業界規模は3兆1757億円・お菓子の売れゆき具合をグラフ化してみる(2014年)

2014/03/31 14:00

羊かんやおまんじゅうのような伝統的な和菓子、ロールケーキやシュークリームのような洋菓子、さらにはガムやチョコレート、アイスクリームにいたるまで、多種多様なお菓子は食生活にメリハリを与え、心を和ませ、憩いのひとときを満喫させてくれる。それらお菓子を開発生産販売するお菓子業界の動向を記した年次レポートとして、全国菓子卸商業組合連合会と全日本菓子協会が共同で設立したe-お菓子ねっと製販代表会議運営による「e-お菓子ねっと」では2014年3月27日に、2013年分の菓子統計データを公開した。今回はその値を元に、2013年のお菓子業界の動向を精査することにする(【菓子統計・統計資料:発表リリース一覧ページ】)。

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2013年の概況


元来お菓子は景気動向の影響をあまり受けない商品として知られている。単価が安く手頃に購入できる趣向品であること、創意工夫がしやすく、時節に合わせた新商品を臨機応変に創れること、多種多様な他商品との組み合わせが行えることなどがその理由。昨今ではコンビニによる独自ブランドでのデザート系菓子の展開、シニア層のコンビニ・スーパーの多用に伴うそれら店舗での積極的な和菓子の導入など、色々な業界内の動きも確認できる。ただし世界全体で見れば景気が良くなるほど甘味の材料とされる砂糖の消費量が多くなる傾向もあり、好景気ほどさらに売り上げを伸ばせることには違いない。

2013年に限れば、景気回復感に伴い消費の活性化も一部分野にプラスの影響を与える結果となったが、一方で原材料価格の上昇も起きており、採算面では厳しい状態が続いている。

今件リリースで取り上げられている、お菓子の品目区分の具体例は次の通り。

↑ お菓子区分の中身

目立つ動向を示したいくつかの項目について、概要を確認すると次の通りとなる。

・チューインガム
ガムそのものから離れる人の増加では無く、ガム購入者の購入数低下が顕著。市場規模は前年比で1割近い減少。フルーツ系の商品が特に厳しく、若年層のガム離れが深刻。キャラクタ商品では一部伸びているものもある。

・せんべい(小麦粉)
原材料高が痛手。お土産需要も減少。コンビニでは良く売れているが、その分直営店を圧迫。

・ビスケット
ハードビスケットが軟調、クッキーは例年並み。防災用が注目されていた乾パンは通常の状態に戻る。

・和生菓子
贈呈用や法人需要は一進一退。コンビニの和菓子販売数量は伸長、スーパー経由の利用客も増加。家庭内消費、手土産需要が伸びている。

・洋生菓子
猛暑の長期化で需要低迷。クリスマス商戦でやや挽回。

・スナック菓子
価格競争は継続。健康志向へのアプローチ、少量需要に対応した小分け政策などが功を奏し、スナックやポテトチップスが伸びた。一方でファブリケートポテト(成型ポテト、マッシュポテトなどを使ったポテト系のスナック菓子)や小麦系は軟調。

2011年の震災をきっかけに生じた防災・備蓄用菓子への特別需要はほぼ終息を迎え、コンビニ・シニア・原材料高の3要素が菓子業界に大きな影響を及ぼしていることが分かる。

またそれとは別に、ガムの中期的な減退傾向が目に留まる。購入者自身が減るのではなく、購入者の購入数が減るとの分析までなされており、特に若年層に対するアピール不足が懸念されている。業界側でも【あのスカっと感のフリスクがガムに!? 「フリスク ガム」登場】などのように新たな魅力をガムに盛り込んでみたり、【味は不明!? 「ぐんにゃぁぁ」的な不思議デザインのFit's新作「裏切り果実」発売】のように不思議感を前面に押し立てて若年層向けのアピールをするなど、積極的な展開を推し進めているが、なかなか成果は出ないようだ。

グラフで分かるお菓子業界


さて肝心の分野別の売り上げ高だが、各区分別では和生菓子がトップで約4670億円。次いでチョコレートが約4520億円。洋生菓子、スナック菓子などが続き、合計は3兆1757億円(小売りベース)。前年比62億円増(プラス0.2%)。

↑ 菓子小売金額の構成比率(2009年-2013年)
↑ 菓子小売金額の構成比率(2009年-2013年)

↑ 菓子小売金額(2009-2013年、億円)
↑ 菓子小売金額(2009-2013年、億円)

昨今の高齢化を受けて米菓のシェア・売上高は伸びを示している。一方で意外にも和生菓子の伸び悩みが目立つ(ただし直近2、3年に限ればその下落傾向には歯止めがかかったようだ)。また洋系の菓子ではチョコレートが堅調、スナックも順調だが、一方でビスケットやチューイングガムが厳しい。特にチューイングガムは元々小さめだったシェアがさらに縮小している。

意外といえばコンビニの独自ブランドによる積極展開で一見順調そうに見える洋生菓子も、上記概要にある通り2013年は下落。ただし2013年の軟調に関して天候不順を主な原因として挙げているが、実のところは(少なくとも)この5年ほどの間は継続的に売り上げが落ちていることが確認できる。もっともその分チョコレートが伸びていることから、消費者サイドとしては広い範囲での洋菓子の中で、洋生菓子からチョコレートへのシフトが起きているだけなのかもしれない。

最後は売上高の前年比。グラフが煩雑化しないよう、3年分に限定した。項目別のすう勢が良くわかるグラフに仕上がっている。

↑ 菓子小売金額前年比(2011-2013年)
↑ 菓子小売金額前年比(2011-2013年)

スナック菓子や米菓、チョコレートは概して堅調、和生菓子やビスケット、せんべいは復調傾向、飴菓子やチューイングガム、そして油菓子は後退の動きが加速している。特にチューイングガムは主要項目区分別ではもっとも下げ率が高く、さらにその幅を拡大しており、抜本的な対策が求められる状態となっている。

また2013年に限れば「その他」項目の伸びが目に留まる。リリースでは「錠菓・清涼菓子などが堅調に推移した」とのみ記されているが、趣向を凝らした面白系の菓子に注目が集まったものと思われる。多種多様な種類の総計ではあるが、売り上げ規模では飴菓子にも匹敵する額なので、軽んじることは出来ない。



冒頭でも触れているが甘味系業界は不景気でもさほど影響を受けず、好景気にはさらなるセールスが見込める、手堅い分野として知られている。創意工夫を凝らすことでターゲットを幅広く設定できるのがポイントとなる。

他方、コンビニの浸透や高齢化社会の到来による消費層の変化、国内旅行需要の低迷によるお土産品の需要の継続的な減少など、多様な変化が起きている。そして商品区分別のすう勢を見るに、全般的にはやわらか系、すぐに食べられる系統のお菓子が伸び(チョコレート、米菓、スナック菓子)、食べるのに時間を要するタイプの菓子(油菓子、チューイングガム、飴菓子)が敬遠される動きがあるようにも見える。「スナック感覚」という言葉ではないが、お手軽感がお菓子全体のトレンドの一環として浸透しているのだろうか。

現在進行中の2014年においては、消費税率の改定のような特殊イベントの他、コンビニの生活への浸透はさらに進んでいく(特にプライベートブランドで廉価のお菓子が多種多様に、一堂に介する形で提供されており、これが消費者に与える影響は決して小さくない)。また企業をまたいだコラボ的商品もこれまで以上に見受けられる感はある。

多分に2013年までの動きを踏襲することになるとは思われるが、その動きの変化が楽しみではある。


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