ツイッターのアクセス動向をグラフ化してみる(2014年)

2014/11/09 14:00

チャット形式のミニブログサービス「Twitter(ツイッター)」を提供しているツイッター社は2013年11月7日付でニューヨーク証券取引所に上場(コードはTWTR)、大型のインフラサービス系IT企業の上場として大いに市場の話題を集めることとなった。上場以降は基本方針・事業内容こそ変わらないものの、それまで以上に株主の視線を気にする、収益確保の姿勢をより強く示す動きを示している。今回はそのツイッター社の公開資料を基に、ツイッターのアクセス動向を確認していくことにする。

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ツイッターのアクティブユーザーは2億8400万人


データの取得手順は【アマゾンドットコムの売上推移などをグラフ化してみる】で紹介したものとほぼ同じ。SECの【SEC Filings & Forms】から【Search for Company Filings】を経由し、【Boolean and advanced searching, including addresses】を選択。そして検索キーワードとして「twitter 10-k」を入力すれば年次会計報告書を取得すれば良い。「twitter 10-q」ならば四半期単位の報告書。今回は2014年11月6日付でSEC上に公開・発表された、2014年第3四半期(Q3)まで合わせて確認するため、主に後者を利用する。

会計報告書は財務面のデータがメインだが、それを裏付けるための本業の動向、ツイッター社なら主事業のツイッターに関する成長性についての数字も記されている。まずはツイッターの月次アクティブユーザー数(MAU。monthly active users。月一以上の利用者数)。2010年3月時点では3000万人でしかなかったMAUだが、直近の2014年9月では2億8400万人。9倍強に成長し、まさに右肩上がり状態にある。

↑ ツイッターの月次アクティブユーザー(世界規模)(億人)
↑ ツイッターの月次アクティブユーザー(世界規模)(億人)

グラフの傾斜をよく見ると分かるのだが、去年の夏あたりから成長率はやや鈍化しつつある。3か月単位での成長率はこれまで30%前後を維持してきたものの、直近1年ほどの間では6%前後、直近四半期では5%に留まっている。とはいえ、直近1年間でも20%強の成長を見せていることに違いは無い。

当然、閲覧されるタイムライン数も大きく成長している。テレビにおける視聴率のような意味合いを持つこの値は、ツイッターが広告宣伝媒体としても注目すべき対象であることを意味している。

↑ ツイッターの月次タイムライン閲覧数(世界規模)(億)
↑ ツイッターの月次タイムライン閲覧数(世界規模)(億)

上記のMAU動向と比べると、タイムライン閲覧数は上場前後に一度大きく減少し、その後再び増加率をそれ以前のものに戻している。一時的な減退について詳しい説明はないが、タイムライン閲覧数は指標の一つでしかなく、閲覧あたりの会話は増加しているなどの言及が幹部からなされていることが確認されている。またこの前後にはAPIの制限に伴うサードパーティークライアントの、利用者におけるポジションシフト(APIバージョン1.0の提供が2013年6月11日付で終了し、上位バージョンの1.1に未対応のサードパーティークライアントがサービスを終了している。これに合わせて公式クライアントへのシフト誘引も推し量った感は強い)もあり、それも減退の一因と考えられる。実際、後述するように、このタイミングに合わせて各種広告システムにも動きがあったことも合わせ、表示あたりの広告売り上げは大きく成長している。

直近3か月の上昇率は4%。これはMAUの増加率5%と比べると1%ポイント低い。また、前四半期の11%と比べると大きなスピードダウンであり、後述するようにツイッター社から直に四半期決算が発表された後の株価低迷の一因でもある。

より濃く、より「貢献する」ユーザーに


ツイッターがより幅広い、影響力の大きなメディアに成長し、商業価値を高めるか否かの判断に役立つ指標としては、利用者の動向も挙げられる。MAUの成長は鈍化しているが、利用者の利用度合いはより濃いもの、そしてツイッター社に貢献するものとなっている。次に示すのはアクティブユーザー数の月次閲覧数。

↑ ツイッターの月次アクティブユーザーあたりの閲覧数(世界規模)
↑ ツイッターの月次アクティブユーザーあたりの閲覧数(世界規模)

利用者の中には退会してしまう人も少なくないが、継続利用している人はフォロワー・フォローしている人も増え、利用時の取得情報も増えていく。より一層のめり込んで、タイムラインの取得を頻繁に行うようになる。そのような「濃い利用者」が増え、平均的な閲覧数も増えていく次第である。

一方で上記でも触れている通り、上場前後に合わせて行われた各種施策の変更に伴い、2013年の第4四半期に一度、大きな減退が生じている。しかしその後再び増加を示し、後述するように収益率は向上している。

またモバイル経由の利用者による閲覧数増加への貢献も大きい。機動力が高い携帯電話、特にスマートフォンにおいては、随時更新しうるツイッターはまさに、暇さえあればアクセスしたくなる「魔力を持つ情報源」となるからである。あるいは「常時井戸端会議ツール」と評した方が適切かもしれない。

もっとも、直近の2014年Q3においては、前四半期の640件から636件と、6%強の減少を示している。前四半期の上昇ぶりにいくぶんワールドカップサッカーの特需的な要素があったとはいえ、減少を示したのには違いない。これが株主の失望を呼んだようで、ツイッター社による発表以降同社の株価は20%ほどの下落を示す形となった。

↑ ツイッター社の株価動向(MSNマネーから)
↑ ツイッター社の株価動向(MSNマネーから)

一方、ツイッター社にとって喜ばしいことに、売り上げの大半を占める広告売上の収益率は上昇を続けている。上場に合わせて行われた、公式クライアント利用のための各種施策が大いに功を奏しており、直近では1000ビューあたりの広告売り上げは1.77ドルに達している。

↑ ツイッターの1000ビューあたりの広告売上(世界規模、ドル)
↑ ツイッターの1000ビューあたりの広告売上(世界規模、ドル)

広告の展開方法の多様化やクライアントの質の向上、公式クライアント利用への誘引も小さからぬ要因だが、主な収益率向上の理由として、モバイル化が進んでいることが挙げられる。報告書でもこの件について特に言及しており、

「モバイルはツイッター社のビジネスにとって主軸的存在となった。2014年9月末に終了した四半期においては、広告収入の85%は携帯電話(※主にスマートフォン)によるものである」

とコメントしている。前四半期における同割合は81%であったことから、さらにモバイル化が進んでいることになる。

また同時にツイッターとの直接的関係性には触れていないが、インターネットへのアクセスはパソコンよりも携帯電話やネットブック、タブレット型端末、家庭用ゲーム機、そしてインターネットテレビ経由によるものがこの数年、爆発的に増えていると言及し、ツイッターもまたパソコン以外の利用が増えるのは当然の成り行きであると説明している。。その上で、世間一般におけるモバイル端末の利用状況に合わせて、ツイッターの使用やアプリケーションの最適化を常に図るようにしないと、売上を支える広告収入が減退するリスクを持っていると説明し、今後も逐次環境改善やサービスの開発を続けていくと力説している。

これらの動きは、元々ツイッター自身が携帯電話のSMSをベースとしたものであることを考えると、ごく自然な流れであるともいえよう。


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