年齢階層別の乗用車普及率をグラフ化してみる(2014年)(最新)

2014/05/04 14:00

今や陳腐化した感の強い言い回しではあるが、若年層の行動性向の変化や都心部の公共交通機関の整備、住宅問題などを受け、若年層の自動車(乗用車)離れが進んでいるとの話は良く見聞きする。それでは実際に、世帯ベースでどの程度の乗用車が保有されて、それはどのような推移を遂げてきたのだろうか。
内閣府の【消費動向調査】を基に、いくつかの切り口から、乗用車の世帯普及率について検証していくことにする。

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「消費動向調査」そのものの解説や「世帯」の区分、「普及率」の定義に関しては、一連のまとめ記事【定期更新記事:主要耐久消費財・普及率(内閣府・消費動向調査)】で説明を行っているので、そちらを参照のこと。直近2014年においては「消費動向調査」全体で結構大きな調査要目の変更がなされているが、今件乗用車の分野では特に変更は無く、継続したデータをそのまま精査可能である。

まずは総世帯(要は全部の世帯)における、世帯主年齢別の乗用車普及率。

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)(-2014年)
↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)(-2014年)

若年世帯主の普及率が低いのは相変わらず。2005年と2011年には60歳以上の世代を上回る状況が発生したが、それもつかの間。全般的には全世代の中で一番低い普及率となる立ち位置が継続している。しかも直近2014年では前年からさらに0.9%ポイント低下し、5割切れも間近な状態となった。また60歳以上との差は相変わらず10%ポイント以上。

現状では、乗用車の保有は30歳未満では大体2世帯に1世帯のみ。それに対して30-59歳の世帯では5世帯のうち4世帯強となる。未婚が多い30歳未満では、乗用車の必然性も低いということだろう。

2014年に限ると、全世代で減少の動きを示している。特に中堅世代で3.8%ポイントと大きな下げが起きている。特に調査の際の注意事項も見当たらず、留意が必要な動きといえる。逆に増加したのなら、消費税率改定前の駆け込み需要で新規購入が生じたと説明できるのだが。

これを新車で買ったのか、中古車で買ったのかで確認すると次の通り。

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)(新車購入)
↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)(新車購入)

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)(中古車購入)
↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)(中古車購入)

まず目に留まるのは、若年層の新車購入率の低さ。2007年に一度だけ逆転しているが、それ以外は「中古車購入>>新車購入」の状態が継続している。新車へのこだわりの有る無しというよりは、初期購入費用の高さによるものと考えてよい。さらに若年層ではここ数年、中古車の購入・利用状況が少しずつ増加していた。これも新車と比べた際の価格の安さがポイント。

ただし2013年に限れば、若年層では新車・中古車共に大きく減少しる動きを見せた。特に中古車の下落が著しい(前年比9.9%ポイント)。これはさすがに単年におけるイレギュラーだったようで、直近2014年では中古は前年比で2.2%ポイント上昇している……が、やはりまだ2012年以前と比べると低迷している。2013年の下げ方は、単なるイレギュラーとも言い切れないようだ。

直近数年の動きを見直すと、新車では「中堅層以降が低減」「若年層は横ばいから低下へ」、中古車では(直上での言及にある若年層の変化以外では)「中堅層で漸増」の動きが見て取れた。ただし最後の「中古車は中堅層で増加」の流れは、2014年に限れば反転の形で大きく減じている。数年単位での挙動を見る必要があるものの、注目すべき方向性といえる。

中堅層は新車・中古車共に積極的に購入し利用している。一方高齢層は新車へのこだわりが強く、若年層とは逆に「新車購入>>中古車購入」の傾向が継続中。大型車両を購入する必要もあまり無く、小型車で十分な場合も多いことから、わざわざ中古車で買うメリットも無い以上、新車に手が出せるのだろう。

また、全体のグラフからも把握できるが、若年層では「新車購入」と「中古車購入」を足したものがほぼ「乗用車普及率」に近い値なのに対し、中堅・高齢層になると「乗用車普及率」<<(「新車」+「中古車」)の図式が見られる(特に中堅層で差異が大きい)。

これは「中古車も新車も数台所有していても、全体の普及率としては『ある』『なし』でしかカウントしない」ことに起因する。つまり「若年層が世帯主の世帯は乗用車を1台しか持っていない場合が多い」「中堅・高齢層、特に中堅層は複数台持っている世帯が多い」状況を意味する。

二世代家族、あるいはまだ親離れしていなくとも乗用車を持つ子供がいる事例は容易に想定でき、当然の結果といえる。さらに【新成人がもっとも欲しい自動車は「キューブ」、女性はコンパクトカーがお好き】でも解説しているように、買物や子供の送迎、パートの出勤に利用するため、妻が夫とは別に自分自身の乗用車を所有する事例も十分想定される。



良い機会なので「総世帯」を構成する「単身世帯」「一般世帯」それぞれの、直近2014年分の世代別普及率をグラフにしておく。

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(一般世帯)(2014年)
↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(一般世帯)(2014年)

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(単身世帯)(2014年)
↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(単身世帯)(2014年)

全般的に一般世帯の方が単身世帯よりも普及率が高い。所得の余裕度合い、自動車の必要性を考えれば当たり前の話。また、差異はあるが両世帯とも、「若年層は中古車」「中堅層以降は新車」との傾向が見えてくる。

「中古」「新品」区分では無く、「軽自動車」「小型自動車」「普通自動車」と自動車サイズを基にした規格区分で見た、世帯主の年齢階級別自動車数量(≒普及率)については、2010年8月に【年代別の自動車保有数とその変化をグラフ化してみる】で解説している。この結果でも、やはり若年層ほど軽・小型といった本体・維持費共に安価な選択肢を選んでいる(この調査は5年おきなので、次のデータ更新は2015年ごろになる)。

世間一般的には世帯主の歳が若いほど年収・貯蓄額も少なく、収入に余裕がない。「若年世帯主層の方がお金のかからない選択をする」のは、当然の話。無理に背伸びをしないライフスタイルで生活しているだけであり、若年層の新車普及率が低いのも、「金銭面で無理な、バランスの取れない背伸びをしない」という点で、常識的な判断の結果によるものに他ならず、何も非難されるいわれのものではない。


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