米国以外で日本の安全や平和に役立つ防衛協力や交流相手とは!?(最新)

2023/03/21 02:42

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2023-0312先行記事【「安保は日本の平和と安全に役立つ」9割近く(最新)】などにある通り、日本はアメリカ合衆国(米国)との間に日米安全保障条約を締結しており、その条約は日本の安全と平和に大いに貢献している。しかし日本が防衛面で協力・交流をしている国や地域は米国だけに限らない。それらの他国との防衛面での関係行動は、日本国民からはどのような評価を受けているのだろうか。内閣府が2023年3月7日付で発表した自衛隊・防衛問題に関する定期世論調査から、対米国以外の国などとにおける防衛協力・交流が、日本にとって安全・平和面で貢献しているか否かに関する評価について確認をしていくことにする(【自衛隊・防衛問題に関する世論調査(令和4年11月調査)】)。

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6割強は「米国以外の国との防衛協力・交流は日本にプラス」


今調査に関する調査要項は先行記事【自衛隊への好印象度90.8%(最新)自衛隊への好印象度90.8%(最新)】を参照のこと。

冒頭の通り日本は米国との間に緊密な防衛協力・交流を行っているが、それ以外の国との間にも個々の関係に応じた協力体制を築き、交流を実施している。これらの行為に関して、「回答者が」日本の安全と平和に役立っているか否かの観点でどのように思っているかを尋ねた結果が次のグラフ。国を特定していないこともあるが、6割強の人は肯定している。

↑ 米国以外との防衛協力・交流を行うことについての意識(日本の安全と平和に役立っているか否か)(2022年)
↑ 米国以外との防衛協力・交流を行うことについての意識(日本の安全と平和に役立っているか否か)(2022年)

役立っていないとの意見は5%にも満たない。「どちらともいえない」が27.7%は単純に判断をするのに足る情報が不足しているのだろう。

それでは具体的にどの国や地域との関係が、日本の安全と平和に貢献していると思われているのか。(どちらかというと)役立っていると回答した人(役立っている派)に複数回答で答えてもらった結果が次のグラフ。具体的名称を挙げている選択肢のみを抽出している。

↑ どの国・地域との防衛協力・交流が日本の安全と平和に役立っているか(役立っている派回答者限定、複数回答)(具体名明記選択肢のみ)(2022年)
↑ どの国・地域との防衛協力・交流が日本の安全と平和に役立っているか (役立っている派回答者限定、複数回答)(具体名明記選択肢のみ)(2022年)

トップは東南アジア諸国(具体的国名の表記は無し)、次いで韓国、オーストラリア、さらには欧州諸国(除く露。英仏などの主要国)が続く。欧州諸国は日本との直接的距離は離れているものの、何かと協力体制にあった方がよいことが多いとの判断からだろう。あるいは元西側諸国としての馴染みからだろうか。

さらに中国、インド、そしてロシア。領土問題で日本と対立が続く中国が3割強の値を示していることに驚きを覚える人もいるかもしれないが、設問の「防衛協力・交流」を偶発的な問題を防ぐための連絡手段の確保として認識している人もいるのかもしれない。むしろロシアによるウクライナへの侵略戦争で大いに国際的イメージを損なっているロシアに対しても、1割強の人が回答している方が驚きだろうか。

属性別で見てみると


「防衛協力・交流が日本の安全と平和に役立っている」とする対象国・地域だが、属性による違いが見受けられる。男女別では男性が東南アジア諸国やオーストラリア、インドに好意的なのに対し、女性は韓国や中国、ロシアへ好意的。

↑ どの国・地域との防衛協力・交流が日本の安全と平和に役立っているか(「役立っている」派回答者限定、具体名明記選択肢のみ、複数回答、男女別)(2022年)
↑ どの国・地域との防衛協力・交流が日本の安全と平和に役立っているか(「役立っている」派回答者限定、具体名明記選択肢のみ、複数回答、男女別)(2022年)

男女別で順位を見ると、男性は東南アジア諸国、オーストラリア、韓国、欧州諸国、インド、中国、ロシア。女性は韓国、東南アジア諸国、欧州諸国、オーストラリア、中国、インド、ロシア。価値観の違いや個々の国に対して抱いている基本部分となるイメージの違いが表れているのだろうか。特に女性では韓国の値が伸びて東南アジア諸国以上を示しているのが興味深い。

続いて年齢階層別。

↑ どの国・地域との防衛協力・交流が日本の安全と平和に役立っているか(「役立っている」派回答者限定、具体名明記選択肢のみ、複数回答、年齢階層別)(2022年)
↑ どの国・地域との防衛協力・交流が日本の安全と平和に役立っているか (「役立っている」派回答者限定、具体名明記選択肢のみ、複数回答、年齢階層別)(2022年)

年齢階層別では東南アジア諸国や韓国、オーストラリア、インドへの回答値はおおむね高齢層ほど高く、欧州諸国、中国、ロシアは若年層ほど高い値が出ている。西洋は若年層・東洋は高齢層との区分けができるだろうか。興味深い傾向ではある。



余談となるが、過去の調査分からの推移を見たのが次のグラフ。

↑ どの国・地域との防衛協力・交流が日本の安全と平和に役立っているか(役立っている派回答者限定、具体名明記選択肢のみ、複数回答)
↑ どの国・地域との防衛協力・交流が日本の安全と平和に役立っているか(役立っている派回答者限定、具体名明記選択肢のみ、複数回答)

調査時の国際情勢が大きく反映された形になっているのとともに、オーストラリアや欧州諸国、インドでは漸増、中国では漸減と読める動きをしている。またロシアは直近調査で大きく値を落としたが、これは当然のことながらロシアによるウクライナへの侵略戦争を起因とするものだろう。


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