋風、そして居酒屋。この2部門の回復状況が、外食産業全体の動向を精査するうえで、今後も注視すべき重要ポイントといえるだろう。


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