現状・先行き共にDIは先月を上回り水準値を超える…2015年2月景気ウォッチャー調査は現状上昇・先行き上昇

2015/03/09 15:00

内閣府は2015年3月9日付で2015年2月時点となる景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によれば現状判断DIは先月比で上昇して50.1となり、水準値の50.0を超える状態を確保した。先行き判断DIは先月から続き3か月連続して上昇し53.2となり、水準値の50を超える状態が続いている。結果として、現状上昇・先行き上昇の傾向となり、基調判断も景況感の底打ち・好転化を反映する形で前月から一部変更され「景気は、一部に弱さが残るものの、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、物価上昇への懸念等がみられるものの、賃上げへの期待や燃料価格低下への期待等がみられる」となった。もっとも物価上昇が景況感の足を引っ張っている状況は続いている(【平成27年2月調査(平成27年3月9日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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現状指数・先行き指数共に全項目で上昇


調査要件や文中のDI値の意味は今調査の解説記事一覧や用語解説ページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で解説している。必要な場合はそちらで確認のこと。

2015年2月分の調査結果はまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前月比プラス4.5ポイントの50.1。
 →「やや良くなっている」が大幅に増え、「やや悪くなっている」が大幅に減少。
 →家計は小売や飲食関係の上昇が大きく上昇。企業は製造、非製造共に上昇して上昇。雇用関連は求人の増加の動きがあったことで上昇。

・先行き判断DIは先月比で3.2ポイントプラスの53.2。
 →物価懸念は続くが、燃料価格の下落と、賃上げへの期待があり、全部門で上昇。

2014年4月の消費税率引き上げの際に発生した、同年3月までの駆け込み需要の反動、そして税率上昇に伴う消費マインドの直接的・表面上の低下は同年5月頃から鎮静化の動きを示し、同年7月までにはほぼ収束している。そのおかげで同年7月においては現状DIは上昇したものの、同年8月では天候不順が大きく足を引っ張る形となり、低下。同年9月以降はその余韻を残しつつ、エネルギー価格をはじめとした輸入原材料の高騰から生じる物価上昇への懸念と消費マインドの深層部分における低迷が足かせとなり、停滞・下落を続けている。昨今では原油価格の大幅な下落に伴い、ガソリンや灯油価格も下落が生じ、直接自動車を利用する際のガソリン代の軽減に加え、輸送コストなどのコスト安がもたらされたことで、景況感を底支えする形となっている。

先行きDIにおいては先月同様に電気料金の高騰に対する懸念が強いものの、昨今の原油価格下落に伴う燃料費の負担が減少する事への期待が大きい。冒頭コメントでも「燃料価格低下への期待」と明記されており、ガソリン価格をはじめとした原油関連商品の下落が景況感に大きなプラスとなったことがうかがえる。

↑ 景気の現状判断DI(全体)推移
↑ 景気の現状判断DI(全体)推移

↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移
↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移

現状判断DIは雇用のみ下落


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向について、その状況を確認していく。まずは現状判断DI。

↑ 景気の現状判断DI(-2015年2月)
↑ 景気の現状判断DI(-2015年2月)

今回月は消費税率改定後11か月目の月。小売店側から見た駆け込み需要の反動に関する文言はすでに消えている。直接の駆け込み特需の反動は、その文言が消えたタイミングの半年経過でほぼ消失したと考えられる。一方で消費者心理の深層部分で影響を及ぼし続けているマイナスの景況感を回復させるに必要となる材料が見当たらず、低迷感は継続。さらに電気代や食料品をはじめとする物価上昇を起因とした消費心理の減退が上乗せされ、景況感は重圧感の中にあるのが現状。

また今件調査の回答者は一般消費者自身の立場ではないため言及もそれほど多くないが、消費税率の再引上げの延期を好感する意見は多いものの、その話が持ち上がるたびに改めて消費税そのものが思い返され、消費性向を押しとどめる感も否めない。

今回月は上記にある通り前月から続く形で、原油価格の下落に伴いガソリンや灯油価格が値を下げており、心境的にはプラスに働いている。特に自動車を多用する分野の人には、日々のように目に見える形で負担が減ることから、マインドに大きく貢献したことは間違いない。水準値(50)以上の項目は雇用関係以外に今回の上昇で企業動向関連全般となり、家計動向関連がやや歩みを先んじられた形となっている。また前月からの変動の観点で見ると、全項目でプラス。特にここしばらくは足踏みどころかムーンウォーク状態だった飲食関連も、ようやくプラスの方向性を見せ始め、腰を上げた雰囲気を覚えさせる。

景気の先行き判断DIは前月から続き全項目で前月比プラスとなった。

↑ 景気の先行き判断DI(-2015年2月)
↑ 景気の先行き判断DI(-2015年2月)

最大の上げ幅を示したのは飲食関連でプラス7.9、次いで小売関連でプラス4.0。家計動向の中では金額が大きく周辺市場にも影響を与えやすい住宅関連は3.8のプラスを示している。また今回月の上昇に伴い、水準値(50)を小計項目も含め全項目で超え、明るい見通しが見えてきた雰囲気は強い。特に景気の先行指標ともいえる雇用関連が各項目の中では最大値を示しているのは頼もしい。

ガソリン価格の下落は景況感をアップ、円安の影響があちこちで


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたって用いられた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も全国での統括的な内容、そして各地域ごとに細分化した上で公開している。その中から、世間一般で一番身近な項目となる「家計(現状・全国)」そして「家計(先行き・全国)」の事例を抽出し、その内容についてチェックを入れてみる。

■現状
・例年2月は冬物と春物の端境期であり、冬物が終了しても、春物はまだまだ気温の影響で売れない。ただし、今年は最近の傾向である、外国人観光客の買上が特に都心店舗で多く、化粧品や雑貨商材の売行きが好調に推移している(百貨店)。
・ガソリン価格が低下していることで、電気料金などの値上がりに対して一息つくことができ、少しお金に余裕が出てきている(スーパー)。
・株価が18,000円代に乗り、富裕層の購買意欲が活性化してきている。特に、絵画や貴金属等の資産価値がある商品と、趣味性の強い商材が好調に推移している。加えてインバウンド等の需要もある(百貨店)。
・来客数に変動はないが、買上点数は減少傾向にある。加工食品の値上げが相次いでおり、客は生活防衛意識が強くなっている(スーパー)。

■先行き
・当地域は自動車等の製造業が多く、今の状態が続けば春闘ではベースアップが見込まれ可処分所得が増えて消費の拡大に向かうものと思われる(スーパー)。
・ガソリン価格は比較的安値で安定しており、春先へ向かう高揚感ともリンクして、遠出を含む外出傾向が増えるのではないか。また、そのことによる個人消費を期待している(都市型ホテル)。
・国の政策により、地方公共団体によるプレミアム商品券の売出しが行われると聞いている。それにより一時的に売上増加が期待できる(商店街)。
・3月14日の北陸新幹線の開業に絡み、首都圏でのキャンペーンやテレビ、雑誌など北陸地区の特集が多くなり、ホテル業界全体に期待感が高まっている。宿泊やコンベンションの増加や近隣の公共施設のリニューアルの相乗効果も期待される(都市型ホテル)。
・3月は決算期であり、自動車税増税前の駆け込み需要が本格化する最終の時期でもあるが、人気車種は既に納車が間に合わなくなっており、販売量の確保は現場でどれだけ対応できるかにかかっている。また、減税制度が終了すると一気に需要が冷え込む可能性もあり、先行きは楽観視できない(乗用車販売店)。

今回引用している範囲は「家計」の全国における代表意見のみだが、昨今の景気情勢が非常によく表れる形となっている。ガソリン価格の下落による景況感の改善が直接自動車運転手に対してだけでなく、多方面にプラスの影響を与えていること、4月からの軽自動車税の増税に伴う駆け込み需要の発生、円安などを要因とした物価高への懸念と海外観光客による消費増加、年度替わりに伴う賃金引き上げへの期待など、まさに現状、そして先行き感が手に取るように分かる。さらに株価上昇に伴い消費が喚起されるとの言及が見られるのも興味深い。

今件では引用していないが、景気の先行指標と評されることが多い雇用関連では、正社員求人数の増加をはじめ、ポジティブな言及が相次いでいる(例えば「求人件数が目に見えて増加しており、特に製造業関係での求人の増加が目立つ」「賃金上昇の機運もあり、求人倍率の高まりとともに、首都圏から始まっている派遣料金上昇による派遣スタッフ給与増が期待できる」など)。雇用は消費の源となる収入の確保には欠かせない存在であり、また雇用する側の立場で考えれば「雇用の増強が必要なほど事業の上向き感が期待できる」ことから、言葉通り「景気の良い話」とみることができる。

数か月前まではネガティブな意味合いで使われていたガソリンや燃料などのキーワードも、今回月では押し並べてポジティブな文面で使用されている。「特に原油価格の下落は、ガソリン代だけではなく暖房用灯油の価格も劇的に低下させており、消費者の気分を変えさせたのではないか」「ガソリン価格は比較的安値で安定しており、春先へ向かう高揚感ともリンクして、遠出を含む外出傾向が増えるのではないか」などのコメントが確認できる。一方でそれと相対する形で物価上昇が語られることも多く、景況感の引上げまでには至っていない、相殺されてしまっているとの判断を下している場合も多い。他方「電気料金」については高値が続いているものの、言及数はほぼ横ばい。今後の動向への不安を抱く声が点在している。

また円安の継続に伴い、食料品をはじめとした輸出関連商品の値上げへの圧迫感の声が増える一方、製造業を中心に国内回帰・シフトの動きが本格的に見受けられるようになった。「国産材料で食品を製造しているが、引き合いが多くなっている。円安と安心安全を求めた国産需要の増加が要因である」「中国での生産が明らかに難しくなっている。中国工場での生産の何割かが国内回帰するだけでも、数が多いので大変な量となる」などのコメントが目に留まる。

燃料価格は国内でコントロールしにくい要因であることから、昨今の下落は「燃料価格に限れば」僥倖に違いない。一方電気料金は一部に海外からの輸入資源価格の上昇があるが、多分に震災以降の発電様式のアンバランスな状態を起因としており、大部分の原因は国内問題によるもの。早急な対応が求められる。

増税周りで乗用車は失速…詳細精査


2014年4月分の公開値を基に、消費税率動向について細かい部門別に別途記事として精査をした【景気ウォッチャーの指標動向から消費税率改定後の景気行き先を推し量ってみる】の手法を用い、簡略的にではあるがしばらく継続的に現状・先行きDIの詳細動向を確認している。今回もその例にならい、2015年2月分とその前月の2015年1月分との差異、つまり一か月分の変化を詳しく見ていくことにする。まずは現状DIについて。

↑ 2015年1月から2015年2月における現状DIの変動値
↑ 2015年1月から2015年2月における現状DIの変動値

今回月は現状・先行きDI共に全項目でプラスを示しているため、グラフも大よそプラス方向に振れている。唯一マイナス値を示した乗用車・自動車備品販売店は、軽自動車の増税周りで生じた特需の反動によるもの。増税は4月からだが、すでに納入が間に合わない状態が続いており、それが早くも影響を見せている。

飲食関連は先月の大幅ダウン(大手ファストフードの異物混入騒動が主要因)からの反動によるところも大きい。百貨店はコメントを確認すると大きく「海外からの観光客による需要増加」「株価上昇に伴う景況感の回復」「賃上げに期待する先行需要拡大」の3要素がプラス要因として挙げられる。

↑ 2015年1月から2015年2月における先行きDIの変動値
↑ 2015年1月から2015年2月における先行きDIの変動値

↑ 2015年2月における先行きDI
↑ 2015年2月における先行きDI

増減の数字そのものに違いはあるが、傾向そのものは現状とさほど変わりはない(案外珍しい動きであり、景況感が連続した形で現在から近未来に継続する形で認識されていることを示唆している)。特に乗用車・自動車備品販売店は増税後の需要減退と駆け込み需要の反動のダブルショックによる不振化、百貨店やスーパー、衣料品専門店やレジャー施設関連は賃上げによる消費性向の拡大を期待しての動きであることが予想できる。



現状DIの上昇感や各種コメントを見る限り、少なくとも景気低迷感は底を打ち、反転に転じた雰囲気を覚えさせる。しかしその勢いはまだ弱い。単なる底打ちに加え、何か加速をつけるような材料が欲しいところだが、現状では原油価格の下落によるガソリン代・灯油代の引き下げ位しか見当たらない。賃上げへの期待もあるが、これは実体化されないと言葉通り「絵に描いたモチ」となってしまう。消費税率引き上げの延期はさらなる消費減退傾向を押しとどめてくれたものの、引き上げ要因にはつながらず、しばらく後に再び低迷が起きるリスクを多分に伴うものとなる。

原油価格はチャート的には2月頭で底を打ち、上昇の気配を示したものの、その後いくぶん値を上げた後は横ばいに推移し、微妙な動きを続けている。価格下落の原因は複数存在しているため、先行きを見通すのは困難ではあるが、今後仮に上昇に転じるとなれば、再び国内のガソリン価格も上がるため、景況感には確実にマイナスとなる。

他方円安に伴う、さらには資源価格そのものの上昇により、食材を中心に春先からの値上げが相次ぎ予定されていることから、消費マインドの冷え込みへの懸念も大きい。その上、ガソリン代はともかく電気代は高値をつけたままなのも、不安材料として見逃せない。この電気料金周りは震災後の悪癖を引き継いだ現況が大きく影響しており、理性と知性をもってすれば必ず解決しえる問題に違いない。あるいはこれを果たすことで、経済面でも大きな転換点となる可能性は高い。この点が現在の日本の低迷感・景況感における「もやもやとした重圧感」の大きな要素となっていることに違いは無い。

食品などの値上げは春から。電力の消費がかさむ夏に向けて電力周りで準備を行うためには、この数か月内における動きが望まれる。今夏までの半年で、景気動向は大きな変化を迎えることになるかもしれない。


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