日本の家計資産残高は増加、1654兆円に…日米家計資産推移(2014年Q3分)

2014/12/25 14:00

日本銀行は2014年12月24日付で、2014年第3四半期(7-9月、Q3)の「資金循環の日米比較」レポートを公開した。その内容によれば株価上昇を受けて日本では「投資信託」や「株式・出資金」などが増え、金融資産総額は増加し1654兆円となった。一方で高い貯蓄性向は継続されており、日本の「現金・預金」比率は相変わらず5割を超えている(【日本銀行:資金循環リリース掲載ページ】)。

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日米の金融資産への考え方が顕著に分かる資産分布


今リリースは日本銀行が年4回定期的に「資金循環の日米欧比較」の速報値として発表している。当サイトでは2009年6月掲載、2009年Q1分から定期更新の形で各データをグラフ化し、状況に関して精査を行っている(途中からは検索周りの事情を受け、最新の値に関するレポートを逐次上書きする形で掲載しているため、最新の記事とそれ以前の記事との間では、期間が抜けている)。今回は2014年12月24日に発表された最新版公開値(2014年Q3分)に基づいたものとなる。

まずは直近となる2014年第3四半期(Q3)時点での、日米、そして参考値としてユーロエリアでの家計に関する資産構成比率。日本が「現金・預金」で半数超えと大きく傾倒している一方で、アメリカが「株式・出資金」や「投資信託」さらには「債券」を大量に保有している図式はこれまで通り。リスクを許容し投資を重視し成果に期待するアメリカ、確実性に重点を置く日本と、両国の貯蓄性向、金融資産への考え方の違いがそのまま数字に表れている。また日本で「現金・預金」が多いのは、主に高齢者による貯蓄性向の表れでもある。

↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2014年Q3)
↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2014年Q3)

3国・地域とも「保険・年金準備金」の比率はほぼ同じ(いくぶん日本が少ないが)。一方で”「現金・預金」”と”「債券」「投資信託」「株式・出資金」で構成される有価証券”の保有比率が、ユーロ圏は日米の中間にあるのが興味深い。バランスの観点では、日本は現預金過多、アメリカはリスク商品が多め。ユーロエリアのバランスが一番リスク分散の上では優れている。

「現金第一」は以前から…日本の家計金融資産


これを定例のフォーマットに従い日米別に、その推移をグラフ化して状況を精査する。まずは日本について、構成比率と絶対額の推移を確認する。

↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(2001年-2014年Q3)
↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(2001年-2014年Q3)

↑ 日本の家計金融資産構成推移(2001年-2014年Q3)(単位:兆円)
↑ 日本の家計金融資産構成推移(2001年-2014年Q3)(単位:兆円)

大きな変化として目に留まるのは、2008年前後で「現金・預金」の比率が伸びていること。約5%ポイントの増加が見られる。貯金額そのものが増えたのも多少の影響はあるが、それ以上に株価の低迷を起因としていると考えられる。つまり絶対額の増加は影響が小さく、他の要素が減って相対的に「現金・預金」比率が上がったと考えた方が道理は通る。その上損切り(有価証券などについて売却損を覚悟して売り、現金化する)による「株式・出資金」から「現金・預金」へのシフトも多分にある。

「株式・出資金」の比率だけでなく、額そのものが同じタイミングで大きく減少していることからも、その動きは裏付けられる。2007年夏に始まる金融危機、株価下落は、家計の金融資産にも大きな影響をもたらしたことになる。

今2014年Q3期では「現金・預金」は減少、「株式・出資金」「投資信託」は増加。市場の景況感に合わせた上昇感を数字で実感できる。「現金・預金」が減少しているのは気になるが、ここ数年は毎年Q3期には前四半期比で額を減らす動きが確認できており、定例のパターンの範ちゅうにあると見て良いだろう。中期的には漸増しており、問題視するようなものでは無い。

一方、「株式・出資金」はこの2、3年ほどの間に全体比率・絶対金額共にじわりと、そして確かな勢いで増加を示しているのが、両グラフからもつかみ取れる。金融危機ぼっ発前の水準、比率で1割超・金額で170-180兆円のレベルと比べるとまだまだ届かないが、それなりの回復感は間違いない。

中期的には増加継続中の米家計金融資産


一方アメリカ。

↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年Q4-2014年Q3
↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年Q4-2014年Q3)

↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年Q4-2014年Q3)(兆ドル)
↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年Q4-2014年Q3)(兆ドル)

アメリカの該当期における株価動向は、7月から9月にかけては起伏を繰り返しながら横ばい、期間末にはむしろ減退する動きを示している。これを受けて「投資信託」「株式・出資金」は額面をやや減少させ、一方で「現金・預金」は増加。

そして「債券」比率は前四半期からさらに減少し、比率ではついに5%を割り込む形となっている。2013年に入ってから比率面、2014年以降は額面自身も明らかに値を減らしており、これまでには無かった動きとして注目に値する。その分、「現金」「投資信託」が増加していることから、金融資産への考え方に一部変化が生じているのかもしれない。

資産総額は66.8兆ドル。前四半期からはわずかに総額を落としているが、これは「株式・出資金」と「債券」の保有額の減少が原因。その他の資産は順調に積み増しされており、特に同国では小数比率の傾向が強い「現金・預金」が額面、そして比率面でもここ1年は確実に上昇中なのは興味深い。



家計金融資産の総額は2014年Q3時点で日本が1654兆円、アメリカが66.8兆ドル。これはそれぞれ直近前四半期から(日本)プラス0.55%・(アメリカ)マイナス0.30%の変移。同時期の株式市場の動向をほぼ反映した形となっている。

記事執筆時点(2014年Q4期)では、アメリカ経済の復調感がより確実なものとなる一方、OPECとアメリカなどのシェールガス勢との間で行われている原油チキンレースにより原油価格は大いに値を落とし、それがロシアや新興諸国に大きな影響を与える、国際ビリヤード的な状況を呈している。また、大きな経済的イベントとして、アメリカのQE3(量的緩和政策第三弾)の終了宣言と、ほぼ同時期に日銀の追加金融緩和政策の発表もこの時期に起きている。日本では株式市場もそれなりに堅調で原油価格の下落も天佑のようなものだが、消費性向の落ち込みぶりは否定できず、抜本的な打開策が求められる機運は高まるばかり。

次回の2014年Q4では、原油価格の下落や日米双方の株価上昇などがいかなる作用を金融資産にもたらすことになるのか。その点で大いに注目したいところだ。


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